オーストラリアの日系コミュニティー・ニュースをお届け!
Japanese Community News
オーストラリアにおける日系コミュニティーのニュースや最新情報を紹介していくと共に、シドニーを中心に各地で行われるセミナーやイベントの告知や報告などを掲載。
東京五輪・パラ・レセプション
大会まで500日切り機運向上図る
在シドニー日本国総領事館は3月18日、シドニー東郊ローズ・ベイにある総領事公邸で「2020年東京オリンピック・パラリンピック・レセプション」を開催した。同レセプションは、東京五輪・パラリンピック競技大会まで500日を切ったタイミングを受け大会の機運向上を図る目的で行われ、当日はジョン・コーツ豪州五輪委員会会長・国際五輪委員会東京2020大会調整委員長を始め、スポーツ、政府、企業関係者ら約70人が集まった。
レセプションでは冒頭、竹若敬三・在シドニー日本国総領事があいさつを行い、続いてコーツ会長による東京大会の準備状況に関するプレゼンテーションが行われた。プレゼンテーションでは、競技会場の建設状況、大会予算、競技実施時間の調整や医療による選手へのサポート体制などが触れられた他、森喜朗・東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会会長からのビデオ・メッセージが上映された。コーツ会長はプレゼンテーション中、大会まで約1年半となった時点での準備状況に「大会をホストする日本人にとっても誇れるもの」と満足感を示した。また、竹若総領事は同レセプションについて「豪州からの日本への熱気や期待感を感じた」と振り返り、続けて「そうした期待を受け止め、日系を始め企業の皆さんと大会を盛り上げていきたい」と今後の展望を述べた。
この日、レセプションでは東京都・田村醸造所の日本酒「對鴎(たいおう)」の他、神戸牛のロースト・ビーフの赤を始め五輪カラーにちなんだフィンガー・フードが振る舞われた。当日の料理について、公邸の料理人を務める松田一草氏は「料理人として五輪に貢献したい気持ちだった」と料理に込めた思いをコメントした。約2時間にわたって行われたレセプションは最後、和太鼓りんどうによる和太鼓演奏と共に盛会の内に幕を閉じた。
南極観測船しらせ、艦上レセプション開催
日本の海上自衛隊による南極地区観測協力のため、観測隊員を乗せた砕氷艦「しらせ」が3月18日、南極昭和基地での補給活動を終え、補給や乗員の休養などを目的にシドニー近郊ポッツ・ポイントにある豪海軍基地に寄港した。同艦の活動は南極地域の観測部隊への燃料や食料などの補給を目的とし、東京から南極大陸までの往復2万マイルの間に海洋調査なども行う。
同艦の寄港に合わせて20日、約300人のゲストを招いた艦上レセプションが行われた。来艦者には南極の氷入りのドリンクを始め、刺し身やすし、そば、カレーライスなどの日本食が振る舞われた。宮崎好司艦長は今回のシドニー寄港に関して「オーストラリアは特に親日家の方が多く、こうしたレセプションに来て頂いた際も日本語を話されたり、日本への関心の高さがうかがえます。シドニーの訪問を通してより親しみを感じました」と話した。
シドニー日本人国際学校で出張授業を実施
シドニー日本商工会議所
シドニー日本商工会議所の観光・運輸・通信・生活産業部会(部会長=定行亮:全日本空輸株式会社)は2月15日、シドニー日本人国際学校で出張授業を実施。講師を務めた西田良和氏(東海旅客鉄道株式会社)が「日本の高速鉄道の今までとこれから」をテーマに、東海道新幹線の安全への取り組みやリニア中央新幹線が進む仕組みなどを説明した。
授業を受けた児童・生徒からは「安全性に対する配慮に驚いた」「リニア新幹線に乗るのが楽しみになった」「日本の技術に誇りが持てた」などの感想が寄せられた。
また、シドニー日本商工会議所の電子機器部会(部会長=岡本浩一:ブラザーインターナショナル オーストラリア)は2月20日、シドニー日本人国際学校で出張授業を実施。講師を務めた飯島昌志氏(キヤノンオーストラリア)が「カメラ」をテーマに、カメラの種類や仕組みを説明し、児童・生徒たちは実際に一眼レフ・カメラを使いながら撮影時の基本姿勢や写真の構図を学習した。
