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シニア・ライフ特集2019 シニア・ライフを充実させる終活と準備②

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シニア・ライフ特集2019 シニア・ライフを充実させる終活と準備

誰にでも等しく訪れる老いと、それと共に始まるシニア・ライフ。シニア・ライフが訪れた際、その生活を充実させるために何をすべきで、またその後の最期に向けて何が準備できるのか。本特集では、心穏やかに最期を迎えるための準備活動「終活」として葬儀・お墓、充実したシニア・ライフを送るための必要情報として介護・年金・スーパーアニュエーションを取り上げ、それらについて専門家の意見を踏まえ解説する。

介護

取材協力=ジャパン・トータル・ケア・サービス(JTCS)/沼田貴史さん、小島直美さん

◆介護保険

介護を始めるには

自身または身内に介護の必要性を感じた時、経済的な負担を減らしたいのであれば、日本と同様に要介護度の認定を受け介護保険を活用する必要がある。要介護度の認定を受けるには、オーストラリアではまず介護を受ける本人か家族が自治体ではなく連邦政府の運営する「マイ・エイジド・ケア」(Web: www.myagedcare.gov.au、Tel: 1800-200-422)に連絡し登録を済ませ、要介護度の認定(軽度または中度・重度)に向けた手続きを進める仕組みとなっている。また、英語でのコミュニケーションに不安がある際は、無料通訳サービス(TIS、Tel: 131-450)を利用し登録・手続きを進めることも可能だ。

サービス利用までの具体的な流れ

マイ・エイジド・ケアに登録を行う時、初回の電話で質問される項目は主に以下の通り。

初回登録の質問内容(5~10分で登録完了)

  • 氏名
  • 現住所
  • メディケア番号
  • 生年月日
  • 居住形態(一人暮らし、または家族などと同居しているか。居住に経済的援助を受けているか)
  • アボリジニーまたはトレス海峡しょ島出身かどうか
  • 出生国
  • 母国語
  • 電話番号など

その後、そのまま電話で要介護度認定のための簡易アセスメントを受ける。次に挙げるのは、簡易アセスメントを受ける際の主な質問項目だ。

簡易アセスメントでの主な質問項目

  • どのようなサポートを受けたいか。
  • 他にエイジド・ケア・サービスを受けているか。
  • 政府から他に何か援助を受けているか。
  • 買い物は1人で行くことができるか。
  • 歩く際に補助器具を使用しているか。
  • 薬局に1人で薬を取りに行くことができるか。
  • 家事をする際に体のどこかに不自由は感じているか。
  • 生活で何か困る動作はあるか。

電話アセスメント後、約3~6週間以内にマイ・エイジド・ケアから自宅への訪問アセスメント日時が電話で伝えられる。指定の日時に政府から委託されている地域の団体より、軽度の介護度を認定する認定者(Regional Assessment Service/RAS)または中度・重度の介護度を認定する認定者(Aged Care Assessment Team/ACAT)が自宅に派遣される。認定者が自宅へ派遣され訪問アセスメントを行う際も、上記簡易アセスメントと同様の質問がされるケースが多い。

介護に向けた事前準備

「介護」と言っても、サービスの受け手となる本人の健康状態により内容はさまざまだ。一方で、「もしも」の時を考え事前に介護サービスを受けるための準備をするのであれば、事前準備は大きく以下の4点が挙げられる。

  1. セミナーや勉強会などに行き、介護の仕組みや掛かるコストを理解する。
  2. マイ・エイジド・ケアのウェブサイトに資産と年収を基に介護コストを試算するページがあるため、そこに自身の現在の資産と年収を入力しコストをある程度把握する。
  3. 自身がどのような場所で最期を過ごしたいか考え、機会があれば老人ホームなどを見学、どのような所か、また行きたい老人ホームがあるのかなどを把握する。
  4. 家で介護を受けたい場合は、家に人が来てもらうこと(そして介護をしてもらうこと)に慣れておく。

◆施設ケア(老人ホーム)

施設での介護

もし在宅介護が難しいと感じれば、考えなければならないのが施設での介護だ。いわゆる「老人ホーム」と呼ばれる介護施設だが、オーストラリアの公的な介護施設は、要介護度の低い人を対象とした「ホステル」と要介護度の高い人の「ナーシング・ホーム」の2種類に分かれる。ただし、近年では同じ施設内で要介護度を上記の区分で分ける所が多くなってきているため、これらの違いはほとんどなくなってきている。

サービスを受けるまでの流れ

実際に公的な介護施設でのサービスを受けることを希望する場合、介護保険の認定の場合と同様マイ・エイジド・ケアに連絡をすることから始まるが、施設入居までの流れは以下の通りとなっている。

