強姦被害女性、男権派運動家の勲章に反対

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加害者擁護のビデオ発言を根拠に総督に要求

 保守派男権主張者のベッティナ・アーント氏は、かつてはフェミニストとみなされていたが、次第に保守化し、旧来の婚姻制度や「男権」擁護者としてメディアでのコメンテータとして知られるようになった。過去にも度々児童性虐待加害者を擁護する発言で物議を醸してきた。

 アーント氏が「性平等に貢献したことを顕彰」し、2020年のオーストラリア・デーに連邦総督からオーストラリア勲章を授けられると、驚きと怒りの声が挙がっている。

 さらに、アーント氏が擁護した未成年女子強姦の元学校教師を2度にわたってインタビューし、強姦犯を擁護する発言をしたビデオがアーント氏自身で公開されており、被害者女性が連邦総督に、「アーント氏のオーストラリア勲章を取り消して」と求めている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 グレース・テームさんがその被害者で、2010年、テームさんが15歳の時、ホバートのエリート私立高校の数学教師、ニコラース・ベスターは有罪判決を受けている。2度ペドファイルで有罪判決を受けたベスターの出所後、アーント氏は、ベスターとのインタビュー・ビデオを「フェミニストが不名誉教師を迫害」と題してユーチューブにアップロードしている。

 2017年に発表された17分のそのビデオで、アーント氏は、「テームが性的挑発行為を行った」として、「このビデオで、若い女子に行動をわきまえ、その誘惑力を男性の人生を破滅させるためには使わないよう説くことができるかどうか」と語っている。

 テーム氏は、「このインタビューはペドファイルを正当化する主張をしていて不愉快なだけでなく、事実をねじ曲げている。私が性的挑発行為をしたという根拠はない。当時の私は拒食症に悩む15歳の少女だった。健康ではなかった。教師との性行為に喜んで応じたわけではない。そのことは判決文にもある。その当時の私はどうやって脱け出せるのかも分からなかった」と語っている。

 アーント氏はABC放送のインタビューを拒否し、「その問題は私の受勲とは関係がない」としている。

 問題のビデオはユーチューブに上げられた後間もなくして法的理由で削除されている。

 デビッド・ハーリー連邦総督の広報担当官は、「テーム氏が性暴行問題に対する考えを明らかにした勇気と行動力に敬意を感じている。連邦総督は、オーストラリア勲章授勲審査委員会の推薦に基づいて行動しており、テーム氏が要求した勲章の剥奪または取消についても同委員会に照会し、アドバイスや措置の指示を求めている」と述べている。

 テーム氏は、「連邦総督の人間性と共感、理性に訴えたかっただけで、連邦総督に謝罪や釈明を求めたのではない」と語っており、フェースブックとインスタグラムを通じて、社会の行動を求めている。
■ソース
Rape survivor urges Governor-General to cancel Bettina Arndt’s Australia Day award

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