過熱するバラマキ合戦! オーストラリア二大政党が決起集会

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連邦選挙、投票日まで3週間

 オーストラリア連邦与党労働党(中道左派)と最大野党の保守連合(自由党、国民党=中道右派)は13日、選挙キャンペーンの決起集会をそれぞれ開いた。連邦選挙の投票を5月3日に控え、二大政党はいずれも巨額の住宅購入支援策や減税策を新たに発表。なりふり構わぬバラマキ合戦の様相を呈している。

 14日付の全国紙「オーストラリアン」によると、労働党は西オーストラリア州パースで決起集会を開催した。アンソニー・アルバニージー首相(労働党党首)は、国内で問題になっている住宅難への対策をめぐり、◇初めて住宅を購入する人を対象とした既存の住宅ローン政府保証制度について、申請者の所得と適用件数の制限を撤廃し、適用される住宅価格の上限を引き上げること、◇100億豪ドル(約9,000億円)の予算を投じ、初めて住宅を購入する人に特化した低コストの新築家屋を10万戸建設すること、を発表した。

 また、税制関連では、◇業務関連経費を申告なしで一律1,000豪ドル控除できる施策、も公約した。オーストラリアでは、給与所得者も所得税の確定申告を行う義務があるが、控除できる経費が少ない多くの人にとって実質的な減税となる。労働党によると、新制度によって恩恵を受ける納税者は570万人と全体の約4割を占めるという。

 一方、保守連合は歴代の首相経験者ら重鎮が臨席して、シドニー南西郊外で決起集会を開いた。ピーター・ダットン代表(自由党党首)は、◇初めて住宅を購入する人の住宅ローン(新築住宅、最大65万豪ドル)について、返済額を税額控除できる制度を新設すると公約した。保守連合によると、65万豪ドルを住宅ローン(金利6.1%)で借りる年収12万豪ドルの平均的な債務者の場合、手取りが年間1万2,000豪ドル増えるという。

 また、保守連合は政権交代を果たした場合、◇年収4万8,000〜14万4,000豪ドルの納税者を対象に最大1,200豪ドルを控除する一度きりの「生活コスト高騰対策所得税控除制度」、を導入すると表明した。

 オーストラリアン紙は一面トップ記事で「選挙まで3週間を切り、(二大政党の)指導者たちは、(勝敗のカギを握るとされる)大都市近郊に住む、初めて住宅を購入する人や個人事業主から票を得るために、巨額の財政支出を伴うポピュリスト政策を繰り出している」と指摘した。

 エコノミストのクリス・リチャードソン氏は同紙に「いずれの政策も助けにならない。インフレは巨額のマネーが矮小な事象を追いかけること(金あまり現象)によって起こる。政治家が私たちに現金をバラ撒くことが、インフレとの戦いをより困難に、より長引かせることになる」と批判した。

■ソース

Betting the House(The Australian)

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