シリア難民キャンプのIS戦闘員残留豪人家族
アメリカ政府は、シリア北部の難民キャンプに閉じ込められた状態になっている豪国籍の元IS戦闘員家族約60人超の救出に米軍を使うことをオーストラリア政府に申し出ていたが、スコット・モリソン保守連合連邦政府は、「米政府の申し出に対して、オーストラリア側には何の変わりもない」と発表している。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。
申し出は、米政府の反テロリズム機関幹部のネーサン・セールス氏を通してオーストラリア政府に伝えられたもので、これに対して、ピーター・ダットン内務相の広報担当官は、「当政府は地域のNGOと協力してできる限りのことをしている。当政府はオーストラリアの役人を危険にさらすことはしない。この問題についてオーストラリア政府の考えに変化はない」と発表している。
また外務貿易省(DFAT)広報担当官もほぼ同様の見解を明らかにしている。
現在、3人の子供とシリアのアル・ハウル難民キャンプにいるオーストラリア国籍女性のシドニー在住の父親、カマレ・ダボウッシー氏は、「支援の申し出があるのに、オーストラリア政府がその申し出を受け入れないというのは理解に苦しむ。娘のマリアムと3人の子供だけでなく、60人を超えるオーストラリア人を難民キャンプからオーストラリアに送還するためにアメリカの支援を受け入れてもらいたい。今、政府がオーストラリア人の子供や家族を救出しなければ、これからの冬にオーストラリア人にも死者が出る恐れがある」と語っている。
DFATは、セールス発言を耳にしているが、「米政府の申し出は、すべての連合参加国に向けて出されている。シリアの外国人戦闘員と家族に関わるむずかしい問題についてアメリカとは話し合いを続けているが、豪米はまだこの問題について公式に話し合ったことはない」と語っている。
トルコ政府は、アンカラに勾留されている3人のオーストラリア国籍のIS戦闘員を引き取るようオーストラリア政府に要求している。
しかし、ダットン内務相は、「オーストラリア政府や豪国防軍の者を危険にさらすことはしない。また、一部の者はオーストラリアの国家安全保障にとって脅威になりかねない。誰一人として騙されてシリアに渡ってはいない。みんな自分の意志でシリアに入ったのであり、残念ながら子供を道連れにした者もいる」との発言を繰り返している。
■ソース
‘Nothing has changed’: Australia unmoved by US offer to rescue IS families