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日豪フットボール新時代(QLD)第103回「再建」

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第103回 再建
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

チーム状態は最悪のロア。GKヤングも昨季のキャリア・ハイの状況から一転、苦しいシーズンを送る(写真:Nino Lo Guidice)
チーム状態は最悪のロア。GKヤングも昨季のキャリア・ハイの状況から一転、苦しいシーズンを送る(写真:Nino Lo Guidice)

今回は、筆者の地元ブリスベン・ロアの話をしよう。先に断っておくが、ジョン・アロイジ前監督辞任のショック療法もプラスに作用しなかったチームに明るい話題はない。

それも当然。第18節を終えた時点で、2勝6分10敗の勝ち点12で9位。第18節でシドニーFCを倒したアップセットは、実に第5節以来、13試合ぶりの勝ち点3だった。こんな体たらくでも最下位ではないのが何とも不思議だが、かつての名門にしてみれば余りにレベルの低い話で目を覆いたくなる状況は変わらない。ファイナル圏内6位との勝ち点差は15も開いている。残り試合数を考えれば計算上は逆転可能だが、今のチーム状態を鑑みて、それはもう無理と思った方が良い。

現況はあまりに厳しい。リーグ・ワースト3位のDF陣からレギュラーの両SBが共にシーズン絶望。けがで離脱中だったはずのCBは、母国の名門からのオファーに笑顔で移籍していった。何とか急ぎ補強した新戦力は他クラブを戦力外になった選手だけに計算が立たずといった状況で、劇的な改善は見込み薄だ。

攻撃面でも明るい材料は乏しい。深刻なひざのけがで開幕前にシーズン絶望のブレット・ホルマンは、1月、そのまま引退の可能性を示唆した。ホルマンの代役として期待されたMFステファン・マウクも早々にけがで離脱。助っ人陣も精彩を欠いた。その中で、1人気を吐くのが、かつての得点王アダム・タガート。そんな彼は、活躍すればするほど移籍の噂が高まり、来季もロアにとどまる可能性はほとんどないと言える。そんな現況を見る限り、来季のロアにとって、戦力の総入れ替えは必至。そうであれば、残り9試合は若手起用にシフトし、次代を担う選手たちにチャンスを与えたい。例えば、シドニーFC相手に決勝点を挙げたFWディラン・ウェンゼル=ホールズには、来季を見据えて多くのプレー時間を確保してあげたいところだ。

最後に1つ。このクラブがかつての栄光を取り戻すための唯一の再建策がまだ残されている。それは、クラブの行く末を憂う全ての人が願うように、現オーナーのインドネシアの財閥バーキー・グループが、もっとクラブ運営に情熱を傾けられるオーナーに速やかにクラブを売却すること。買い手はないわけではないが、強欲の現オーナーは複数のオファーを断ってきた。この場で、私も旗幟を鮮明にしたい。#BakrieOut、今のオーナーシップのままでは未来はない。


【うえまつのひとり言】
豪州女子代表マチルダスの監督解任問題が大きく動いている。FFA主導の調査で判明したパワハラ疑惑で突如解任されたアラン・スタジッチ前監督を擁護する声が各所から上がり、前監督自体も沈黙を破って自らの正当性を訴えた。FFAのガバナンスへの信頼が大きく揺らいでいる。

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