【税とビジネス】不動産投資と「ネガティブ・ギアリング」

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不動産投資と「ネガティブ・ギアリング」

投資に興味のある人なら聞き覚えのあるネガティブ・ギアリング(Negative Gearing)という言葉。特に不動産関係で聞くことが多いと思いますが、本来は不動産に限らず投資全般に使う言葉です。先の選挙では、ネガティブ・ギアリングによる節税に制限額を付けるとか、できないようにするとかという話が出て話題になりました。将来的にまた、この制度変更案は復活するかもしれません。

ネガティブ・ギアリングとポジティブ・ギアリング

ネガティブ・ギアリングとはお金を借りて投資をし、投資収入よりも投資に掛かる借入利息プラス費用の方が多いために損失が出ることを言います。特にオーストラリアはゼロ金利政策の日本に比べ借入金利(お金を借りた際に払う利息額)が高く、利息額が高いために損失になるケースが多々あります。一時は日本のサラ金並みの利率でした。それでも最近は公定歩合も下がり、銀行のローン利率も下がっているので、ローンを組んで購入しても以前ほど損失になるケースは少なくなってきました。

このネガティブ・ギアリング、当たり前ですが損失なので損をしています。「損失=マイナス」ということでネガティブと呼びます。しかし、将来値上がりが起こった場合に売却益を得ることでこのロスを挽回し、利益を得るという戦略です。これを専門用語でキャピタル・ゲイン(Capital Gain)と言います。

これに対しポジティブ・ギアリングはこの逆で、投資収入よりも掛かる費用が少なく、投資自体で利益が出ている状態です(インカム・ゲイン=Income Gain)。これに加え、売却益もある場合は上記のキャピタル・ゲインも得られます。

不動産投資によるネガティブ・ギアリングは強力な節税戦略

ネガティブ・ギアリングには、大きなポイントとして税金上のベネフィットがあります。もともと不動産による節税の方でネガティブ・ギアリングは有名になったと言う方が正しいかもしれません。

現在の税法では、投資での損失は他の収入と相殺できます。つまり、投資での損失はマイナスであり、他の収入と差し引くと、総収入が減るわけです。この結果、税金が減るという案配です。

逆に言えば、収入が少ないとネガティブ・ギアリングで税金が減るとは言っても、相殺する収入が少ないために効果がないことがあります。


賀谷祥平
競馬騎手、豪州公認会計士、米国公認会計士、登録税理士。James Cook University MBA、University of New England会計学修士、上智大学経済学部卒。2001年上智大学在学中に、騎手を志し豪州の競馬学校に入学。03年、NSW州Coffs Harbour競馬場にて騎手デビュー。現在はNorth QLDで騎乗している。
Web: www.facebook.com/shoheikayawww.ezytaxonline.com.au/ja

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