「豪人テロ容疑者の豪国籍剥奪はむしろ危険増大」

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国内諜報機関がダットン内務相案に警告

 国内諜報機関、ASIOが、「豪国籍テロ容疑者の国籍剥奪はむしろテロリズムの危険を増大するだけ」と警告している。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 非白人外国人に対して強硬な態度で知られるピーター・ダットン現内務相は、2015年に「国籍剥奪法」の制定を提案した。ただし、ダットン大臣の提案はイデオロギー的なもので、現実の証拠に基づいたものではなかった。

 現在、連邦議会情報国家安全委員会が同法の点検を進めているが、国内の動きを対象とする諜報機関、ASIOの局長名で意見書を提出しており、「テロ容疑者の国籍を剥奪することは思わぬ結果を招きかねず、テロの脅威を取り除くこともできない」と警告している。

 ASIOの意見書は、「現在の世界は諸国が密接に結びついており、国籍を剥奪したために個人が海外にいるからというだけの理由で海外のオーストラリア権益に対する直接的な脅威がぬぐいさられるものではない」と述べている。

 さらに、「そのような海外にいる個人が、国内でのテロ攻撃を含めてオーストラリア国家安全を脅かす行為を思いつかせ、そそのかし、あるいは直接的に実行することを防げるものではない。むしろ、場合によっては国籍を剥奪することにより、オーストラリア国内当局がテロの脅威を軽減するために取り得る措置を妨げることにもなりかねない。さらには、一つのテロの脅威を強調し、他のテロの脅威を軽視することにもなりかねない」としている。

 また、「国籍剥奪の条件が揃っていても、連邦警察がその者を刑法で起訴することができるのはオーストラリア国籍を持っている場合だ」として、国籍剥奪が必ずしも望ましい結果をもたらさないことを強調している。

 ASIOは、2012年以来、230人ほどのオーストラリア人が過激派に加わるためにシリア、イラクに渡っており、80人前後が今もその地域に留まっていると発表している。
■ソース
ASIO warns of terrorism risk from stripping Australian suspects of citizenship

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