現職議員に異例の「外国政府の浸透」容疑
NSW州議会のシャオクエット・モセルメーン労働党下院議員は以前から中国寄りの発言で知られていたが、6月26日早朝に連邦警察(AFP)と情報機関ASIO職員が、同議員の自宅と事務所に捜索令状を執行したことで労働党内にも州議会にも緊張感が高まっている。
ABC放送(電子版)が伝えた。
AFPとASIOは、「この家宅捜索は現在進めている捜査の一環だ」と発表しており、労働党は両司法機関に協力しているが、ジョディ・マッケイ州議会労働党党首は、「モセルメーン議員の事務所が中国政府エージェントの浸透を受けていたという容疑には愕然とした。この容疑を受けて、モセルメーン議員の党員資格を停止した」と語り、同日午後にAFPとASIOから説明を受けると語っている。
一方、モセルメーン議員は州議会議員事務室で議院職員、弁護士立ち会いで尋問を受けた。
モセルメーン議員の兄は、「弟は14歳で労働党に入党しており、心の底からの労働党員だ。中国共産党とは何の関係もないし、中国とも何の関係もない。弟は民族差別の的になっており、AFPはどんな証拠も見つけることはできないだろう。労働党政治家には弟を擁護する勇気のない卑怯者がいる」と語っている。
モセルメーン議員が起訴されれば、2年前に保守連合政府が導入した「外国政府の影響排除」関係法制を初めて適用される可能性もあるが、これまでにABC放送が聞いた証言では、「国内情報機関は、いくらかでも手柄を立てるためにうずうずしているがそのチャンスがない」と伝えられている。
クリスチャン・ポーター連邦法務長官は、「連邦政府はその方面の動きを細かく監視している」と語っている。
さらに、「外国のスパイと外国政府の干渉はオーストラリアの主権と国家安全保障、国家組織にとって深刻な脅威だ」と語っている。
■ソース
NSW Labor MP Shaoquett Moselmane’s home, office raided by police