アメリカ由来のコロナウイルス・クラスターで露わに
NSW州の専門家は、NSW州のホテル隔離体制の欠陥を指摘し、隔離を厳格化するよう求めている。
ABC放送(電子版)が伝えた。
NSW州ではシドニー都市圏南西部在住で、航空会社のフライト乗務員を空港とホテルの間で送迎している男性がコロナウイルス陽性と判定され、さらに北部ノーザン・ビーチーズでは最初に2人が陽性と判定された後、数日を経ずに40人近い数字に膨れ上がっている。ゲノム解析の結果、いずれも同じアメリカ由来のコロナウイルス株と判定されている。また、南アメリカの航空会社のフライト乗務員がホテル隔離を破って抜け出していたことが明らかになって罰金を言い渡されている。
現在、シドニー空港に到着する国際線フライトの乗務員は14日間のホテル隔離ではなく、次の勤務での出国までの24時間から72時間、ホテルでの自己隔離を義務づけられている。国内では各州・準州ともフライト乗務員の隔離の厳格化に向かっており、VIC州では国際線フライト乗務員からウイルスが市中に広がることを防ぐため、乗務員にはごく少数のホテルでの隔離を義務づける方針を固めている。
シドニー空港には毎週100本以上の国際線航空機が到着しているが、乗務員はNSW州のホテル隔離制度適用を免れている。
SA大学のエイドリアン・エスターマン生物統計学教授は、「ノーザン・ビーチーズ・クラスターは現在のホテル隔離制度の弱点を暴露している。現在、国内でウイルス感染が起きるのは海外から持ち込まれた場合に限っている」と語っている。
また、WHO顧問を務めるメリルイーズ・マクロウズ疫学教授は、「どんな制度も弱点はある。ウイルス抑え込みに成功したオーストラリアでは、海外からの旅行者に対して、出発地のリスクの大小を判断するトリアージ方式が必要だ。また、海外からの入国者は人口稠密な都市部に入るべきではなく、まず、人口過疎地の「検疫隔離所」のようなところに収容すべきだ。また、着陸後に全員を速やかに検査する体制も必要だ」と語っている。
また、「アウトブレーク管理対策を検討するなら制度の欠陥是正も考えるべきであり、人間的要素も考慮すべきだ。たとえば、リスクを市内の複数のホテルに拡散すべきではない」と語っている。
また、VIC州が蔓延第二波の失敗で改善したように隔離その他の作業をすべて公立化し、あるいは信頼できる民間企業に絞って契約するなどしており、国内すべての州、準州で同じようにすべきだとしている。
■ソース
As NSW grapples with the Northern Beaches cluster, experts call for more changes to hotel quarantine