14か月かけて豪特殊部隊の戦争犯罪調査報道
ABC放送のジャーナリスト、マーク・ウィラシー氏と調査チームがオーストラリアのジャーナリズム賞、2020年ゴールデン・ウォーキー賞を受賞した。
ABC放送(電子版)が伝えた。
ウォーキー賞は1956年にSir William Gaston Walkleyが創設したオーストラリアの優れたジャーナリストに贈られる賞を5度受賞しており、一度目はイラク戦争報道、2度目は東京特派員時代の2011年に東北大震災の地震、津波、福島原発事故の被災者を人間性豊かに報道して受賞している。その報道番組はいくつもABCTVで放送されており、在豪日本人にもなじみ深い。
今回は「Four Corners」の「Killing Field」という番組で豪軍特殊部隊SASの隊員がアフガニスタンで戦争犯罪を犯した容疑を追っており、遂に連邦政府、国防省も刑事訴追を視野に入れた捜査を始め、元・現SAS部隊員19人がアフガニスタンで男性や子供39人を殺害した容疑がかけられている。
この調査の過程では、連邦警察(AFP)がシドニー市内ウルティモのABC放送本部を家宅捜索する事件も起きている。
ウォーキー審査員は、「ショッキングなヘルメット・カメラの証拠映像、ウィラシー氏の鋭い文章や真実に迫る証言者インタビューで説得力豊かな見事な調査報道番組になった。それ以前にも戦争犯罪を追及した調査は何度も行われており、ウィラシー氏の作業はその総まとめともいえるもので、遂にブレレトン判事の戦争犯罪疑惑調査に結実した。今年の報道番組ではもっとも重大な番組の一つであり、ウィラシー氏とABCチームに祝いの言葉を贈りたい」と述べている。
同番組とウィラシー氏は、「インベスティゲイティブ・ジャーナリズム」部門でも受賞している。
■ソース
ABC’s Mark Willacy wins Gold Walkley for Four Corners’ Killing Field expose into Australian war crimes in Afghanistan