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【QLD】時代を生きる人に注目 世界を舞台に活躍する輝く女性たち①

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時代を生きる人に注目 世界を舞台に活躍する輝く女性たち

「グローバル社会」や「個人の時代」により働き方が変化しつつある現代。日本から離れ、海外のビジネス·シーンで活躍する女性が増えてきている。今回は、グローバルに活動する女性6人に、彼女たちのルーツや現在に至るまでの歩み、仕事の原動力や活動に捧げる情熱についてインタビューした。


回復への第1歩は、しっかりと話を聞き相手を知ることから始まる

理学療法士
岡崎由依さん

プロフィル
静岡県出身。常葉学園静岡リハビリテーション専門学校卒業。2007年理学療法士国家資格試験に合格。老人保健医療施設、整形外科クリニックで治療を行う。16年、NLPマスター・プラクティショナー認定取得。17年12月に来豪

理学療法士として日本の医療の第一線で働いていた岡崎由依さんは、2017年12月からオーストラリアで学生として英語を勉強している。将来、患者の身体機能の改善回復をサポートするだけにとどまらず、さまざまな理由で苦しんでいる人、悩んでいる人、困っている人に寄り添い、一緒に頑張ろうと応援して助け合える社会を作るために貢献していきたいという。そこに至るまでの経緯とこれからのビジョンについて話を伺った。

――理学療法士になろうと思ったきっかけは何ですか。

本当は動物の看護師になりたかったのですが、親からの反対があったこと、そして家族の中に病を患い体調の優れない人がいたことから、もっと人の役に立つ仕事をしようと視点を変えました。小さいころから、人間の体の仕組みや心の動きに関心があり、スピリチュアルな世界にも興味を持っていたので、身体的・心理的なサポートが必要とされる人のために働けるフィジオセラピストと呼ばれる理学療法士の職種にたどり着きました。

――オーストラリアでも需要が高いフィジオセラピーですが、理学療法士とは具体的にどのような仕事をするのですか。

オーストラリアと日本とでは、フィジオセラピストになるためのカリキュラムとフィジオセラピーを行うシステムが全く違います。私の持つ日本の「理学療法士」の資格は、国家試験に合格し免許を取得しなければ、「理学療法士」と名乗ることはできません。

日本においての理学療法士の仕事は、医学的リハビリテーションの専門職を指します。簡単に言うと、人の基本動作となる「歩く」「立つ」「座る」という動きを中心に、「寝返る」「起き上がる」「かがむ」「腕の上げ下げ」など、日常生活で必要とされる動作の改善・回復・維持を目指します。病気やけが、障がい、加齢などで運動機能が低下した人が自立した日常生活を送れるように、体操や動作指導、歩行訓練による機能向上と改善を目指す運動療法、関節や筋肉の麻痺や痛みを軽減・回復させることを目的に運動機能に直接働き掛けるマッサージや電気、温熱を用いる物理療法などを行います。また、患者さんの医学的、社会的状況から機能評価を行い、それぞれの目標に合わせた治療プログラムを作成します。

主な職場として、病院などの医療施設、老人介護施設、福祉関連施設、リハビリ・センターなどがあり、赤ちゃんから高齢者まで幅広くサポートしています。最近では、専門性を生かしスポーツの分野でも、選手の運動パフォーマンスの向上や故障やけがを負った選手のリハビリテーションからトレーニング指導まで、活躍の場がどんどん広がってきています。

――理学療法士としての資格を取り、仕事をしてきた経緯を教えてください。

私は静岡県で生まれ育ったので、地元の常葉学園静岡リハビリテーション専門学校で理学療法士になるための勉強をしました。厳しくも楽しい学校生活の中で友人にも恵まれましたが、国家試験前に実施される避けては通れない臨床実習の際、実習先での教育係となるバイザーと呼ばれる担当指導員と考え方や意見が合わずぶつかりました。そして実習後の課題レポートで細かいミスばかりを指摘する指導員に対して不信感が募りました。実習を通じて理学療法の現場を知り、将来どのような理学療法士になりたいのかを考える絶好の機会であるはずが、レポートに追われ、最小限のことをこなすだけの時間になってしまっていることに納得がいかず、とても苦労しました。

