「外国籍でも豪先住民族は国外追放できない」

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連邦高裁が政府に不利な新判決下す

 オーストラリア・アボリジニの父母が外国に移住し、そこで生まれた子供がオーストラリアに戻って来て、懲役1年以上の刑を受けた場合、豪国籍以外の国に強制送還できるかどうかということが争点になった連邦高裁裁判で、「アボリジニは生まれながらにしてオーストラリア国籍を持ち、その国籍を剥奪することはできない」との判決が出された。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 連邦高裁は、「アボリジニの人々はオーストラリアにおいて特別な地位にあり、移民法の適用対象外になっている」と判断した。

 ダニエル・ラブ(40)、ブレンダン・トーマス両氏は、1年以上の自由刑を言い渡されており、移民法の「人格評価」で失格とみなされ、国外追放を前にして入管収容所に収容されていた。

 連邦高裁は4対3で、オーストラリア先住民族民は憲法上の外国国家の統治を受けるものではなく、従ってその者を移民法に基づいて国外追放することもできないと判断した。

 ただし、連邦高裁の判決は、ラブ氏については完全に断定しておらず、訴訟で述べられている事実からアボリジニとするかどうかで意見の一致には至らなかったとしている。

 2人は、いずれも海外で生まれたが子供の時期にオーストラリアに戻っており、永住権ビザを所持している。

 ラブ氏はパプア・ニューギニアで生まれたが、カミラロイの一員として認められており、暴行傷害で1年を超える懲役判決を受けている。ピーター・ダットン内務相の代理がラブ氏のビザを取り消したが、後にビザ取り消し決定が撤回されており、収容所から解放されている。

 トーマス氏はニュージーランドで生まれ、オーストラリア国籍を持っていないが、グンガリの一員として先住民族権を持っている。同氏は、DV暴行罪で18か月の自由刑判決を受け、その一部を終えたところで入管収容所に移され、高裁判決を待っていた。

 トーマス氏のクレア・ギブズ弁護士は、「この判決は国籍の問題ではなく、誰がオーストラリア国民であり、誰がオーストラリア社会の一員であるかという問題だ。オーストラリア政府の使う外国国家と概念は一貫性がなく、不公正であり、違法であることが証明された。ブレンダンはニュージーランド市民だがオーストラリアにおいても外国人ではなく、従って国外追放措置を受けることはない」と語っている。
■ソース
High Court rules Aboriginal people cannot be deported for criminal convictions, cannot be ‘alien’ to Australia

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