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NSW州で初の日本脳炎患者、集中治療室に収容

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感染ブタのウイルス汚染血液を蚊が媒介して人間に

 日本では日本脳炎はワクチンの普及で患者も著しく減ったが、もともと日本と名前はついても日本固有のウイルスではなく、西太平洋地域一帯で今でも感染症が発生している。

 日本脳炎ウイルス(JEV)に感染したブタの血を吸った蚊が人間の血を吸う際にウイルスを媒介するものであり、蚊が感染者の血を吸ってもヒトの血液には十分な量のウイルスがないため、ヒト->蚊->ヒトという感染経路はないとされている。日本脳炎ウイルスに感染すると脳が膨れるなどの症状で患者の死亡率も低くない。

 3月四日付ABC放送(電子版)は、NSW-VIC州境地域の住民がこの日本脳炎感染とみられ、ICUで治療を受けており、容体は安定していると発表されている。さらにNSW州内で数人が追加検査を受けており、今後、感染者がさらに増える見込みになっていることを伝えている。

 3月に入って、QLD、NSW、VIC、SA州でJEVが確認されており、全国的に重大な病原問題と宣告されている。また、NSW州保健局は、「JEVに感染してしまうと特別有効な治療法がないため、州民はできる限り蚊に刺されないよう警戒してもらいたい」と発表している。

 3月4日にはQLD州で初のJEV人間患者が現れており、60代の女性がQLD州南部でキャンプ旅行した後で危篤状態になっており、現在生命維持装置を着けられている。この女性の感染の前にはQLD州南部のグーンディウィンディ養豚場のブタから採取したサンプルから日本脳炎ウイルスが検出されている。

 これまでJEVはオーストラリア大陸北部の熱帯地域や周辺島嶼国で発見されることはあっても、NSW州でヒトや動物に感染するケースは見つかっていなかった。

 そのため、JEV感染ブタが見つかった農場の周辺地区では蚊退治の活動が続けられているが、NSW州政府のマリアンヌ・ゲール主席医務官代理は、「日本脳炎ウイルス感染予防には蚊に刺されないことが最良であり、蚊は特に夕方と明け方に活動する。そのため、キャンプ、魚釣り、その他の野外活動をする際にはよく注意すること、特にマレー川とその支流の水辺近くでの活動には注意してもらいたい。このところ雨が続いていることから蚊の発生に適した条件になっており、その地域で朝夕活動する際にはできるだけ長袖シャツ、長ズボン、靴下、靴着用で肌の露出を減らすことが重要だ」と語っている。また、肌の露出部には、DEET、ピカリディン、レモン・ユーカリ油を含んだ虫除けを塗っておくことが勧められている。また、サン・スクリーンと併用する際にはサン・スクリーンの後で虫除けを塗ること。肌が濡れると虫除けの効力が落ちるので再塗布すること、などが注意として挙げられている。
■ソース
NSW records its first probable human case of Japanese encephalitis

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