授業を受けた児童・生徒は「レンズの種類が多いことに驚いた」「オーストラリアの美しい自然を奇麗に撮って日本に帰りたい」「もっと練習して上手に撮れるようになりたい」などの感想を述べた。
シドニー・ビジネス塾を開催――シドニー日本商工会議所
シドニー日本商工会議所の企画委員会(委員長=小西敦史:日立オーストラリア)は2月19日、シドニー・ビジネス塾「豪州移転価格税制アップデートセミナー」を開催、33人が参加した。
オーストラリア国税局(ATO)のダニエラ・リリック氏とヘイデン・ウェルズ氏から事前協議/相互協議に関わる最新の状況について説明がされた他、KPMGの楊揚(ヤンヤン)氏が移転価格税制に関してここ1年で新しく公表された変更点を説明した。
国際商事仲裁セミナーを開催
シドニー日本商工会議所/ジェトロ・シドニー事務所
シドニー日本商工会議所(会頭=小山真之:豪州三井物産)の企画委員会(委員長=小西敦史:日立オーストラリア)と日本貿易振興機構(ジェトロ)シドニー事務所は2月27日、アドバンテージ・パートナーシップ法律事務所の堀江純一弁護士を講師に迎え、「国際商事仲裁」をテーマにセミナーを開催、約20人が参加した。
同セミナーで参加者は、国際商事仲裁の専門家である堀江氏から、仲裁の種類、特徴、注意事項、手続きの流れについて説明を聞いた。
セミナー「豪州におけるコンダクトリスクの注意点」を開催
シドニー日本商工会議所
シドニー日本商工会議所(副会頭=末永正彦:豪州新日鉄住金)の金融・投資部会(部会長=髙橋誠幸:三井住友銀行)は3月5日、「豪州におけるコンダクトリスクの注意点」と題しセミナーを開催、25人が参加した。
同セミナーでは、ロザリン・テスキー氏(デロイト・トウシュ・トーマツ会計事務所、パートナー)が、豪州におけるコンダクトの変遷、金融機関を取り巻くコンダクト関連の環境、ロイヤル・コミッションのレポートにどのように対応すべきかについて説明した。
シドニー・ビジネス塾「豪州企業の買収と運営」を開催
シドニー日本商工会議所
シドニー日本商工会議所の企画委員会(委員長=小西敦史:日立オーストラリア)は3月12日、シドニー・ビジネス塾「豪州企業の買収と運営」を開催、54人が参加した。
同講演では、クレイトン・ユッツ法律事務所の加納寛之氏がM&Aを検討する上での必要な準備・検討事項、買収後の子会社の経営管理の注意点などについて説明した。
■シドニー日本商工会議所
Tel: (02)9223-7982
Web: www.jcci.org.au
Email: info@jcci.org.au
クリーンアップ・オーストラリアに参加
シドニー日本人会・シドニー日本クラブ
シドニー日本人会(会長=井上大輔:伊藤忠豪州会社)のレクリエーション委員会(委員長=笠原昌哉:JTBオーストラリア)は3月3日、レーンコーブ・ナショナルパークでクリーンアップ・オーストラリアに参加した。
豪州全土で一斉に公園や浜辺を奇麗にしようと定められた同日、今年もシドニー日本クラブ(会長=水越有史郎)と合同で参加し、大人から子どもまで総勢120人が公園内や周辺道路のゴミを拾った。また、清掃活動後はバーベキューを楽しんだ。
カウラ多文化祭・ブレークアウト75周年
特別バス・ツアーを開催
シドニー日本商工会議所、シドニー日本人会、シドニー日本クラブは3月16~17日、カウラ多文化祭・ブレークアウト75周年特別バス・ツアーを開催、各団体の会員33人が参加した。
カウラ市では毎年ゲスト国を招いて多文化祭を開催しており、今年はカウラ・ブレークアウトから75周年ということで、日本が1966年以来2度目のゲスト国となった。
第2次世界大戦中、シドニーから西に約330キロの内陸にあるカウラには捕虜収容所があり、1,000人以上の日本兵捕虜が収容されていた。終戦前年の1944年8月5日午前1時50分ごろ、「カウラ・ブレークアウト」という集団脱走が決行され、日本兵231人、オーストラリア兵4人の死者と、多くの負傷者を出す惨事となった。
