1月26日はアボリジナル・ヤブン・フェスティバル
シドニー市西郊のインナー・ウェスト市議会は、1月26日の「オーストラリア・デー」祝賀を中止することを決定した。
ダーシー・バーン市長は市議会の決定を称賛し、「正しい決定だ」と語っている。VIC州のメルボルン都市圏では既に同様の決定をした自治体があるが、シドニー都市圏では初めて。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。
この市議会決定により、1月26日はオーストラリア建国の祝賀はいっさいせず、バーン市長は、「同日にはアボリジニの人々のヤブン・フェスティバルがあるので市民はそれに参加することを勧める」と語っている。
同市議会ではオンライン世論調査を実施し、圧倒的多数の市民が1776年1月26日の第一次移民船団シドニー湾投錨の日を祝うオーストラリア・デー・イベントに反対したことを受けて、11月12日夜の市議会で祝賀イベント廃止を決議した。
バーン市長は、「シドニー都市圏インナー・ウェストの市民はオーストラリア・デーに対して伝統とは違った見方をし始めている。アボリジニの人々にとってはこの日は植民地化の日であり、土地を奪われた日であり、子供が親から引き離され、言語や文化を意図的に破壊されてきた日だ。そのことを認識する国民は増えつつある。この日を祝賀の日ではなく、民族の対立が始まったことを記念する日とすることを決めた」と語っている。
市民権授与式は従来通り1月26日に行われるが、「今年の市民」表彰式やサマー・フェスティバルの日取りは変更される。
2019年1月、グラディス・ベレジクリアンNSW州首相は、「1月26日をオーストラリア・デーとして祝うことに誇りを感じている。日取りを変える考えはない」と発言している。
NSW州民族和解団体は、インナー・ウェスト市議会の決議を支持する声明を出しており、市議会も市民には毎年シドニー市内ビクトリア・パークで開かれるアボリジニのヤブン・フェスティバルに参加するよう呼びかけている。
スコット・モリソン保守連合連邦政権は、「1月26日の祝賀を取りやめた自治体に対しては市民権授与権を剥奪する」と繰り返し発言しており、VIC州では現に市民権授与式を行えなくなった自治体がある。インナー・ウェスト市議会の決定に対してモリソン政権がどう出るかが注目される。
■ソース
‘The right thing to do’: Sydney council drops Australia Day celebrations