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2019年3月 メルボルン/ローカル・コミュニティー・ニュース

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マフィアの大物、獄中で襲撃される

弁護人は警察の内通者――無罪の可能性も

2018年にギリシャで逮捕されたトニー・モクベル容疑者(当時)(Photo: AFP)
2018年にギリシャで逮捕されたトニー・モクベル容疑者(当時)(Photo: AFP)

メルボルンのマフィア界屈指の凶悪な男が、獄中で瀕死の重傷を負った。犯罪組織の通称「ザ・カンパニー」の首領、トニー・モクベル受刑者(53)は2月12日、メルボルン西方バーウォン刑務所内で受刑者2人に襲われて重体となり、ロイヤル・メルボルン病院にヘリで緊急搬送された。別の受刑者(31)も刺され、病院で手当てを受けた。公共放送ABC(電子版)が報じた。

VIC州警察は共に21歳の受刑者2人を殺人未遂などの容疑で起訴した。モクベル受刑者は3カ所を刺されたとされるが、警備が厳重な刑務所内でどんな凶器が使われたかなど、犯行の詳細は現時点で不明。モクベル受刑者は20日、様態が安定したため同病院を退院したが、VIC州政府は次の収容先を公表していない。

バーウォン刑務所はVIC州の最も危険な受刑者が集められ、最大級の警備が敷かれているとされる。ところが、同刑務所では2010年、同じくメルボルンのマフィア界の大物だったカール・ウィリアムズ受刑者が、刑務所内のエクササイズ用自転車のフレームでめった突きにされ、殺される事件も起きている。

メルボルンでは1990年代後半から2000年代にかけて、麻薬取引や売春などで暗躍する複数の「ファミリー」の間で、マフィア映画さながらの抗争事件が頻発した。報復が報復を呼び、地元メディアによると1998年1月から2010年8月までに36人が殺害された。

モクベル受刑者は、ウィリアムズ受刑者らと共に一連の抗争の中心人物だった。同受刑者は麻薬の密売などの容疑で起訴されたが、公判中の06年に海外に逃亡した。VIC州警察は「最重要指名手配人物」として、100万ドルの懸賞金を懸けて行方を追った。07年に逃亡先のギリシャ・アテネで現地警察に逮捕され、オーストラリアに送還された。VIC州最高裁で12年、麻薬の密売などの罪で禁錮30年の判決を受け、服役していた。

暗黒街と州警察の深い闇

モクベル受刑者の刑事弁護人をめぐっては、実はVIC州警察の内通者であったことが昨年、明るみに出たばかり。州警察も昨年12月、事実を認めていた。同受刑者の裁判で弁護人を務めた女性の「弁護士X」を「内通者3838号」として雇い、捜査に有利な内部情報を提供させていたという。

これを受けて、州政府は独立調査委員会(ロイヤル・コミッション)を立ち上げ、調査に乗り出した。州警察は内通者の身の安全が最優先との立場で、3838号の実名に関するインターネット上の情報を可能な限り削除したという。

15日に開かれた独立調査委員会の会合では、州警察は3838号の他に少なくとも3人の弁護士を内通者として雇い、そのうち1人が殺害されていた事実も明らかになった。

州警察は、市民の安全を脅かす犯罪組織の壊滅に力を入れた。とはいえ、警察が容疑者側の弁護士を内通者として雇うのは、民主国家の刑事司法制度を根本から揺るがす行為。裁判の再審が行われれば「モクベル受刑者と少なくとも7人の仲間の有罪判決が、引っくり返される可能性がある」(ABC)との見方が出ている。

襲撃事件の動機は分かっていない。州警察のグレーム・アシュトン警視総監はABCラジオに「現時点では、おそらく刑務所内の争いという線が濃い」と述べた。

しかし、弁護士が警察の内通者だったことが明るみに出たタイミングで起きた今回の襲撃。モクベル受刑者が無罪放免になる前に、敵対する勢力が実力行使に出た。そんな可能性も完全に否定はできない。いずれにせよ、マフィアだけではなく州警察の闇も深い。


JCVジャパン・フェスティバル出店者募集
ビクトリア日本クラブ

昨年のJCVジャパン・フェスティバルの模様
昨年のJCVジャパン・フェスティバルの模様

ビクトリア日本クラブ(JCV)は5月19日、メルボルン東郊のボックス・ヒル・タウン・ホールで、恒例の日本の祭典「JCVジャパン・フェスティバル」を開く。開催に当たり、JCVはこのほど、出店者とパフォーマンスの出演者、スポンサー、ボランティア・スタッフの申し込み受付を開始した。希望者は下記ウェブサイトからオンラインで申し込む。

JCVジャパン・フェスティバルは、日本文化を紹介することによって日豪交流に寄与することを目的に、JCVが毎年開催している。昨年は約4,000人の来場者を集めた。

和太鼓や日本舞踊、空手、三味線、弓道、茶道、将棋、折り紙などの実演の他、生け花や盆栽、新幹線の鉄道模型などの展示が行われる。すしやお好み焼き、たこ焼き、焼き鳥、和菓子、茶、日本の玩具、陶芸など約110の屋台の出店が予定されている。

■JCVジャパン・フェスティバル2019
日時:5月19日(日)10AM~5PM
場所:Box Hill Town Hall(1022 Whitehorse Rd., Box Hill VIC)
Web: www.jcv-au.org/japanfestival


木版画と書道を合作
烏野ベンジャミンさん作品展

在メルボルン日本国総領事館は3月29日まで、メルボルン出身のアーティスト、烏野ベンジャミンさんの作品展「版書心経」を開催している。仏教の般若心経を原点に、板目木版(繊維と同方向に切り出した木の板を使った木版画)と書道を合作したユニークな「版書」の作品を展示する。

■「版書心経」
日時:開催中~3月29日(金)9AM~1PM、2PM~5PM(開館日のみ)
場所:在メルボルン日本国総領事館(Level 25, 570 Bourke St., Melbourne VIC)
料金:無料


国外最大の伊万里焼コレクション展示
ビクトリア国立美術館

ビクトリア国立美術館(NGV)は4月22日まで、日本国外では最大規模となる伊万里焼コレクション130点を展示する特別展を開催している。中でも骨董品としての価値が高いとされる江戸時代の「古伊万里」を中心に、金を焼き付けた「金襴手(きんらんで)、絵画としての評価が高い「柿右衛門様式」などの作品も展示する。

伊万里焼は佐賀県有田町で17世紀から生産されている日本初の磁器。透明感のある白磁の皿や碗、つぼなどに、日本の動植物や想像上の動物などが描かれている。17世紀から19世紀にかけて海外にも輸出され、欧州の上流階級やアジアの王朝で高級品として珍重された。

■IMARI PORCELAIN – BROCADES OF TRANSLUCENT COLOUR
日時:開催中~4月22日(月)毎日10AM~5PM
場所:NGV International(180 St Kilda Rd., Melbourne VIC)
料金:無料


明治日本の芸術作品を展示
南オーストラリア博物館

アデレードの南オーストラリア博物館は7月21日まで、海外の影響を受けた明治時代の日本の工芸品や芸術作品を集めた特別展を開催している。日本が近代化を推し進めた明治時代、海外の嗜好に合わせた豪華な陶磁器や工芸品、芸術作品などが輸出され、西洋人を魅了した。近代日本を形作った激動の時代背景を、文化と芸術の観点から映し出す。

■Export Empire Japan and the modern world
日時:開催中~7月21日(日)毎日10AM~5PM
場所:Art Gallery of South Australia(North Terrace, Adelaide SA)
料金:無料

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