同ツアーでは、初日にフェスティバル・パレードに参加、着物や浴衣、法被(はっぴ)などを着てカウラ市内を行進した。更に2日目には、捕虜収容所跡地を訪れ、戦没者墓地で慰霊を行い、引き続きジャパニーズ・ガーデンを見学した。
■シドニー日本人会
Tel: (02)9232-7546
Web: www.jssi.org.au
Email: jss@jssi.org.au
コミュニケーション・カウンセラー・高橋ライチ氏来豪
ブライト・リスニング講座を開催
日本でコミュニケーション・カウンセラーとして活躍している高橋ライチ氏が5月24~29日、シドニー各地でブライト・リスニング講座を開催する。
同氏は、育児中の母親の話をオンライン上で聞く日本のNPO法人・リスニングママ・プロジェクトの発起人でもあり、これまでNHKのテレビ番組や首都圏の新聞、雑誌、オンライン上でも紹介されている。
同氏が提唱するブライト・リスニングはNVC(非暴力コミュニケーション)を日常で実践できる形にして取り入れたコミュニケーション法だ。来豪中、「子どもの話を聞く講座」「パートナーシップ講座」といった各種講座をシドニー・シティーに店舗を構えるほんだらけ、チャッツウッドの「Dougherty Community Centre」、テリー・ヒルズにあるシドニー日本人国際学校などで行う予定だ。各講座詳細は下記ウェブサイトを参照。
■「共感コミュ二ケーション」高橋ライチ来豪講座
日程:5月24日(金)~5月29日(水)
時間:日にちにより異なる
場所:日にちにより異なる
料金:講座により異なる
■問い合わせ
Tel:0403-279-156(苅部ミュア智美)
Email:lismom.training@gmail.com
Web:www.lismomtraining.wixsite.com/website
カウラで多文化祭が開催、ゲスト国は日本
3月15~17日、シドニーから西へ約330キロ内陸にあるカウラで多文化祭が開催された。
同祭は、和解の郷里(Home of Reconciliation)としてのカウラのコミュニティー・イベントであり、1965年以来、カウラ捕虜収容所集団脱走事件75周年となる今年まで毎年開催され、例年数千人の参加者でにぎわう。
メイン会場の「Byant Park」には飲食店ブースや大使館のブース、日本企業のブースなどが並び、途中小雨が降ったにもかかわらず、多くの人でにぎわった。
カウラ市のメイン・ストリートで行われたパレードでは沿道にカウラ市民が見物に訪れ、時折日本語での声援があるなど、歓迎ムードでのパレードとなった。
ジャパニーズ・ケアラーズ・グループ、学習会を開催
シドニー北部を拠点に活動する障がいをもつ子どもの親の会(NPO)「ジャパニーズ・ケアラーズ・グループ」は3月13日、同志社大学心理学部・石川信一教授を招き、チャッツウッドで「発達障がい児のDepressionについて」というテーマで学習会を開催した。
同学習会は障がい者とその家族を支援する「Ability Links」(Settlement Services International)協賛の下で行われ、12人の参加者たちは鬱(うつ)の定義から、大人と子どもの鬱の違い・障がい児に起こり得ることや特徴などを石川教授と共に学んだ。
参加者からは「分かりやすく、実践的なことも学べ、今後の子どもとの接し方などにおいて良い参考になった」などの感想が寄せられた。
同グループは毎月2回定例会を行っている。参加希望の方は下記まで連絡を。
■ジャパニーズ・ケアラーズ・グループ定例会
日時:毎月第2、4水曜日10:30AM~12:30PM
Tel:0411-139-872(代表:ひとみグッドウィン)
Email: japanesecg@gmail.com
書家・れん氏、書道ワークショップを開催
シドニー市内より北西部に位置するレーン・コーブで3月1日、同エリアのカウンシル主催のフリー・イベントが開催され、シドニーを中心に活躍する書家・れん氏が日本の書道ワークショップを行った。約1時間半にわたり行われた同ワークショップは、学校帰りの子どもたちでにぎわった。
