イスラエルに逃亡のペドファイル容疑者に法廷の断
メルボルンのユダヤ人学校校長を務めた時期に女生徒に性虐待を加えた容疑でオーストラリアの警察から追われているマルカ・レイファー容疑者(54)はこれまでイスラエル国内のユダヤ教超保守派の庇護を受け、「精神耗弱で引き渡しに耐えられない」として、オーストラリア当局からの引き渡し要請を逃れてきたが、5月26日付ABC放送(電子版)は、イスラエル法廷が、「レイファー容疑者は引き渡しに耐えられる精神状態にある」と判断を下したことを伝えている。
レイファー容疑者がオーストラリアに引き渡されれば74件の児童性虐待容疑で裁判にかけられることは必至となっている。
マルカ・レイファー容疑者は、メルボルンのアダス・イスラエル・スクールの校長を務めていた時期の2001年から2008年にかけて、3人の姉妹に性虐待を加えた容疑をかけられている。しかし、レイファー容疑者は、被害者がVIC州警察にレイファー容疑者を告訴する用意を進めていることを知った時点でイスラエルに逃亡している。VIC州警察の容疑者引き渡しに対して、レイファー容疑者の弁護士は、「依頼人は、臨床的うつ病と心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんでおり、オーストラリアへの容疑者引き渡しに耐えられない」と主張しており、何度か、イスラエル国内の法廷で引き渡しを逃れてきた。
今回の法廷の判断で、2014年にVIC州警察が出している容疑者引き渡し請求が通る可能性が出てきた。
2020年1月、精神分析医のパネルがレイファー容疑者を診断し、レイファー容疑者は引き渡しを逃れるために精神障害を装っていると判定しており、すぐにでも引き渡し請求の裁判が始まる見通しだが、レイファー容疑者弁護団がエルサレム高裁に控訴することが予想され、レイファー容疑者の精神鑑定結果が大きくものをいうことが予想される。また、弁護団は、レイファー容疑者が強硬症を患い、うつ病で社会生活もできないと主張してきた。そのため、私立探偵が、強硬症を発症しているはずの時期にショッピング、社交、通勤するマルカ・レイファーの姿を隠し撮りしてきた。また、精神衛生専門家の鑑定も30回を越えており、そのほとんどがレイファー容疑者が引き渡しと裁判に耐えられる精神状態と判定している。
被害者の3人姉妹、ダッシ・エーリッヒ、ニコール・マイヤー、エリー・サッパーの3人はメルボルンのユダヤ教ハシディズム派グループのアダス・イスラエル・コミュニティで育ち、自分達3人すべてがレイファー校長に性的虐待を受けていたことを後になるまで知らず、2015年にダッシ・エーリッヒさんが学校を訴えて127万ドルの賠償金を勝ち取っている。
3人はイスラエルでの裁判の進行の遅れに不満を語っており、レイファーがオーストラリア法廷で裁かれる日を待ち望んでいる。
■ソース
Alleged paedophile Malka Leifer mentally fit to be extradited to Australia, Israeli court rules