19年間のAFP副長官射殺事件冤罪服役
キャンベラのコリン・ウィンチェスター連邦警察(AFP)副長官殺害の冤罪を着せられ20年近く服役していたデビッド・イーストマン氏がACT政府を相手取って起こしていた賠償請求訴訟でACT最高裁が原告の要求を大幅に認め、700万ドルを超える賠償金支払いをACT政府に対して命じた。
ABC放送(電子版)が伝えた。
1989年1月10日、連邦議事堂の南、ディーキン地区で連邦警察(AFP)のコリン・ウィンチェスター副長官が車に乗ったまま射殺体で発見された。この事件で、1992年にはウィンチェスター副長官を脅迫していた元連邦公務員、デビッド・イーストマン氏が逮捕され、1995年に有罪判決を受け、受刑していた。
イーストマン氏は服役中も常に無実を訴え続け、再審を要求していたが、2014年になってようやく再審するかどうかの審理が始まり、ブライアン・マーチン判事は、「1995年の第一審は大きな誤審があり、イーストマン被告人は公平な裁判を受けられなかった」と判断したが、同時に「イーストマンが犯人であることは間違いないが一抹の疑問も残っている」と語っている。
ACT政府は再審を要求したが、2018年11月にはその再審でイーストマン氏は無罪を言い渡された。
続いてイーストマン氏はACT政府を相手取り、1,800万ドルの賠償金を求める裁判を起こした。
ついで、ACT政府は、「見舞金」として300万ドルを提示したが、見舞金の代価としてこれ以上の賠償請求権を放棄する条件が加えられていたため、イーストマン氏はこれを拒絶している。
賠償要求の裁判でイーストマン氏は無実の罪で刑務所に幽閉されて体験した苦痛や不安、また刑務所内で暴力行為を受けたこと、また家族を持ち、キャリアを積む機会を奪われたこと、2人の妹と母親もイーストマン氏が服役中に亡くなっており、釈放後に最初にしたのはシドニーの墓地に3人の墓参りをしたことだだったと証言している。
ACT政府はこれまでに3,000万ドルを裁判費用に費やしており、その上に702万ドルの賠償金とイーストマン氏の裁判費用負担を命じられた。
一審で重要な状況証拠とされたイーストマン氏所有の車から火薬の燃えかすが検出されたことだったが、再審で友人のベンジャミン・スミス氏が証言台に立ち、事件前にイーストマン氏の車を使ってウサギ射ちに出かけたこと、また、事件の日にはイーストマン氏がスミス氏の母親とかなり長い時間話し合っていたと証言した。また、火薬の燃えかすの分析も鑑識結果が不正確として証拠却下された。
■ソース
David Eastman awarded more than $7 million for wrongful imprisonment of almost 20 years