がん細胞発見と破壊の新治療技術治験に向け
アデレードの医学研究チームは、新しいがん治療法としてがん細胞を発見し、破壊する技術を開発してきた。間もなく、その技術を治験段階に移行させる用意を進めている。
ABC放送(電子版)が伝えた。
同研究チームは、2020年より、卵巣がん、肺がんの患者を対象に治験を開始する予定になっている。この治療技術は抗体を使い、がん細胞の死骸または瀕死のがん細胞を標的にするもので、研究者は、「この技術が化学療法の効果を高めるのに役立つこと」を願っている。
この治療法はロイヤル・アデレード病院(RAH)の臨床医チームが開発したもので、これまでにマウスのリンパ腫治療に成功しており、人間患者を対象とした治験に3,300万ドルの助成金を確保している。
RAHのがん臨床治験班リーダーのマイケル・ブラウン教授は、「この新しい技術は、がん細胞の死骸や瀕死のがん細胞を標的に低用量の放射性物質を抱えた抗体を使う方法を取っている。この抗体は治療の効果を測定する診断ツールの働きをする。放射性物質からの信号をPETスキャンで検出し、化学療法を受けている患者の体内で化学療法のがん細胞破壊の効果を測ることができる。通常、患者は2サイクルないし3サイクルの化学療法を受け、CTスキャンでがんが小さくなったか、いつ小さくなったかを調べている。私達の開発した技術では2回目のサイクルに入る前に最初のサイクル中にがん細胞の破壊を最大化しているかどうかを検出することができる」と述べている。
また、「この治療法では、薬剤を直接がん細胞に導くことで化学療法の効果を高めることができるのではないかと期待している」と述べている。
ヴィッキ=リー・ノウルズさんは2016年12月に卵巣がんと診断され、当初化学療法で効果があったが、その後、末期がんと宣告されている。ノウルズさんは、「化学療法を受けていても効果があがっているのかいないのか分からない不安がある。効果が早めに分かれば精神衛生上も良好だ。もし、効果があがっていないなら、クオリティ・オブ・ライフに移るか、他の治療法を試すかすることができる。化学療法を長期間受けたあげくに効果がなかったことを知るのは精神的な痛手だ」と語っている。
ノウルズさんは、「卵巣がんと診断された女性は自分だけでなく他の女性のためと考えてこの治験に参加して欲しい」と語っている。
■ソース
Adelaide hospital clinical trial to target and kill cancer cells brings hope to cancer patients