豪医師会会長、反ワクチン派の台頭を警告

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コロナウイルス蔓延の不安につけ込むエセ科学

 5月25日、豪医師会(AMA)は、コロナウイルス・パンデミックのさなかに反ワクチン派が騒がしくなっており、ほうっておけば長年かけて進めてきたワクチンへの国民的合意が損なわれる。連邦政府はワクチン促進の強力な情報キャンペーンを推進してもらいたいと語っている。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 AMAの警告は、5月25日朝のカイルとジャッキーOのKIIS 106.5ラジオ・ショーでセレブリティ・シェフのピート・エバンス氏が、ワクチン科学に対して懐疑論を数回にわたってぶち上げ、何の反論も受けなかったことを危惧して出されたものと見られており、トニー・バートンAMA会長は、「政府やメディアはただちに行動し、反ワクチン派の陰謀論を上回る物量で免疫の科学的裏付けを国民に伝えなければならない」と語っている。

 エバンス氏はシェフだが、自分のインスタグラム・アカウントで「ワクチン・プロチョイス(自由選択)派」を自称している。また、連邦政府の上級閣僚は、反ワクチン派からこれまでにないほどの量の反ワクチン資料が殺到している。

 また、全豪GPカレッジのハリー・ネスポロン会長も、聴取者に「GPに医学的アドバイスを受けるように」と勧めるエバンス氏と番組ホストのカイル・サンディランズやジャクリーン・ラストを批判し、「人気もある有名な2人がエバンス氏の反ワクチン演説に20分も時間を与えたことは非常に残念なことだ」と語っている。

 バートン医師は、「ソーシャル・メディアやセレブリティという地位が間違った情報の保証人の役割を果たしていることはさらに残念なことだ。一般社会に正しい情報を伝えるために努力することは重要だ」と語っている。

 シドニー大学のジュリー・リースク社会科学教授は、「公衆衛生教育キャンペーンはすべて基礎的かつ現実的な提言に集中すべきだ。反ワクチン活動家はこれまでにもまして声が大きくなっており、人々はインターネットで情報を得る傾向があるから、反ワクチン活動家の話を聞く機会が増えている」と警告している。

 KIIS 106.5を所有するオーストラリアン・ラジオ・ネットワーク社は、「2人の番組は軽い娯楽番組。エバンス氏の意見に無批判に20分の時間を与えたことも標準的な番組構成」と反論している。
■ソース
‘Act now’: AMA urges health education to combat ‘growing’ anti-vaxxer movement

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