医療
Q
一般のワイヤー矯正治療の代わりに透明マウスピースを使う矯正治療が増えていると聞きましたが、こうした新しいタイプの矯正治療は常に改善されているのですか? 歯科治療における最新技術を教えてください。(28歳女性=会社員)
A
透明マウスピースを使った歯科矯正を「インビザライン」と言います。オーストラリアでは、日本でのインビザライン矯正治療に比べて3~5割安く治療を受けられるという利点から、ここ10年ほど多くの日本人が利用しています。インビザラインは早いスピードで常に技術開発が進んでいる分野ですが、今回はその最新情報を踏まえて説明していきます。
日本、オーストラリア共にほとんどの歯科クリニックでは、いまだに患者の歯並びの型を取り、インビザライン本社のあるアメリカにその型を毎回送り、3D画像を作成する作業をしています。しかし、最新の技術を採用している歯科クリニックでは、歯型を作り出す3Dスキャナーをクリニック内に設置しており、インビザライン治療を通常より早いペースで行うことが可能です。この場合、インビザライン治療の3Dアニメーションを作成することで、治療をより的確に進めることが可能になっています。
日本では、オーストラリアと比べると2年ほどの遅れが生じていると言われてきましたが、最近では3Dスキャナーを取り入れているクリニックも多数出てきました。
このように的確でスピーディーに矯正治療を進めることのできるインビザラインですが、検診の後で、歯並びが悪すぎてインビザラインでは矯正できないと断られるというケースも少なくないようです。しかし、これはインビザライン治療を行っていないクリニックや、インビザラインに慣れていないドクターに多く見られることなので、そのような診断をされた時には他の歯科医にセカンド・オピニオンを求めることをお勧めします。
晴れてインビザラインの治療を決めた場合、その後の治療は以下のようなプロセスを経て進んでいきます。
- スキャン+写真撮影
- 3D治療プランの確認
- インビザライン社(USA)でマウスピースを作成
- マウスピースの受け渡し
インビザライン治療中にクリニックに通う頻度は、平均すると1~3カ月に一度のペースです。基本的に患者は1回で複数のマウスピースを渡され、その間歯科医から事前に指定された通りに決まった日に使用するマウスピースを取り換えて、徐々に歯並びを締めていきます。
*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。
ノックス・キム院長
シティ・ワールドタワー歯科(Dental Clinic @ World Tower)
オーストラリア・シドニー大学歯科学部を卒業。キャンベラやストラスフィールドで勤務した後、03年にワールドタワー・レーザー歯科を開院(東京・大阪・名古屋・千葉・京都・アメリカに提携クリニックあり、医療法人スワン会グループ)。一般歯科治療のほかにも多くの歯科関連資格を保持。インビザライン特別推薦ドクター。東京臨床協会(SJCD)、アメリカ審美歯科学会会員。シドニー大学臨床講師