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オーストラリア政策金利3.35%に引き上げ 9会合連続で利上げ

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ロウ豪準備銀総裁「インフレ目標に戻すことが最優先」


豪準備銀(RBA)のフィリップ・ロウ総裁

 オーストラリアの中央銀行、豪準備銀(RBA)は7日、新年1回目の会合(1月は休会)を開き、政策金利を3.10%から3.35%に引き上げることを決定した。0.25ポイントの利上げは市場の予想通りで、サプライズはなかった。同金利は2012年9月以降の約10年間で最も高い水準となった。

 利上げは2022年5月以降9会合連続。累計の引き上げ幅は3.25ポイントに達した。コロナ禍からの経済再開、世界的なサプライチェーンの目詰まり、ロシアによるウクライナ侵攻によるエネルギー価格などによる複合的なインフレを抑え込むことが目的。しかし、現行制度下で前例のないハイペースの利上げは、住宅ローン金利の上昇や不動産市況の低迷、借り入れコストの上昇など副作用ももたらしている。

 ところが、22年12月期(10月〜12月)の消費者物価指数(CPI)が7.8%と1990年以来33年ぶりの高水準を記録するなど、インフレの勢いが収まる兆しは依然として見えない。RBAはインフレ抑制を優先し、金融引き締めを継続する姿勢を明確にした。

 RBAのフィリップ・ロウ総裁は理事会後に発表した声明で「金融政策が作用するまでには時間差があり、利上げの累積効果はまだ住宅ローン金利の支払額に完全に反映されていない」と述べ、利上げの効果が今後浸透するとの見方を改めて示した。

 一方で同総裁は「予想される個人消費の減速が、いつ起こり、どの程度まで進むかは不透明だ。相当な貯蓄がある家庭がある一方で、高い金利と生活コストの上昇によって予算が減らされ、辛い思いをしている家庭もある。住宅価格の下落も家計に悪影響を与えている」と指摘。利上げが景気に影を落としつつあることを認めている。

 その上で同総裁は「(RBA)理事会にとってインフレを目標(2〜3%)に戻すことが最優先だ。高いインフレは人々の生活を苦しいものにし、経済活動に損害を与える。高いインフレが固定化してしまうと、後でそれを引き下げるには多大なコストがかかる」として、利上げの副作用よりもインフレ退治を優先する考えを改めて表明。「今回の高インフレが一時的なものであることと、インフレが目標に戻ることを確認するため、今後数カ月間はさらなる利上げが必要だと考えている」としばらく利上げを継続する意向を示した。

 オーストラリアの主なエコノミストの間では、今回の利上げ局面の政策金利のターミナル・レート(上限)は「年央までに3.85%」との見方が主流になりつつある。この観測が正しければ、0.25ポイントの利上げがあと2回実施されることになる。

■ソース
Statement by Philip Lowe, Governor: Monetary Policy Decision(Reserve Bank of Australia)

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