参加者は、秋が始まるこの季節にちなんで葉っぱの形をした紙を使い、「秋」「ゆめ」「幸」「楽」「友」の文字を手本に西洋式の絵画筆とは違う書道の筆による書き心地を楽しんだ。
同ワークショップを終え、れん氏は「小さいことですが、国による道具文化の違いを体験することも大事なことだと感じます」とコメントした。
風化させず、東北の魅力伝えていく
東日本大震災の復興支援イベント開催――シドニー
2011年に発生した東日本大震災の復興支援イベントが3月11日、シドニー市内中心部にあるシドニー・メカニクス・スクール・オブ・アーツ(Sydney Mechanics’ School of Arts)で開催された。今年で8回目を迎えた同イベントはシドニー日本クラブ(JCS)レインボープロジェクトが主催、約250人が訪れた。午後4時に開場し物産展や写真展が開かれ、午後4時46分(日本時間:午後2時46分)に黙祷(もくとう)が行われた。
震災関連のドキュメンタリー映画として、震災後の福島県南相馬市で活動するマーチング・バンドを描いた『MARCH』と、震災後の東北で生きる人びとをテーマにした『一陽来復(いちようらいふく) Life Goes On』の2本が上映された。また、会場では東北の食材で作られた郷土料理弁当も販売された。
主催のJCSレインボープロジェクト代表・平野由紀子氏はイベントについて「多くの日本人やオーストラリア人が来てくれ、まだ忘れずに震災に心を寄せてくれているのだと感じた。慰霊や追悼だけにとどまらず、元気で明るい東北を届けるために観光や伝統文化を紹介していくことが大切。東北の魅力や実情を更に広めていく必要がある。毎年イベントを行う意義がそこにあると思う」と振り返った。
今年は物産展に登米市観光物産協会、南三陸町観光協会、シドニーから東京マートが出展。茨城県、森島酒造の日本酒「大観」の試飲コーナーも設けられた。また、シドニー北部デイビッドソン・ハイ・スクールにICET留学中の岡山学芸館高等学校の生徒24人がボランティアとして同イベントの手伝いを行った。
琉球泡盛「松藤」の試飲会と三線・琉球舞踊ライブ
東京マートで開催
オーストラリアで有数の大型日本食料品店、東京マートで4月27日、琉球泡盛「松藤」の試飲会が豪州かりゆし会のサポートで開催される。沖縄の代表的な酒である泡盛は、米が主原料の日本最古の蒸留酒。特に崎山酒造の「松藤」は、地元沖縄でもその味の評価が高い。また、泡盛は糖質ゼロで、健康と美容にも良いと言われている。試飲会に合わせて三線の生演奏と沖縄伝統の琉球舞踊が披露される。
■日時:4月27日(土)12PM~3PM
場所:東京マート(Shop 27, Northbridge Plaza, 133 Sailors Bay Rd., Northbridge NSW)
Tel: (02)9958-6860
ストラスフィールド交響楽団、定期演奏会を開催
シドニーさくら合唱団も参加
シドニー在住の日本人指揮者、村松貞治氏が芸術監督を務めるストラスフィールド交響楽団の演奏会が4月6、7日の2日間にわたり、同市西郊のストラスフィールド・タウン・ホールで開催される。
「Music from the Classical period」と題した同演奏会では、村松氏の指揮の下、ヘンデル作曲『司祭ザドク』、ハイドン作曲『交響曲第104番 ロンドン』『トランペット協奏曲』、プロコフィエフ作曲『古典交響曲(交響曲第一番)』が演奏される予定だ。
また、両日共シドニーさくら合唱団が参加し、コーラスを披露する。
村松氏は愛知県岡崎市出身。1997年に英国に渡り、英国王立北音楽院やシドニー音楽院などで学び、欧州各地やオーストラリアで研鑽(けんさん)を積んだ。現在はストラスフィールド交響楽団の芸術監督を務める。
■ストラスフィールド交響楽団演奏会
「Music from the Classical period」
日時:4月6日(土)7PM開演、7日(日)2:30PM開演
場所:ストラスフィールド・タウン・ホール(Cnr. Redmyre & Homebush Rds., Strathfield NSW)
