就役以来31年、豪南極観測のシンボルに
2019年に就役30年を迎えたオーストラリアの南極砕氷船、オーロラ・オーストラリス(南極光)が退役後に海外に身売りする可能性があるという情報が広がっており、オーストラリア南極観測の後方基地になっているTAS州のホバートなどで驚きの声が挙がっている。
ABC放送(電子版)が伝えた。
現在、ソーシャル・メディアを通じて、既に同船が退役後にアルゼンチン政府に売却されることが決まっているとの情報が流れている。
そのため、連邦議会TAS州選出のアンドルー・ウィルキー無所属下院議員は、同船をオーストラリア国内にとどめ、将来的に文化遺産としての資格の審査を進められるようにすることを要請する書簡を連邦政府のポール・フレッチャー芸術担当相に宛てて送っている。
また、同議員は、「ホバート市民にとって、オーロラ・オーストラリスは、クナニイ/マウント・ウェリントン、ダーウェント川と同じように重要な位置を占めている」と語っている。
この情報は、オーロラ・オーストラリス財団の基盤になっている同船ファンがソーシャル・メディアを通じてアルゼンチンのサポーターから連絡を受けたとしている。
ウィルキー議員は、「ホバート市民に、オーロラ・オーストラリスが海外に売却される可能性があると話すと泣きそうになる人さえいる。市民はこの船に特別な愛着を感じている」と語っている。
オーロラ・オーストラリスは、クルーズ船などを所有するP&O社が所有し、長年にわたって南極観測隊員や資材の輸送のために、オーストラリア政府が借り受けていたもので、ウィルキー議員は、「アルゼンチン政府がP&O社に船の代価としていくら払うのか分からないが、おそらくたいした額ではないだろう。これまで、P&O社は同船をスクラップにすることも真剣に検討していたのだから売却代価といっても100万ドルか200万ドル程度でしかないだろう」と語っている。
同議員はTAS州政府にも同船をTAS州の港に永久保存するよう協力を求めており、「当然、連邦政府だけではどうにもできない。動態文化遺産法を適用することはできるだろうがあくまでも州政府が動かなければならない。この船をホバートに保存すれば海洋州としてのTAS州を象徴する存在になるはずだ」と語っている。
P&O社では、「海外からいくつか問い合わせが届いている」と発表している。
■ソース
Alarm raised over possible overseas sale of the retiring Aurora Australis icebreaker