幸せワイン・ガイド@オーストラリア
今月のテーマ:「缶入りワイン」
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日豪プレス読者の皆様、明けましておめでとうございます。今年もたくさんのおいしい楽しいワインをお伝えしていきます。今回は、以前ピクニックの回でも少しご紹介しました「缶入りワイン」を取り上げたいと思います。
缶入りワインは、実はオーストラリアにも昔からありました。が、「ワインは高級な飲み物」というイメージが強かったためか、その種類はごく限られたものでした。ですがここ数年、缶入りワインが急激な成長を見せています。オーストラリアだけでなく、ニュージーランド、アメリカ、そしてヨーロッパからも、缶入りワインがたくさん出回るようになりました。以前に比べて選べる種類も格段に増え、最近では若年層を意識してか、「インスタ映え」を狙った可愛いパッケージのものもたくさん見受けられます。既に通常のガラスのボトルで出回っているワインを、缶入りパッケージとして別途販売する大手メーカーも増えています。これには、ワインがより幅広い層に受け入れられるようになったこと、そしてワインというものへの認識がより柔軟になってきた現代社会を映し出しているものだなと感じます。さらにこの背景には、最近の気候変動による環境への配慮もあるようです。見かけが可愛い、楽しいだけでなく、環境にも優しい点が実は多いのです。缶ワインの利点をいくつか挙げてみました。
- 軽量で割れにくい。旅行、キャンプ、イベントなどにも持ち運びしやすい。
- ガラス瓶よりスピーディーに冷やせる。
- 100%リサイクル可能でゴミが少なく、環境にも優しい。
- 1人でも手軽に買える飲みきりサイズ。
- 遊び心が感じられる楽しさ。
- 光や空気を遮断する密封容器でワインの劣化が一定の期間防げる。
肝心の中身は?
缶入りワインは、総合的に見て比較的低アルコール度のものが多い印象です。(全ての缶入りワインが低アルコールというわけではないので、購入時に都度ご確認ください)。気軽な環境で飲むことを想定しているためか、ラインアップにはロゼ、モスカート、プロセッコ、ソーヴィニヨン・ブランなど飲みやすさを重視したワインが多く、赤ワインももちろんありますが、やはり軽めの「楽しい」「カジュアル」なスタイルが中心のようです。中にはリキュールをブレンドしたワイン・カクテルの缶もあったりします。いずれもフレッシュなうちに楽しむ早飲みタイプ、買ってからすぐに楽しむには十分なクオリティーのものがたくさんあります。
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どんな場所で飲むの?
ピクニックやフェスティバルなどの屋外イベントで、BBQやキャンプ場で。更にはシドニーのカジュアルでちょっとかっこいいレストランやバーでも見かけるようになりました。缶ワインがいずれガラスのボトル・ワインに取って代わるということはないでしょうが、ワイン・ライフに新しい形で楽しみを加えてくれるもう1つのアイテムとして、既に幅広く受け入れられているのを感じます。もちろん自宅で1人で、あるいは友人と飲むのにも最適。1~2杯だけ飲みたいときなどに、気軽に開けられるのが便利ですね。
缶ワインを楽しむ時の注意点
缶入りワインにはそのパッケージの性質上からか「消費期限」が付いていますのでご注意を。そもそも論として、ガラス瓶であろうが缶であろうが、ワインは永遠に保存できるものではありません。ワインそれぞれのポテンシャルにもよりますが、缶入りワインの多くはリリースされてすぐに楽しめるように、フレッシュな飲み心地を楽しむことを想定して作られているものがほとんどです。缶ワインは消費期限に注意しつつ、購入してどんなに長くても1年以内を目安に飲むことをお勧めします。
また、缶から直接ワインを飲むことはお勧めできません。できればグラスに、せめてカップに移してから飲んでみてください。飲み比べると明らかですが、缶から直接飲んでしまうとどうしてもエグミを強く感じてしまいます。ワインは器で味わいが大きく変わる飲み物です。
*今月のお薦めワイン*
気軽に楽しめてパッケージも可愛い缶ワイン
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フロスト結子
オーストラリアと日本でワイン業界に携わり10年以上。ワイン卸業社に勤務しながらフリーランスでもワイン専門通訳、翻訳、ライター、市場調査、イベントなど幅広くこなす。私生活ではマラソン・ランナー。世界最大のワイン教育機関WSETの最上位資格、WSET®︎Diploma in Wine & Spirits及び日本酒のAdvanced Certificateを取得。
Web: auswines.blog.jp