ブッシュファイアさなかの家族との休暇は謝罪したが
保守連合連邦与党の中に、「政府は気候変動対策にもっと積極的に取り組むべきだ」との声が高まっているが、批判を受けてハワイの休暇先から急遽帰国したスコット・モリソン連邦首相は、ブッシュファイアさなかの家族との休暇を謝罪したが、「保守連合内に意見の違いはない」として、気候変動対策も従来通りの路線に変更はないとした。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。
モリソン首相はハワイ休暇を国民からひた隠しにしたことも批判されているが、その理由についてはついに明らかにしなかった。
12月22日、モリソン首相とグラディス・ベレジクリアンNSW州首相はシドニー南西部のウロンディリー緊急管理センターで状況説明を受けた後の記者会見で、「国民は政府が公約を守ることを期待していい。しかし、オーストラリアが気候変動に対して十分なことをしていないという批判は受け入れられない。オーストラリアは温室化ガス排出量削減目標を達成し、目標を上回っている」と語った。
12月21日、留守を預かっていたマイケル・マコーマック副首相が、「オーストラリアはもっと積極的に気候変動対策に取り組まなければならない」と語っており、翌日のモリソン首相の発言は真っ向から対立している。また、モリソン首相の言及するオーストラリアの排出量削減目標なるものは京都議定書下目標達成の数字を現在まで繰り越しているもので、パリ協定下の目標には京都議定書での目標達成を繰り越すべきではないとの意見が世界の主流になっており、この繰り越しを取り除くとオーストラリアは目標には到達していないことになる。
マコーマック発言についても、モリソン首相は、「マコーマックはまさしく私が言ったのと全く同じことを言っているだけだ。パリ協定の目標値を達成することは間違いない」と繰り返した。
パリ協定では、オーストラリアは2030年までに26%から28%排出量を削減しなければならない。
ある自由党議員は匿名を条件に、「モリソン首相は、何週間も続いているブッシュファイアで政界全体が気候変動対策強化に傾きつつあるのに抗して現状維持を貫こうとしているだけだ」と語っている。
■ソース
No change to climate change policy as PM rejects internal split