労働条件改善要求で保健相との交渉決裂
2月15日、NSW州内の何千人かの看護師、助産師が一斉職場放棄を実行する。医療労働者の職場放棄は2013年以来初めて。
2月14日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。
NSW州労使関係調整委員会(IRC)の「スト中止命令」を押し切ってのストとなる。
同月14日、医療労働組合とNSW州政府のブラッド・ハザード保健相との間の交渉が決裂したことから、24時間または12時間の職場放棄となる。ただし、患者の生命を守るため、最低限の医療職員が職場に残る。
影響を受ける主な病院には、ロイヤル・ノース・ショア、ロイヤル・プリンス・アルフレッドの他、ハンター・ニューイングランド地域でも複数の病院で15日午前7時から、また、ウロンゴン、ウェストミード小児病院、ホーンズビー病院などでは12時間の職場放棄が実行される。
医療労働者と政府保健相との間は賃金だけではなく人員問題も長年にわたって争点になっており、コロナウイルス・パンデミックで病院の医療職員の慢性的不足が悪化してきた。
交渉決裂後、NSW州保健局は、ストが「公共の衛生と安全」を脅かすとしてIRCに「スト中止命令」を申請、IRCがこれを受け入れ、労組に対して3月14日まで一切の争議行為の停止を命令した。
NSW州看護師助産師組合のブレット・ホームズ書記長は、「14日午後、労組加盟労働者には州全域でのスト決行を指示した。私達はIRC命令に従うことはできない」と発表している。IRCの命令に違反した場合、IRCが罰金を科すことになり、通常、労組が罰金を支払っている。
ホームズ書記長は、「ハザード大臣との交渉が決裂した後、看護師に向けて、政府の態度が変わる確かな希望を示すこともできない」と語っている。
看護師、助産師組合の要求は、看護師・患者比率の義務化、パンデミックの2年間に医療職員が常に不足しており、看護師や健康弱者の患者の感染リスクの高さが改善されないまま負担が一方的に看護師にのしかかっていることを考慮し、2.5%の賃上げを要求している。
ドミニク・ペロテーNSW州首相もハザード大臣同様、組合に妥協する意思はなく、「2月15日までに交渉が妥結する見こみはない」と語っている。
NSW州看護師・助産師組合が200支部でスト権確立投票を行い、過半数がストを支持、また、13,000人以上の看護師が職場放棄を支持している。ただし、組合側も治療行為を続けるのに必要な看護師を職場に配置することを決めている。
同組合のオブレイ・スミス議長は、「デルタ、オミクロン株アウトブレークで労働環境が著しく逼迫しており、看護師は疲れ切っている。しかし、看護師の要求は政府に無視されてきた」と語っている。
■ソース
Thousands of nurses to defy eleventh-hour order to halt strike