人工知能で作文などを自動生成 簡単に宿題できてしまう?
オーストラリアの教育現場では、人工知能(AI)で作文を自動生成するアプリ「チャットGPT」(ChatGPT)の利用を禁止する動きが広がっている。課題などで学生が不正に利用するとの懸念が深まっているためだ。メディア大手ニューズ・リミテッドのサイトが3日、報じている。
オーストラリア国内では、東部ニュー・サウス・ウェールズ州教育省が1月下旬、新学期から学校でのチャットGPT使用を禁止したのに続き、北東部クイーンズランド州、西オーストラリア州、南部タスマニア州、南部ビクトリア州も相次いで禁止を発表した。
チャットGPTは、イーロン・マスク氏(米電気自動車大手テスラ最高経営責任者)らが2015年に米国で立ち上げたAIベンチャー「オープンエーアイ」(OpenAI)が開発した「チャットボット」と呼ばれる対話型のAIツール。
アカウント登録すれば無料(有料サブスクプランあり)で利用できる。検索エンジンと同様に質問やキーワードを入力すれば、実在する人間が書いたような文章を自動的に生成してくれる。入力言語は制限されておらず、日本語で質問すれば日本語の文章が出てくる。
手書きの宿題に回帰する動きも
チャットGPT自体は怪しい闇のアプリというわけではない。オープンエーアイには米IT大手マイクロソフトも出資しており、人類にとって有益なAIの利用や普及を目指している。
ところが、チャットGPTが昨年11月に公開されるやいなや、欧米の教育現場では課題のエッセイや小論文などに悪用されるとの懸念が浮上したため使用禁止の流れが強まった。ただ、学校内のネットワークから締め出しても、学校外での利用制限は難しい。このため、家での宿題を減らしたり、昔ながらの手書きの課題を増やしたりする動きも出ているという。
一方、オープンエーアイは今週、AIで生成された文章を検出できるツールを公開した。完全に見抜くことは困難だというが、同社は「教育現場で起きていることとチャットGPTの可能性と限界について、米国の教育機関と協議している」と述べている。
■ソース
Australia’s public education systems bans chatbot(news.com.au)