料金:大人$30、コンセッション$20、ファミリー$80
Web: www.strathfieldsymphony.org.au(チケット・詳細)、www.sadaharu.net(村松貞治氏の公式ウェブサイト)
草月流いけばな展覧会を開催
草月流シドニー支部は、シドニー・オペラ・ハウス近くのロイヤル・ボタニック・ガーデン内にある植物を利用したアート施設「CALYX」で4月27~5月5日、いけばなの展覧会を開催する。
今年のテーマは「transforming autumn」。秋の花々と空間の饗宴(きょうえん)、オーストラリア原生の植物と日本伝統の芸術が豊かに融合を遂げた美しい華道の世界をシドニーで鑑賞できる1年に一度の機会となっている。同施設内のCALYXフラワー・ウォール・アートも必見だ。
■IKEBANA transforming autumn
日時:4月27日(土)~5月5日(日)10AM~4PM
場所:ロイヤル・ボタニック・ガーデン
料金:無料
Web: rbgsyd.nsw.gov.au
■NSW州立美術館・日本語ボランティア・ガイド便り
The Essential Duchamp
「デュシャン 人と作品」展
今月は、NSW州立美術館で4月27日から8月11日まで開催される、フィラデルフィア美術館が企画・監修するThe Essential Duchamp「デュシャン 人と作品」展をご紹介します。
マルセル・デュシャン(1887-1968)は、伝統的な西洋芸術の価値観を大きく揺るがし、20世紀の美術に衝撃的な影響を与えたアーティストです。
展示作品は、1912年ニューヨークで発表、キュビスムに対する独特な取り組みによりデュシャンを一躍有名にした「階段を降りる裸体 No.2」を始めとする絵画や、1917年に現代美術のスキャンダルとなった、便器を“アート”にした「泉」を含むレディメイド、映像、写真や、豊富な関連の文献・写真資料など、フィラデルフィア美術館が誇る世界有数のデュシャン・コレクションから125点が一堂に会します。
同展は、オーストラリアで初めてデュシャンの業績を網羅し紹介する展覧会で、東京、ソウル、シドニーの3会場での巡回展。常に新しい表現方法を模索し続けたデュシャンの60年以上にわたる芸術活動をたどり、彼の人生そのものをひも解くものです。フランスに生まれ、第1次世界大戦中の1915年に渡米し、アメリカの現代美術の始まりに、芸術の既成概念に反発したニューヨーク・ダダと関わった彼の作品や活動の現代美術における重要性をご紹介し、彼の多様な人となり、更に、芸術と生活の垣根をなくそうとするさまざまな試みをご覧頂けます。
芸術の見方を変えたと言われるデュシャンに触れるこの機会をお見逃しなく! また、NSW州立美術館では無料日本語ハイライト・ツアーを毎週金曜日午前11時から行っています。(NSW州立美術館コミュニティー・アンバサダー:鴨粕弘美)
■The Essential Duchamp「デュシャン 人と作品」
日時:4月27日(土)~8月11日(日)10AM~5PM、水曜日のみ10PMまで
場所:Art Gallery of New South Wales Major Exhibition gallery・コンテンポラリー・ギャラリー(Art Gallery Rd., The Domain NSW)
料金:大人$20、コンセッション$18、美術館会員$16、家族(大人2人+子ども3人まで)$48、子ども(5~17歳)$8、5歳未満無料(オンラインでの購入時手数料$2)、マルチ・エントリー・チケット(大人$36、コンセッション$32、美術館会員$29)
Web: www.artgallery.nsw.gov.au/exhibitions/essential-duchamp
「クラフト×テクノロジー」を表現する
「FEMUFACTURE」開催――ジャパンファウンデーション
