コアラ棲息を無視して皆伐。VIC州政府捜査言明
VIC州のブルーガム植林地の伐採跡で少なくとも40頭のコアラが死んでいるのが発見されており、VIC州政府のリリー・ダンブロシオ環境相は「犯罪行為」と非難している。また、ダニエル・アンドルーズ州首相も「徹底的に捜査する」と発表している。
ABC放送(電子版)が伝えた。
1月29日、SA州境に近いポートランドのヘレン・オークリーさんがケープ・ブリッジウォーターのブルーガム植林地にハイキングに出かけて、10頭ほどのコアラの死骸を発見、当局に通報した。2月3日、州政府環境省(DOE)の職員が、SA州との州境に近いケープ・ブリッジウォーターの植林地で捜査を始め、植林地内の2箇所に残されたユーカリの木立ちでもさらに10頭を超えるコアラが発見されている。
オークリーさんは、フェースブックにビデオを投稿し、「140エーカーの植林地を皆伐、根こそぎし、棲んでいたコアラを皆殺しにしてしまった。オーストラリアはこの事態を恥ずべきだ。この事態を何とかしなければならない」と語っている。
自然保護管理局のアシュ・バーンズ野火担当官は、「これまでに約80頭のコアラの健康状態を調査し、30頭を薬殺した。誰にとっても気の重い事件だ。すべてのコアラの健康調査が終わるまで続けるつもりだ。これは犯罪であり、現場に残されたものをすべて証拠として扱っている。まだ、100頭ほどが見つかっていない」と語っている。
救出された約50頭はワイルドライフ・シェルターに保護されており、骨折、飢餓、渇水などの症状の治療を受けている。
バーンズ担当官は、「高低のある地形や横たわる木材や伐採跡の屑などが積もっており、コアラの発見救出は難航している」と語っている。
バーンズ氏は、「野生動物保護法により、伐採前と伐採後にコアラ・スポッターの調査などが義務づけられており、また、コアラが他の棲息地に移動するまでの期間、生活できるよう一定数のユーカリの木を残しておかなければならない。4週間前に伐採が終わった時には一部の木がコアラのために残されていたが,その後に倒されており、コアラの餌がなくなってしまっている」と語っている。
一方、農家が所有する同植林地の伐採のため、2019年末にSouth West Fibre社が植林地に入ったが、ABCの問い合わせに対して同社は、「農家に植林地を返還した時にはコアラは76頭確認されており、元気な状態だった。当社としてはコアラの負傷や死亡事故はきわめて厳重に避けるようにしている。社員はこのビデオを見てショックを受けている」と述べている。
また、アンドルーズ州首相は、「伐採が2度行われた形跡がある。1度目は規則に従って適正に行われたが、2度目は土地所有者が規則を無視した伐採を行ったようだ。しかし、まず、しっかりと捜査する必要がある」と述べている。
この事故にポート・マコーリーのコアラ病院のチェーン・フラナガン部長は、「VIC州政府はブルーガム植林地のコアラ管理をブルーガム林産業界に委ねたのか? それは筋が通らない話だ。これまでも小規模な事故が続いており、コアラが死んでいる。今度こそ責任の所在をはっきりさせなければならない」と語っており、3人の獣医を現場に派遣している。
■ソース
Koala deaths in Victorian blue gum plantation ‘a crime’, Environment Minister Lily D’Ambrosio says