養蜂、果樹、酪農、ビタミン剤生産者に赤信号

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中国がオーストラリア産品に高率の関税

 豪中の外交摩擦が貿易に波及し、中国政府は同国がオーストラリアの第一次産品の一大市場であることを利用して貿易で圧力をかけてきている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 オーストラリアから中国への貿易商品は大麦、牛肉、石炭、棉花、木材、ロック・ロブスター、ワインなどの生産者や輸出業者が中国政府の輸入禁止や厳しい規制で大打撃を受けている。

 両国関係は国交回復以来50年の期間で最悪の状態になっており、IBIS World社の調査によると、オーストラリア国内の養蜂、果樹園、酪農、さらにはビタミン剤までが次の標的になるとみられており、業界には激震が伝わっている。

 同社は、「鉄鉱石は当分安全だが、農産物が高関税の対象になるだろう。中国政府がオーストラリア産業を標的に関税攻撃を続けるならオーストラリア政府の補助制度やオーストラリアに対して国際的な支援が重要にな」としている。また、ビタミン剤もオーストラリア産は中国のビタミン輸入量の5分の1を超える。

 ワインの場合、11月に中国政府はダンピングを理由に200%の関税をかけている。また、今週に入って豪産牛肉の輸入を停止した。

 IBIS World社のリアム・ハリソン産業主任アナリストは、「中国はいくつもの部門でオーストラリアに対して強みを持っている。オーストラリア国内の産業は神経を尖らせているが、コロナウイルス・パンデミックのため、短期間に市場を多角化することもできない」と分析している。

 オーストラリア国内の産業は2015年12月の豪中自由貿易協定調印以来、中国との貿易に依存して拡大してきた。また2019年度には中国はオーストラリアにとって最大の貿易相手国になっており、中国との貿易は総額で26.4%、2,350億ドルにもなる。

 IBIS社は、「オーストラリア産蜂蜜は自由貿易協定以来貿易量が増え、現在では年間30万トン以上が中国に輸出されているが、中国側は容易にオーストラリア産を締め出し、ニュージーランド産に切り替えることができる」と分析している。
■ソース
Australian honey, fruit, dairy and vitamin producers on ‘high alert’ over China tariffs threat, report says

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