シドニー市内南部にあるジャパンファウンデーションで2月6日から3月27日まで、クラフト技術とテクノロジーやデジタル技術を融合させたアート作品の展示会「フェムファクチャー(FEMUFACTURE)」が開催された。同展示会では日本とオーストラリア両国のアーティストらの作品が展示され、日本からはアクセサリー・デザイナーの坂(ばん)雅子氏、光を使用したファッション作品などを手掛ける柏原エリナ氏、現代美術家・AKI INOMATA氏の作品が並んだ。
ライト・アーティスト、柏原エリナ氏インタビュー
ライト・アーティストとして、光を駆使し、ファッションやジュエリーなどさまざまなジャンルのアート作品を手掛ける柏原エリナ氏。同氏にライト・アートとの出合いや作品づくりへの思いなどについて話を伺った。 (聞き手=高坂信也、駒田茉佑)
――現在の活動について、教えてください。
ファッション、アクセサリー、テクノロジーのエリアを行き来しながら、ライト・アートの作品づくりをしています。それらを海外の展覧会、ランウェイ・ショーに出展しています。
日本でもメディア・アートやライト・アートの展覧会に出展したり、公益社団法人日本ジュエリーデザイナー協会の会員として、光るジュエリーを出展したりしています。また、桜美林大学(東京)で非常勤講師としてメディア・アートを教えています。
――ライト・アートを手掛け始めたきっかけは何でしたか。
芸術系の大学で空間デザインを専攻しました。照明器具を作るプロジェクトで、光を置いた時に影がどれだけ広がり、どんな形に変化するのかといった「光の現象」そのものに引かれました。その現象によって現れる美しさだけを抽出して何か作れないかと思い、これまで30年以上活動を続けてきました。
――柏原さんが考える光の面白さとは何でしょうか。
光というのはどちらかと言えば、機能性が強いものなんです。明るさがあって初めて本が読め、室内で快適に過ごす明るさを保持する機能、赤信号は渡ってはいけないなどの情報発信などですね。そうではなくて、何とかその光の美しい現象を見て頂きたい、また私自身も見たいんです。
――「ライト・モード・アート」というコンセプトについて、詳しく教えてください。
コンセプトというより、長い間このアート・ジャンルには名前が付いていません。業界的にも名前が定まっていないんですね。「デジタル・ファッション」や「テクノロジー・ファション」と呼ばれることもあります。ウェアラブル・テクノロジーの中でも、私は“光”に特化しているのでなおさら名前がないのです。
そうした背景から「光るファッション的な作品」ということで、ブランド名を「ライト・モード・アート」と自分で名付けて活動しています。
――それでは、柏原さんのアート・コンセプトとは何でしょう。
いつも思っているのは、光で創る――。ファッション系の作品に関しては「身体の上に、光で夢を描く」というイメージを持っています。
――柏原さんは、普遍的な美や流行に左右されないものを目指しているとお伺いしました。
テクノロジーは非常に進化が早く、あっという間に古くなっていきます。どれだけテクノロジーを追い掛けてもすぐに時代遅れになってしまい、いかに現在のファッションの流行の形がそれだからといって追い掛けても途端に古くなってしまいます。
そうしたものに左右されない、現在入手できるテクノロジーを使用しているけれど、少なくとも造形だけはずっと変わらず、多くの人が奇麗だなと思うようなものを創りたいと考えています。時代、性別、民族、宗教などさまざまなものを超えていけるような、そうした作品を作って残したいです。
かしはらえりな(Erina Kashihara)◎ライト・モード・アーティスト。愛知県立芸術大学卒。(公社)日本ジュエリーデザイナー協会正会員、インターナショナルガラスアートソサエティー会員。“身にまとう光のアート”と名付けて1980年代からウェアラブル・ライト・アートを制作・発表。2016、17年ウェアラブル・テクノロジー・ファッション・ショー(カナダ)、16、18年ガラス・アート・ファッション・ショー(ニューヨーク、イタリア)など出展多数。Web: k-onespace.com
「沖縄泡盛ナイトVol.2」が開催
