「住宅の配分が非効率」と不動産調査会社

不動産情報会社「コタリティー」(旧コアロジック)によると、オーストラリアの世帯構成は1〜2人暮らしが全体の3分の2を占めるにもかかわらず、3ベッドルーム以上の広い家が市場の大半を占めている。世帯の規模と現実の住宅供給に著しいミスマッチがあるという。
コタリティーが引用したオーストラリア統計局(ABS)のデータによると、全世帯のうち1人暮らしは27%、2人暮らしは34%と合計で61%を占める。3人以上の世帯は合計39%と少数派だ。
ところが、住宅の規模をベッドルーム数で見ると、「ステューディオ(日本で言うワンルーム・マンション)または1ベッドルーム」が全体の6%、2ベッドルームが18%と合計で24%しかない。一方、3ベッドルームは42%、4ベッドルームは28%、5ベッドルーム以上は6%。全住宅の約4分の3が、子どもの多い大家族向けであることが分かる。
こうした少数世帯のニーズと住宅供給のギャップを踏まえ、コタリティーは「1世帯の人数をベッドルーム数が上回っていること自体に問題はないものの、住宅の配分が非効率である可能性がある」と述べている。
狭くても安い住宅を増やすには?
オーストラリアの都市部では、不動産価格の高騰を背景に「ハウジング・アフォーダビリティー」(住宅購入のしやすさ)が著しく低下。「住宅危機」が社会問題化している。
1人暮らし世帯や子どものいないカップルにとっては、ベッドルームの多い広い家は必ずしもニーズにマッチしていない。資金に余裕のない少数世帯でも購入しやすい小さい住宅の供給を増やせば、住宅問題を少しでも解決できるかもしれない。
コタリティーは、政府が印紙税を廃止して住宅の買い替えを促すと同時に、広範囲な土地税の導入で狭い住宅の開発を促進する税制改革を提言している。そうすれば、小規模でより安い住宅の建設が活発になる可能性がある。必要以上に広い住宅に高い金を払うも、もっと狭い家により安く住めるようになるというのだ。
ただ、こうした政策を実行した場合、初めて住宅を購入する人の税金は減るものの、すでに住宅を所有している約3分の2の有権者の負担は増えることになる。過半数の支持を得られる可能性は低いため、こうした政策は政治的な困難さを伴うとも指摘している。
■ソース
The great mismatch: Smaller households, bigger homes(cotality)