日本韓国生息の皮膚から侵入する毒素8種持つ
QLD州北部の熱帯雨林地域でアジアでも日本と韓国でのみ生息が知られていた猛毒キノコが発見された。
真っ赤な異様な姿のキノコがオーストラリアに生息しているとは予期されていなかっただけに何者かが持ち込んだものか、オーストラリアの在来種なのか謎に包まれている。
ABC放送(電子版)が伝えた。
このキノコはカエンタケ( poison fire coral, 学名Podostroma cornu-damae)と呼ばれ、ボタンタケ目ボタンタケ科トリコデルマ属の赤い指のような形をしたキノコで、世界でも2番目に猛毒なキノコとされ、日本ではいくつか死亡例がある。
発見したのは自称キノコ研究家の写真家、レイ・パーマー氏で、オーストラリア熱帯植物園(ATH)では、ケアンズのレッドリンチ・バレーの熱帯雨林でカエンタケが発見されたことを確認、ATHの菌類学者、マット・バレット博士も、「オーストラリアでも自生しているのかも知れないが、北部オーストラリアの真菌類についてはまだよく解明されていない。分布は東南アジアまでたどっているが、いかんせん文献に乏しくて全体がつかめていない」と語っている。
鮮やかな赤色のこのキノコは少なくとも8種類の毒素を持っていることが知られており、その毒素が皮膚から体内に入り込むことができるため、触れるだけで中毒するという。また、日本、韓国では民間療法に用いられるマンネンタケや冬虫夏草と間違えてこのキノコを煎じて飲んだ人が中毒死した記録がいくつかある。
バレット博士は、「このキノコを食べるとかなり恐ろしい症状が出る。まず、腹痛、嘔吐、下痢、発熱、しびれ、さらに数時間から数日の間に顔、手足の皮膚の剥離、さらには脳の萎縮が起きる。治療しないと複数臓器不全や脳神経障害で死に至る」と語っている。
発見者のパーマー氏は、「見た時、すぐにカエンタケと思ったが、オーストラリアでは発見例がないので半信半疑だった」と語っており、発見現場でいくつか標本を採取し、ケアンズのジェームズ・クック大学に持ち込んで同定してもらった。
パーマー氏が発見者と言うことになるが、同氏は、「新発見は初めてではないし、オーストラリアで生息が知られていなかった種もいくつか見つけている。美しいものだけでなく、奇妙なものを見つけるのも好きだ」と語っている。
■ソース
Deadly Asian fungus, poisonous to touch, found in Far North Queensland rainforest