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ジェット気流を駆け上がる「カンガルーの翼」 オーストラリアのカンタス航空、通期で4年ぶり黒字決算

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売上・利益ともに「コロナ前越え」

最後の通期決算で有終の美を飾ったカンタス航空のアラン・ジョイス最高経営責任者(CEO=左)と11月に女性初のCEOに就任するバネッサ・ハドソン氏

 オーストラリアの航空最大手、カンタス航空が再び強い上昇気流に乗っている。新型コロナ感染拡大による3年間の乱気流を抜け出した格好だ。24日に発表した2022/23年度(22年7月〜23年6月)の通期決算は、売上高、利益、利益率ともにコロナ禍前の水準を上回った。

 グループ全体の売上高は、198億1,500万豪ドル(約1兆8,600万円)と前年度(91億800万豪ドル)比で117.6%増えた。コロナ禍前のピークだった18/19年度(179億6,600万豪ドル)と比べ10.3%増の水準を記録した。

 営業利益に相当する「税引き前基調利益」は24億6,500万豪ドル(前年度は18億5,900万豪ドルの赤字)と19/20年度以来3年度ぶりに黒字転換した。18/19年度(13億2,600万豪ドル)比で85.9%高い水準。営業利益率も13.5%と18/19年度の9.0%を4.5ポイント上回った。

 最終利益(税引き後法定利益)は17億4,400万豪ドル(前年度は8億6,000万豪ドルの赤字)と18/19年度以来4年度ぶりの黒字を達成。18/19年度(8億4,000万豪ドル)を107.6%上回った。

 同社は、フルサービスのカンタスと格安航空ジェットスター、国内地方線のカンタスリンクなどを運航している。主な部門別の売上高は、カンタス国際線が77億4,900万豪ドル(109.1%増)、同国内線が69億8,000万豪ドル(前年度比102.4%増)、ジェットスター(国内線・国際線)が42億3,500万豪ドル(194.1%増)、マイレージプログラムなど「ロイヤルティー」事業が21億8,900万豪ドル(64.1%増)だった。これらの主要事業の売上高はすべてコロナ禍前を上回った。

ジョイスCEOは有終の美 女性初の新社長にバトン

 カンタスのアラン・ジョイスCEOは24日、10億豪ドルを投じた再建計画の終了を宣言。決算発表のスピーチで次のように述べた。

「コロナ禍で70億豪ドルの累積最終赤字を出した頃とは隔世の感があります。3年間の経営建て直しは驚くべきことですが、非常に困難な道のりでした。(都市封鎖時の)11週間は破産の危機に直面しましたが、厳しい環境の中で運航を再開させ、国内で最高水準の運航実績を記録するところまで回復することができました」

 ジョイス氏は今回が最後の決算発表。08年から15年間トップを務め、世界金融危機とコロナ感染拡大という2つの大ピンチを乗り越えた。以前から引退を表明していたが、コロナ禍からの再建計画を成し遂げるために取締役会が留任を要請していた。有終の美を飾る形で11月に退任し、同社103年の歴史で女性初のCEOとなるバネッサ・ハドソン氏(現最高執行責任者=COO)に操縦桿を譲る。

■ソース

Qantas Group FY23 Appendix 4E and Preliminary Final Report(ASX Announcement)

Qantas Group FY23 Results CEO Speech(ASX Announcement)

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