元NSW州首相、自由党閣僚、今度は連邦副首相
先日、グラディス・ベレジクリアンNSW州首相(当時)と保守連合連邦政権閣僚と示唆される人物の間でやりとりされたとするテキスト・メッセージがTVジャーナリストによって公開され、双方が、スコット・モリソン連邦首相を、「とてもいやな人物」「まったく錯乱している」と評していた。
この怪文書リーク事件で、モリソン連邦首相直下のバーナビー・ジョイス連邦副首相は、「この閣僚は誰か? 見つけられる前に名乗り出よ」と呼びかけていた。
2月4日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、バーナビー・ジョイス連邦副首相自身がモリソン連邦首相を「ウソつき」「偽善者」と評するテキスト文書がリークされたと報じている。
この文書は、ブリッタニー・ヒギンズ元議員職員(その後、強姦事件に対する大臣らの態度を不満として退職)が2019年3月22日夜、大臣執務室で同僚のブルース・レーマンに強姦されたと訴えた1か月後の2021年3月22日に当時与党国民党バックベンチ議員だったジョイス氏が第三者を通してヒギンズ氏の携帯電話に送ったテキスト・メッセージとされている。
ジョイス氏はその後、マイケル・マコーマック氏から連邦国民党党首の座を奪い返し、それに伴って連邦副首相に復帰している。
連邦議会は今年前半に総選挙が予定されているが、モリソン政権は2019/20年の大規模なブッシュファイアや気候温暖化、コロナウイルス対策で失策が続いており、支持率低下が続くなど苦戦が予想されている。その上、国民党支持者の間には自由党に対する不満もわだかまっており、モリソン首相を「ウソつき・偽善者」と罵るこのジョイス氏のテキスト・メッセージは選挙を目前にして首相と副首相との間の緊張関係をかき立てるものになっている。
このジョイス・メッセージは、ジョイス副首相が、匿名の連邦閣僚に向けて、「名乗り出よ」と呼びかけた後にヒギンズ氏自身がシドニー・モーニング・ヘラルド紙とエージ紙に公開したもので、テキスト・メッセージを仲介した第三者はヒギンズ氏の依頼で秘匿されている。
ジョイス副首相は、2月4日付オーストラリアン紙上で、モリソン首相を「ウソつき・偽善者」と呼んだことを謝罪しており、モリソン首相も謝罪を受け入れたと発言している。
2021年、モリソン政権はフランスとの潜水艦隊建造契約を抜き打ち解消し、イギリスまたはアメリカから原潜艦隊を購入すると発表した。その直後、エマニュエル・マクロン仏大統領から裏切り行為と非難されたモリソン首相が釈明したが、当時、「モリソン首相がウソをついたと思うか?」と質問されたマクロン大統領は、「思うかではない、私は彼がウソをついたと知っている」と答えている。
■ソース
Barnaby Joyce labelled Scott Morrison a ‘liar’ and ‘hypocrite’ in leaked text