ブランディス元法務相は内部告発者起訴に懐疑的

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豪の東チモール政庁盗聴事件暴露裁判

 東チモール独立直後、オーストラリアが出資し、東チモール政庁を建設したが、その際に建物内に盗聴器を仕掛け、独立後の豪と東チモールの間の海底ガス油田を巻き込む両国間の国境線引き交渉でオーストラリアは、東チモール政府の討議の内容を盗聴し、自国の有利に持ち込んだ。盗聴を担当した豪政府諜報機関の職員(証人K)が盗聴の事実を暴露し、東チモール政府の代理人を務めた弁護士、バーナード・コレアリー氏に情報を提供した。

 証人Kとコレアリー弁護士に対する「国家機密漏洩」裁判が始まろうとしているが、シャナナ・グスマン元東チモール大統領が、「裁判になるなら私が被告側の証人としてオーストラリアに行ってもいい」と発言、また、以前にジョージ・ブランディス元法務相が2人の裁判に難色を示していたことが明らかにされ、また、元判事が、「この裁判はオーストラリア史最大の秘密裁判になるだろう」と発言している。

 ABC放送(電子版)の「Four Corners」が伝えた。

 証人Kは有罪を認める考えを明らかにしているが、コレアリー弁護士はあくまでも裁判で無罪を主張する意図を明らかにしている。

 同番組は、オーストラリアのいくつかの諜報機関の間でも2人の裁判に関しては賛否両論があることを伝えている。また、盗聴から20年近く過ぎており、連邦警察と諜報機関のASIOが2人の住所に捜索令状を執行し、資料を押収してからでも6年が過ぎており、2人が起訴される可能性を知ったのはようやく2018年のことだった。

 これほど起訴までに歳月をかけている事件について、弁護士や政治家には2人の起訴が公共の利益になるのか、と疑問を投げかける者が出ている。

 また、容疑の性質のため、法務長官は裁判に先立って検事局に同意を与えなければならないが、2015年に同意を求められたジョージ・ブランディス元法務長官は同意に時間をかけ、2017年に駐ロンドン豪高等弁務官に任命されてイギリスに向かった時もまだ同意を与えないままだった。

 しかし、現法務長官のクリスチャン・ポーター議員は就任半年でさっさと同意を与えている。

 これに対して、連邦議会のアンドリュー・ウィルキー下院議員は、「ブランディス法務長官が2人の裁判決定を引き延ばしていたのに対して現法務長官が裁判を急いでいる事実は、この裁判が政治的裁判だと言うことを示している」と語っている。
■ソース
Former attorney-general George Brandis had ‘misgivings’ about prosecuting Witness K and Collaery

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