「オーストラリアを不寛容な国のように思わせる」

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外務省官僚、国内の中国政策論議の影響を警告

 10月29日、連邦議会上院調査委員会の証人席に座った連邦外務省の高級官僚が、「オーストラリア国内の中国政策論議を中国政府が利用し、オーストラリアを不寛容な国のように思わせる可能性がある」と証言した。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 外務貿易省(DFAT)のフランセス・アダムソン事務次官は、中国政府は国営メディアを使って、キャンベラでの一連の議論を利用してオーストラリアが民族問題や外交政策で不寛容な国のように描く傾向があると警告している。

 10月初めには、エリック・アベツ連邦議会上院議員が調査委員会の席で中国系オーストラリア国籍者に対して、「オーストラリアへの忠誠の証として中国共産党を非難するよう」要求しており、3人は、「自分はオーストラリア生まれのオーストラリア人。なぜ自分達だけが外国の政権を非難することを要求されるのか?」として、アベツ議員をマッカーシズムと非難した。

 マッカーシズムは、1950年代の冷戦時代にアメリカ連邦議会のジョセフ・マッカーシー上院議員が始めた「赤狩り」で共産主義者ばかりでなく、大勢の自由主義者や民主主義者の文化人、芸能人、公務員が解雇されたり、失業したりしている。結局、マッカーシー自身が失脚する結果になって終焉している。

 労働党もこの事件でアベツ上院議員を非難している。

 アダムソン事務次官は、「オーストラリア国内の活発な議論も中国政権にとってはオーストラリアを民族不寛容な社会とのイメージを植え付けることに利用する。むしろ、中国政府はオーストラリア国内の意見の対立に注目し、これを利用しようとしている。私達は、外からどう見られているかということにもっと意識を働かせるべきだ」と語っている。

 アダムソン事務次官は、「オーストラリア国内で、中国系オーストラリア国民のオーストラリア国家に対する忠誠を求めるような行為も中国政府に利用されることになる。中国政府は、中国系の人間がどこの国籍を取得しようと中国人と見なすことにしているというのが現実で、中国系オーストラリア人に対しても中国に対する忠誠を要求しているが、中国系オーストラリア人の意識は必ずしもそうではない」と発言した。
■ソース
Beijing could use China policy debates to portray Australia as ‘intolerant’ country, DFAT official warns

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