豪州かりゆし会と日本人コミュニティー「LINK」が共催するイベント「沖縄泡盛ナイトVol.2」が4月19日のグッド・フライデーに、シドニー市内ヘイマーケットにある「だるまジャパニーズ・レストラン」で開催される。沖縄料理研究家・比嘉恵子さんによるおいしい沖縄料理と、沖縄比嘉酒造の琉球泡盛、オリオン・ビールが破格の5ドルで楽しめる。豪州かりゆし会メンバーによるエイサーと三線の生ライブも行われる。
日時:4月19日(金)4PM~8PM
場所:Daruma Japanese Restaurant(8 Quay St., Sydney)
料金:$27.50
定員:80人
備考:チケットは前売りのみEventbriteで購入可能(www.eventbrite.com/e/okinawa-awamori-night-vol2-tickets-59076507424?ref=eios)80枚限定なので購入はお早めに
SBSラジオ日本語放送4月のハイライト
SBSラジオ日本語放送は毎週火曜日、木曜日、土曜日の午後10~11時に番組を放送している。オーストラリアのニュースや気になる話題、各方面で活躍する人びとへのインタビューなど、盛りだくさんの番組は、AMラジオ1107khzにチューンを合わせる方法と、デジタル・テレビのデジタル・ラジオ「SBS Radio1」を選択する方法で聞くことができる。
4月のシドニーサイドでは、第60次南極地域観測隊の副隊長(兼夏隊長)で、日本で初めての女性隊長となる原田尚美さんや、オーストラリアで活躍するファッション・デザイナーの五十川明さんらへのインタビューを放送予定。また、日本を拠点に活動する光のアーティスト・柏原エリナさんや、NSW州セントラル・コーストの書道家・岡智子さんのインタビューなど、聞き逃してしまった先月の放送もSBSのウェブサイトで聞くことができる。
なお、毎月最終週の木曜日には、日豪プレス翌月号の見どころや取材の裏話などを編集部スタッフが紹介している。次回は4月25日(木)放送予定。
■SBSラジオ日本語放送
Email: Japanese.program@sbs.com.au
Web: www.sbs.com.au/Japanese
Facebook: www.facebook.com./SBSJapanese
豪州産の有機野菜を食べて幕張メッセで国際食品展
アジア最大級の国際食品・飲料展が3月5日から4日間、千葉・幕張メッセで開かれ、世界93カ国・地域から3,316社が参加。約8万5,000人のプロの流通外食業者が商談を進めた。日本人女性によるワイン審査会やナポリ・ピッツァ職人選手権日本大会などのイベントが注目された。
これまでオーストラリアはオージー・ビーフなどの食品やワインが定番だった。一方、欧米諸国では多彩な展示試食が極めて活発になった。例えば、牛肉は、ヨーロピアン・ビーフとして、アイルランド、スペイン、カナダ、オーストラリアが売り込みに力を入れているのが目立った。カナダ・ビーフの国際機構は、穀物飼育をセールス・ポイントにして、動物福祉と持続可能性によって高品質の牛肉供給をアピールしていた。アイスランドは放牧によるグラスフェッドを売りに。
オーストラリアの野菜産業が毎年参加するようになり、安全・新鮮を強調。カリフラワー、ブロッコリー、ニンジン、セロリ、ズッキーニ、白菜、カボチャ、ロックメロン、ネギ、ビートルートなどを出品。ベジタブル・パイやぎょうざといった加工品も目立った。ユニークなのはビクトリア州の食品業者によるトルコ風ブレッド・ピザ。手作りでトルコからの移民によるターキッシュ・ブレッドでガーリック味だ。
タスマニア州の果物としてリンゴ、チェリー、イチゴ、アンズ、桃など果樹の島とイメージ・アップを図った。遺伝子組み換え作物はないと魅力を訴え、サーモン、カキ、ウニといったシーフードの漁業島を強調。
アボリジニーのブッシュ・フードは自然派食品が関心が持たれた。カンガルー肉、ハーブ・ティー、マウンテン・ペッパーのようなスパイス、ブッシュ・カレーなど「ハーブ・ティーは漢方薬のような物」と説明していた。(投稿=千葉・青木公)
若い世代に歴史教育を
東京・オーストラリア人種捕虜遺族との交流会