2007年に理学療法士国家試験に合格して、まずは老人保健医療施設で仕事を始めました。そこで1年間勤めた後、総合病院と連携している整形外科クリニックへ移りました。週末には理学療法士が運営する高齢者のためのデイ・サービスにも従事しました。治療に当たる中で、患者さんへの問診の重要性と、患者さんの生活背景を含めた「人を知る」ことの大切さを実感したため、16年に自己価値を高めながら、人との関わり合い方を学ぶNLP(神経言語プログラミング)マスター・プラクティショナー講座を受講して認定を受けました。その後、17年12月にオーストラリアへ語学留学しました。

――なぜ安定した日本の職場を離れ、来豪したのですか。

毎日仕事をしていても、休日に友人と過ごしていても、心の片隅で何だかつまらないなと感じている自分にふと気付きました。患者さんから「あなたに出会えて良かったわ」と言われても、自分が治療するよりも他の人の方がもっと良い治療ができるのではないかと、いつも人と比較し、自信が持てない自分がいました。また、外国人の患者さんが来院しても英語だから言葉の壁があると思い、1歩引いてしまう自分を変えたいと感じていました。自分に自信を着けるためには、たくさんの経験と実績を積むこと、努力すること、そして環境を変える覚悟が必要だと思いました。安定した収入や職場を手放してでも、今、海外へ飛び出して、まず英語を勉強しながら、全く違う環境に身を置くことで、人との出会いやさまざまな経験からプラスになるものを吸収しようと思いました。そしてその体験は自分の懐を深くして、必ず今後の仕事に反映されるはずだと思ったからです。

――理学療法士としての信念はありますか。また、どんな治療を心掛けていますか。

心と体はつながっているので、病気を治すためには患者さんの精神面と身体面の両方からアプローチしていかなければ改善しません。そのため、機器や技術に走る治療よりも、まずは患者さんをよく知るために話をして、会話の中から痛みや症状の原因を探っていくことを大切にしています。そのためには患者さんのご家族を含めた、患者さんの置かれている生活背景を知った上で、本人は何を必要としているのか、どうしたいのかなど目標を理解することを最優先します。数々の臨床をしていく中で、問診がとても大事であることに気付きました。しっかりと最後まで話を聞くことで、目に見えない信頼関係が築かれていくのです。なかなか心を開いてくれない患者さんの口から不安や本音がポロリとこぼれることもあり、私はそれが回復への治療の第一歩であると考えています。

――岡崎さんが求めている世界観があるそうですね。そのことのついて教えてください。

マッサージ施術中の様子
マッサージ施術中の様子
岡崎さんはメッセージを伝える方法を模索中
岡崎さんはメッセージを伝える方法を模索中

「笑顔」「温もり」「家族」「信頼」「勇気」がキーワードとなる、子どもたちが明るく元気に成長していける環境を大人が作っていける社会にしていきたいと思っています。愛情の足りない家庭環境や親子関係のひずみは、必ず子どもの内面に暗い影を落とし問題をきたします。だから社会がお互いに助け合って、問題を抱える人に手を差し伸べて応援できるような世界にしたいと思っています。私は中学時代テニス部でいじめを身を持って経験し、傷付いた学校時代を過ごしました。それ故に心理学を取り入れた理学療法士という立場で、親子が笑顔で過ごせる心身共に健やかな家庭環境を作っていくサポートをして社会に貢献したいと思っています。私の大切にしている言葉は、「誰にでも平等の価値があり、誰にでも生まれてきた理由はある」です。

――岡崎さんの理想とする女性像を聞かせてください。

強く、たくましく、美しい女性が理想の女性像です。今までに、強くなりたくてキック・ボクシングを習ったり、美しい世界を体験したくてダイビングをしたり、美容関係の勉強に励むなど現在もいろいろなことを試している途中です。失敗を恐れず、1歩踏み出すことができる精神的に強くたくましい女性が理想です。

――これからの抱負を聞かせてください。

直近の計画として、半年後にカナダへ移動して英語の勉強を続けながら、フィジオセラピーに関連する技術も身に着けるつもりです。日本へ帰国してからは、自分のクリニックを開業することを目標にしています。マッサージや整体だけでなく、美容に至るまでのトータル・ケアを提供できるクリニックを開きたいと考えています。また、家庭、学校、友人関係など、何らかの問題を抱えている子どもたちのために、運動会や遠足など親子で参加するイベントを立ち上げたり、自分の経験を通じて学んだことをユーチューブやSNSで定期的に発信して問題解決に少しでも役に立ちたいと思っています。今、子どもたちへのメッセージを伝える方法を模索しています。

岡崎由依(おかざきゆい)
■Email: 35yuikr88@gmail.com
■Line ID: 07b10


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