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「バックパッカー税は偽装した差別行為」と連邦裁

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75,000人から億単位の不法課税の判決

 10月30日の連邦裁判所は、通称「バックパッカー税」を偽装した差別行為と判断し、連邦政府の同税法を無効とした。この判決により、国税庁(ATO)は推定75,000人のバックパッカーに対して億ドル単位の税金を返還しなければならなくなる。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 判決の要点は、ワーキング・ホリデー・ビザ所持者の労働所得に課税することを無効としており、オーストラリアが複数の国と取り交わしている課税条約に違反し、国籍によって差別する不法行為だとしている。

 また、この判決では、オーストラリアが課税条約を結んでいるイギリス、アメリカ、ドイツ、フィンランド、チリ、日本、ノルウェー、トルコの8か国の国民に対して合法的に「バックパッカー税」を課することはできないとしている。

 「バックパッカー税」は、2017年に保守連合連邦政府が導入したもので、417ビザまたは462ビザで入国した外国人は、オーストラリア国内での労働による総収入が$18,200未満であっても15%の所得税を払わなければならないというもので、オーストラリア国籍者または永住権者であれば1年間の総収入がこの数字未満であれば所得税課税されない。

 毎年、15万人程度のワーキング・ホリデー・ビザ旅行者がオーストラリアに来ており、2017年から2019年までの間に国内で働いた人の半数が課税水準未満だった可能性がある。

 原告の一人、イギリスのキャサリン・アディさんは、2015年にワーキング・ホリデー・ビザでオーストラリアに入国、2017年に帰国するまでいくつかの飲食店で働いた。そのオーストラリア国内での労働賃金に対してATOは所得税支払いを命じており、今回の訴訟でアディさんはその所得税に対して争っていた。

 アディさんは、「同じ仕事をしても外国人がオーストラリア人より重税を取られるというのは不合理だ」として、今回の連邦裁判決を歓迎している。

 バックパッカー税は2015年予算案時に案が浮上し、税率が二転三転したことも手伝って、ワーキング・ホリデー・メーカーがオーストラリアを避け、ニュージーランドやカナダに行ったため、農業部門は労働力を失ったとして政府を批判していた。
■ソース
Backpacker tax ruled ‘a disguised form of discrimination’ and overturned by Federal Court

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