2月28日、東京都心でPOW(戦時捕虜)研究会主催の日豪市民交流会が開かれた。オーストラリアから4人の男女が、日本・外務省の招きで来日、約2時間半にわたって率直な対話で、平和と和解を話し合った。POW研究会は、内外的名人の会員・研究者のグループで、内海愛子さんと笹本妙子さんが共同代表。
交流会は2010年から日豪草の根交流計画として始まった。これまでは、アジア太平洋戦争で日本軍の捕虜になったオーストラリア軍人が出席していたが、高齢で来日が難しくなったので、今年度からは、捕虜の遺族や研究者が招かれた。D・ヒックさん(64)、J・レスリーさん(52)と退役軍人・女性向けの雑誌編集長・ロスさん、退役軍人会(RSL)役員・ヘンダーソンさん、いずれも戦後生まれの4人が参加した。
ヒックさんは、現在インドネシア領スラウェシ島東岸沖にあるバンカ島で日本軍に殺された従軍者看護婦モナ・テイトさんの姪(めい)。「モナ・テイトは1941年シンガポールが日本に独占されたので船で脱出、船が日本軍隊に襲われて沈没したので、バンカ島に泳ぎ着こうとしたが日本軍に射殺された。殺されたのは22人。生存者はたった1人だった。戦争が終わって家族は初めて、彼女の死を知ったが、テイトの母親は一切、その死を語ろうとしなかった」とヒックさん。「私は今回日本に来て、日本人がとても親切なのを知りました」と述べた。
レスリーさんはシドニー在住。祖父がジャワ島で日本軍の捕虜となった。母方の祖父は通信士でニューギニアで捕虜になった。「私の父は、捕虜収容所で生まれ、戦後、ジャーナリストになったので、家族の中で戦争のことをよく話し合った」と、家族の写真を示しながら報告。POW研究会の日本人全員が写真に見入っていた。
ロスさんは、退役軍人を読者とする「ラストポスト」誌の編集長。雑誌を見せながら、和解とより良い日豪関係のため、雑誌を対話の場にして、今回の訪日記録を記事にする語った。
ヘンダーソンさんは、2度目の来日出席。退役軍人会の事務局に長年勤め、次世代に戦争と平和について語り継ぐ仕事をしている。
「戦争体験者はつらい思い出があるから、語りたがらない。一方、捕虜の子どもや孫は、IT時代で情報が多すぎ、戦争や平和、歴史への関心は薄い。太平洋戦争だけでなくホロコーストやアウシュビッツ収容所のことさえ知らない。歴史教育が必要だが、中・高校の教科書のカリュキュラムにさえ載っていない。戦争を繰り返さないため、資料を通し家族内で話し合うことが大切だ。POW研究会のような活動が社会に広がると良い。そして、この会合でヒックさんやレスリーさんの勇気ある証言は、次世代に語り継ぐのに役立つ。ありがとう」とヘンダーソンさんは感謝の言葉を述べた。
質疑の時間で、日本人の中学教師は「苦い記憶をどのように消さないようにしているのか」と発言。レスリーさんは「ファミリー・ヒストリー(家系図)の一部として、記憶をとどめること。書き残す。写真のようなビジュアルの資料を見せる。若者に発信しよう」と答えた。
「オーストラリア人は戦争中の日本、日本人をどのように思っているのか」との問いに対して、ヘンダーソンさんは「ごく一部のオーストラリア人、一部の知識人しか関心がない。若い人は、なおのことだ」と言った。
「キャンベラの戦争記念博物館で多くの生徒が見学に来ているのを見たが……」との質問にヘンダーソン氏は「現代史の優れたミュージアムだが、オーストラリアは広大で、他州から博物館に出掛ける人は少数だ。太平洋戦争の展示も少ないと答え、あのバンカ島の出来事も知っている人は少ない」とヒックさんは述べた。
神奈川大学の杉田弘也特任教授は「バンカ島の大虐殺は私の父の時代に起きたことだが、私は謝罪したい。しかしオーストラリアであまり知られていないとは驚いた」とコメント。
内海愛子・POW研究会代表は「軍人捕虜でなく、民間人の抑留者の子孫が、この会議に出席する時代になった。新しい捕虜や抑留者をつくり出さないよう、平和のために、この会を続けよう」と、交流会を締めくくった。
来日者の一行は、横浜市内の英連邦戦没者墓地に参った後、3月2日には、捕虜収容所があった新潟県上越市にある収容所跡公園を訪ね、その地で亡くなった捕虜の墓を詣でた。(投稿=東京・青木公)