フィジオセラピストに聞こう 体の痛み改善法 第103回
パンデミック頭痛にご用心!
今年は世界が経験したことのない状況の中で、不安やストレスの多い日々が続きました。
このパンデミックが引き金となり、生活習慣の変化を余儀なくされる方も多かったことでしょう。
フィジオ業界では、いまだかつてない程、頭痛の症状を訴える患者が増えています。また、不調を訴える患者も小学生などとても若い年齢層にも広がっています。
理由はさまざまですが、家族それぞれに学校や職場など活動場所があったのに、全員が家の中(生活する場所)で日中の活動を行わなくてはならなくなり、お互いに必要以上にストレスが掛かったことが大きな原因の1つと考えられています。
また、不確実性の高い新型コロナウイルスの状況や、それに伴う仕事(生計)の不安定感もストレスを増加させます。
自宅で仕事や学習するようになると、長時間のデスク・ワークに適した机や椅子がない場合も多く、また新たに購入しようにも売り切れの期間も長かったようです。そのため、既に自宅にある家具で間に合わせたり、ノート型パソコンを長時間使用することで姿勢が崩れ、首に負担が掛かり、首痛や頭痛に発展していくのです。
PC作業時の正しい姿勢
姿勢を正した状態で、画面の中央が目の高さになるように台の上などに載せ、必要があれば椅子を下げる。
首と背中の境目にコブが無いように(片手を首の下部に当てると分かりやすい)肩甲骨を後ろに引き、首を後ろに向けて平行に引く。この姿勢自体は大げさに引き、15秒間維持する。その後は楽な姿勢に戻して構いませんが30分ごとにこの姿勢を繰り返すようにする。
フィジオセラピーでは痛み止めのような薬は使わず、首の上部関節を治療することで崩れた姿勢での関節に掛かる圧力を緩和し、痛みを取り除きます。
硬くなった背中の関節の可動域を広げるためのストレッチや、正しい姿勢を保つための背中と首の筋肉を強化するためのエクササイズを処方します。
正しい姿勢を心がけてパンデミック頭痛や首痛を改善し、少しでもストレスを減らし、withコロナの状況が長引いても自分で健康管理ができるように心掛けましょう。ノート型パソコンも台などに載せ画面の中央を目の高さに合わせ、別にキーボードとマウスを使いましょう。
セラピスト紹介
奥谷 匡弘(ただひろ)
オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。セント・ヴィンセント病院で勤務後、自身のクリニックでプロ・スポーツ選手や財界の著名人の治療に多く携わる。特に顎関節症や頭痛治療に造詣が深く、セミナー講師も務める。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au/