被害は大きいが「犯罪や腐敗の証拠は見当たらず」
9月28日、VIC州の海外帰国者ホテル隔離措置で民間警備会社派遣の警備員の怠慢から帰国者からホテル従業員に感染し、死者768人、感染者18,000人強の被害を出した事故を調査していた調査委員会が結審した。
ABC放送(電子版)が伝えた。
調査委員会では、「措置を設立した公務員には犯罪の意図や腐敗は見当たらず、善意で最大限の努力をした」と証言されている。
また、VIC州警察が民間警備会社をホテル隔離の警備に充てるよう望んだことが、明確な決定意志がないまま、徐々に決定があったものと思い込む結果になった、としている。
調査委員会のベン・アイル弁護士が最終弁論を行い、「ホテル隔離プログラムは、一般社会をコロナウイルスから守ることを最大の目的としていたが、その目的を達せず、逆に一般社会をコロナウイルスの危険にさらす結果になった。この措置の失敗で768人が命を落とし、18,418人が感染した。このアウトブレークの結果、破滅的なけっかになったことはこの2つの数字からも明らかだ」と語った。
また、調査委員会では、遺伝子解析で、VIC州の第二波感染の90%がメルボルン市内スワンストン・ストリートのリッジズ・ホテルで2週間のホテル隔離をしていた海外帰国の4人家族と同じウイルス株だということが証明されている。
また、調査委員会付属のレイチェル・エリアード弁護士は、「VIC州政府の上部責任者が誰一人としてコロナウイルス隔離の決定に関わっておらず、この決定がどこから出たものかもまったく答えられなかったのは驚くべきことだ」と発言している。
さらに、「3月27日午後4時30分にState Control Centre(州統括センター)において会合が開かれ、その時の話し合いが民間会社に警備を委託する最終的な決定要因になった。2,3時間ほどの間に徐々に決定があったような意識になり、誰も異議を唱えなかった」と語っている。
この民間警備会社を雇うという決定が、隔離中の帰国者からウイルスが逃げ広がる原因になったというのが大勢の見方になっている。
■ソース
Victorian coronavirus hotel quarantine inquiry hears Victoria Police position contributed to ‘creeping consensus’ on private security
https://www.abc.net.au/news/2020-09-28/covid-19-hotel-quarantine-inquiry-hears-final-submissions/12709782