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牛や羊のげっぷや屁に含まれるメタン なぜ削減するの?

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オーストラリアの労働党政権 国際協定調印目指すも「メタン税は導入しない」 

Photo: Seiji Seiji on Unslpash

 牛や羊のげっぷや屁から排出されるメタンは、温室効果が二酸化炭素の約28倍あるとされる。このため、米国や欧州連合(EU)など100カ国以上が、2030年までに20年比で30%削減するとの国際協定に批准している。オーストラリアの前保守政権は、農畜産業への配慮から消極的だったが、労働党の現政権は協定への調印を目指している。

 公共放送ABC(電子版)によると、マレー・ワット連邦農業相は13日、「メタン削減は野心的な目標であり、私だけではなく農業生産者も支持している」と述べ、現時点では公式に発表していないものの、生産者団体と協議した上で国際協定への調印を目指す意向を明らかにした。ABCによると、11月にエジプトで開かれる国際会議での調印が視野に入るという。

前政権の方針転換、一転して調印に前向き

 保守連合(自由党、国民党)の前政権はメタン削減協定の調印に否定的だった。国民党のバーナビー・ジョイス副首相(当時)は昨年10月、「2030年までにメタンを30%削減するには、銃を手に取って牛を射殺するしか方法はない」と語っていた。

 現在の野党国民党党首で「影の内閣」の農業担当を務めるデービッド・リトルプラウド氏も、メタン削減協定への調印は畜肉の価格を上昇させるとして批判している。同氏は「富裕層だけがオージー・バーベキューを楽しめるようになってはいけない。狂ったメタン削減案を拒否するよう動労党政権に求める」と述べている。

ニュージーランドはメタン税導入へ

 連邦産業省の資料によると、オーストラリアの温室効果ガス排出量(2019年)のうち約13%が農業由来。このうち約8割がメタンで、その約9割が家畜の腸内発酵。つまり国全体の排出量の1割弱が、げっぷや屁ということになる。温室効果がきわめて高いメタンの削減は、畜産業が脱炭素を進める上で大きな壁となっているのだ。

 国や農業団体も手をこまねいているわけではない。畜産部門のメタンの削減策としては、飼料の改良や添加物、家畜の品種改良など様々な研究開発が官民で行われている。「カギケノリ」と呼ばれる海藻を飼料に混入して家畜に食べされれば、メタンを8割以上削減できるとの研究結果も出ている。海藻由来の飼料添加物の商業化を目指すベンチャー企業も立ち上がっている。

 酪農業が盛んな隣国ニュージーランドでは、ジャシンダ・アーダーン首相が今週、2025年から農業部門の温室効果ガスについて「メタン税」を導入すると発表している。

 一方、オーストラリアの連邦政府は、こうした新税の導入には否定的だ。

■ソース

https://www.abc.net.au/news/2022-10-13/australia-set-pledge-methane-emission-reduction/101531516(ABC News)

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