製造元ジョンソン&ジョンソンが敗訴
妊娠などを経て骨盤内の筋肉の弱った女性に起きる臓器が膣に向かって下がって起きる骨盤臓器脱の治療としてメッシュを膣に埋め込む手術が行われたが、副作用の障害に苦しむ患者が続出した。
オーストラリアでは、メッシュ製造元の国際大手ジョンソン&ジョンソン社を相手取って1,350人を超える大規模な集団訴訟が進められていたが、このほど結審し、原告の勝訴が決まった。
ABC放送(電子版)が伝えた。
このメッシュは10年以上前に骨盤臓器脱治療法として売り出された。しかし、メッシュ埋め込み手術を受けた女性の多くが患部の急性・慢性の痛みに悩むようになり、それが精神衛生にも激しく影響するようになった。
連邦裁での審理が進むにつれて、外科医や患者に対してメーカー側から激しいマーケティング攻勢がかけられ、メッシュ埋め込みは短時間に簡単な手術で済むと売り込まれていたことが証言された。
集団訴訟の弁護団は、この訴訟がオーストラリア国内の女性の衛生問題に関する歴史上最大の集団訴訟になったとしており、アナ・カツマン連邦裁判事は、「提出された証拠は圧倒的であり、このメッシュ装置製造元の怠慢が原因だったことは明らかだ」と語っている。
カツマン判事は、「この装置は2017年に禁止されているが、実用化に至る試験が十分ではなく、また、被告企業は、装置の安全性を証明するデータが十分ではないことを知っていた」と判断した。
この裁判の原告の一人、ジュリー・デービス氏は、「この判決は大きな第一歩だ。被害者女性はまるで実験動物のように扱われた。被告側は装置についてウソを並べ、何の助けもしてくれなかった。まったく卑劣なやり方だった」と語っている。
量刑についてカツマン判事は、「何百万ドルにものぼることになる賠償金の額については2020年2月に言い渡す」と語っている。
■ソース
Pelvic mesh maker Johnson and Johnson loses class action suit