州首相ら、コロナウイルスが医療制度に大きな負担
2月20日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、各州首相が、コロナウイルス・エピデミックで州立病院に過大な負担がかかっており、それについて連邦からの200億ドルの出資が必要としているが、2022年5月に選挙が迫っている連邦のスコット・モリソン保守連合政権が真っ正面からこの要求を拒否する構えを示していると報じている。
2月18日に開かれた連邦・州・準州の保健相会合は、NSW州自由党政権が同州の要求項目リストを配布したが、その後、完全な物別れに終わった。この要求項目リストには、連邦と州・準州との間のコロナウイルス対策取決めをもう1年延長することや病院制度行き詰まりの原因とされている保健予算増加6.5%上限の廃止などが盛り込まれている。
2月18日付の同文書は、コロナウイルス常態化の環境で公立医療予算を連邦・州・準州の間でこれまでよりも更に公平で永続的な予算配分にすることをモリソン連邦政権に求めている。
しかし、この病院制度への予算負担配分をめぐって物別れに終わったことで、5月21日までに実施が法的に求められている連邦選挙を目前にして、保守連合連邦政権が、各州の自由党、労働党政権との対立を続けることは、保守連合にとっては不利に働くことになる。
各州とも、エピデミックによって膨れ上がった医療予算を連邦と半々で分担することを望んでいるが、現在の取決めでは、連邦が病院予算の45%を負担することになっている。しかし、連邦負担の増加率は上限6.5%と決められており、コロナウイルスによって病院予算が急膨張しても連邦からの資金は抑制されることになる。
文書を配布したNSW州政府のブラッド・ハザード保健相は文書についてコメントを拒んでいるが、VIC、QLD両州の保健相は文書に賛同し、当のハザード保健相とは違って、連邦からの長期的、持続的な医療予算出資を求め、モリソン連邦政権は、国民の健康に対する責任をもっと真剣に考えるべきだろう」としている。
これに対してグレッグ・ハント連邦保健相は、「2013年度と2021年度を比較すれば、連邦の保健出資増加率は92%にもなるが、州の増加率は44%にしかならない」と反撃している。
■ソース
Morrison on a collision course with the states over hospital funding