コロナウイルス蔓延のさなか、一般国民生活に打撃
1月25日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、現在、自動車燃料や食料雑貨の価格が急騰しており、物価上昇率が2014年以来最大の数字になっていること。そのため、一般国民世帯に大きな経済的打撃になっていることを伝えている。
豪統計局(ABS)の新データで、一般国民世帯は過去7年で最大のインフレに見舞われており、燃料、新築住宅、衣料費などの価格の急騰は中銀(RBA)の利上げが予想よりも早く行われる可能性や、2022年連邦選挙を目前にして予算も厳しさを加える可能性がある。
ABSのデータによると、2021年12か月の消費者物価指数(CPI)は、3.5%上昇していた。また、基調的インフレ率で2.6%上昇しており、ようやく中銀の定める2%から3%の範囲内におさまっている。
このCPIの急上昇は、大方のエコノミストのコンセンサスである2.3%を大きく上回っており、オミクロン株蔓延前の中銀の2021年予想CPIだった2.25%をも上回っている。RBAは、2023年12月には2.5%程度と予想していたが、新しい予測は来週に発表される予定になっている。
先週、コロナウイルス・パンデミックにもかかわらず失業率が低下したと気を良くしていたジョッシュ・フライデンバーグ財相は、物価上昇の主な原因は世界的な供給チェーンが阻害されていることや商品に対する重要が増大していることだとしており、さらに、このようなインフレもアメリカに比べれば半分程度であり、ドイツ、カナダ、イギリスなどよりも低い。それに比べればオーストラリア経済は驚くほど粘り腰があると語っている。
これに対して、野党労働党のジム・チャーマーズ影の財相は、「物価上昇率は生計費が大きく膨らんでおり、実質賃金は逆に後退している。労働者はこのような低賃金上昇率が続く保守連合政権をもうこれ以上耐えることはできない」と語っている。
2021年第4四半期にはペトロール価格が6.6%跳ね上がっており、食費非アルコール飲料は0.7%、衣料・履き物は2.6%上昇している。また、燃料費は過去1年で32.3%増大しており、青果も6.1%値上がりしている。電気料金は2021年第4四半期には0.4%上昇しているが、2021年1年間を見れば4.8%下落している。
RBAの金利は、2020年11月以来0.1%という記録的な低率であり、2010年以来増加したことがない。
■ソース
Households hit hard on fuel, groceries in inflation’s biggest spike since 2014