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中国を舞台にニュージーランド政府がマヌーカ争い

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「マヌーカ蜂蜜と呼べるのはNZ産だけ」主張

 抗菌性の成分を持つマヌーカ蜂蜜は中国を中心に高価で取引されるため、今では販売量が生産量の10倍にものぼるといわれている。

 ニュージーランド(NZ)のマヌーカ蜂蜜業界が中国で「manuka honey」を登録商標にしようとしており、NZ政府も国家財政を用意して業界を支援しており、商標登録申請が通ればオーストラリアのマヌーカ蜂蜜業界は中国ではこの名称を使えなくなり、訴訟で争えば資金の懐が深い方が勝つとあって、戦々恐々としている。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 現在、マヌーカ蜂蜜は高品質のものはキロ$400にもなる。

 豪政府のブリジット・マッケンジー農相は、「NZ政府に事情を問い合わせている」と発表しているが、NZ政府と異なり、この問題には介入しないとしている。

 マヌーカは、学名をLeptospermum scoparium、和名を檉柳梅(ギョリュウバイ)またはネズモドキといい、NZとTAS州、大陸南部に自生し、NZではマオリ名のマヌーカが用いられ、TAS、VIC州でもマヌーカの名称を使っている。しかし、大陸の他の地域ではジェリーブッシュ、ティー・トゥリー、グーブッシュなどの名で呼ばれている。

 サンシャイン・コースト大学で蜂蜜研究室を率いるピーター・ブルックス化学博士は、「マーケティングではマヌーカはNZというイメージがあるのでNZが有利だが、この植物がNZにしかないというのは科学的には正しくない。結局、裁判で決着が付けられることになるだろうが、そうすると懐の深い方が勝つだろう」と語っている。

 NZ食品安全局がマオリ・グループに書簡を送り、グループがマヌーカの名称を中国で知的財産として登録するなら、「Manuka Honey名称協会(MHAS)」を支援する用意があるとしている。

 ただし、マオリの養蜂業者がすべてMHASに加盟しているわけではなく、MHASが商標登録してしまうと、メンバー以外の業者は「Manuka」の名称を使うためにMHASにロイヤルティを払わなければならなくなるため、商標登録に無条件の支持があるわけではない。

 全豪マヌーカ蜂蜜協会のポール・キャランダー会長は、「食用だけでもマヌーカ蜂蜜は12億ドルの産業であり、将来、化粧品や医薬への利用が進めばその倍にもなる。もし、マヌーカの名称が使えなくなれば、オーストラリアの養蜂業者が独自のブランドで市場に知られるようになるためには10年はかかるだろう。農業省と貿易省が積極的に動かなければならない問題だ」と語っている。

 マヌーカの花の蜂蜜は抗菌性があり、スーパーバグと呼ばれる抗生物質耐性菌にも効果が期待されている。また、病院でもやけどや皮膚感染にマヌーカ蜂蜜を塗布することが試みられている。ただし、市販の食用蜂蜜のように口から摂取した場合の薬効はおそらく皆無とされている。

 商標登録申請では、アメリカは却下したが、イギリスは認可しており、現在認可取り消しを求めてオーストラリアが争っている。
■ソース
‘The deepest pockets … win’: The battle for manuka honey

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