  1. マイ・エイジド・ケアに連絡する。
  2. マイ・エイジド・ケアによりアセスメントを受け、要介護度を認定してもらう。
  3. センターリンクで施設への入居を希望する本人の年収と資産の認定を受ける。
  4. 希望する介護施設に連絡し、部屋の空き状況を確認する。
  5. 希望する介護施設に空きがあれば、介護施設に行き入居日や必要な費用について調整する。
  6. 調整して双方が合意すれば入居。

想定される費用

介護施設への入居を考えた際に気になるのが、費用についてではないだろうか。介護施設入居に当たり掛かる入居金や住居費などの費用は施設により違うため、一概に年間に要する費用などを知ることは難しいが、日々に掛かる費用の試算は入居者本人の年収と資産に基づきマイ・エイジド・ケアで行うことが可能だ。そして、入居者本人の年収と資産の状況により、求められる費用は以下のように大きく2通りに分かれる。

年収と資産が十分にない場合
 年間に必要な費用などは年金の支給額以上に掛かることはなく、入居金なども保有資産以上に求められることはない。

年収と資産が十分にある場合
 入居金は、施設のあるエリアの平均的住宅価格の8 0%程度とされている。その他、1日5 0ドル程度の生活費用が掛かるとされているが、収入、資産、健康状況などにより正確な費用は変動する。

施設を探す際の注意点

入居する施設を探す時、必要とされる費用以外にどのような点を気にして探すのが良いのだろうか。介護施設を探すに当たり、特に注意したいポイントは以下の通り。

  • 入居金はもちろん、日々のケアには幾ら掛かるのか、また追加でケアが必要となった場合に掛かる費用を確認する。
  • 食事とお風呂(シャワー)を始め、日々のアクティビティーにどのようなサービスが提供されているのかを確認する。
  • 面会時間がどのように設定されているかなど、家族や友人が訪問しやすいかを確認する。
  • 施設内の設備の充実具合や豪華さなどではなく、スタッフの対応やスタッフ1人当たりが受け持つ入居者の人数などを確認する(一般的に、スタッフへの負荷が少ない方が良いサービスが提供される傾向にある)。

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日本人スタッフが安心の介護を提供

ジャパン・トータル・ケア・サービス(JTCS)

JTCS代表・沼田貴史氏
JTCS代表・沼田貴史氏

シドニーで介護や高齢者向けのサービスを中心に事業を展開するジャパン・トータル・ケア・サービス(JTCS)。オーストラリアではなかなか受けることができない、日本ならではのおもてなし精神のあるサービスが顧客から高い評価を得ている。同社の特徴や今後の展望を代表の沼田貴史氏に伺った。

――シドニーを拠点に同社のサービスを始めたきっかけをお聞かせください。

家族と共に来豪し30年近く経ちますが、オーストラリアで老後を考えた時、身の回りをケアしてくれる日本人として安心して利用できるサービスがないことに気が付きました。また、オーストラリア在住の日本人には家族と離れて暮らす人が多いため、将来的に介護などの福祉サービスに対して不安があるという声が多くあり、実際、自分の家族や友人が同じような不安を持っているのを長年見てきました。そこで、日本人が今後も安心してオーストラリアで暮らせるように、皆が安心して利用できる高齢者向けのサービスを立ち上げようと思ったことがきっかけです。

――高齢者向けサービスについてお聞かせください。

弊社には日本で看護師や介護士として働いてきた優秀な人材が多く在籍しているので、日本で仕事をした経験のあるスタッフにしかできない、配慮が行き届いたきめ細かいサービスを提供させて頂いております。

サービスは1回当たり2時間で、頻度は必要なだけ、お客様のご希望に応じて対応致します。サービスの提供可能エリアは、北はホンズビー、南はサザーランド、西はパラマタまでのエリアを目安に、シドニーの主要エリアをカバーしています。それらのエリア以外でもご相談頂ければと思います。

日本的なサービスの一例として、寝たきりの状況になっているオーストラリア人のお客様の髪の毛をスタッフのちょっとした気遣いで簡単に洗って整えて差し上げたということがありました。日本では何でもないようなことなのですが、ご本人やご家族にこちらが驚くほど感謝して頂きました。ちょっとした例ですが、日本人の心のこもったケアは世界に誇れるものだと実感しています。

――日系の会社にしかできない日本品質のサービスとして、どのような点を大切に事業を行っていますか。

「安心」「安全」「信頼」をモットーに、皆様の快適なオーストラリア・ライフをサポートさせて頂けることができればと思っています。例えばトイレやキッチンでふきんを使い分けるなど、多くの日本人にとっては「当たり前」のことがオーストラリアでは通用しないことが多々あります。「当たり前」のことを当たり前に行うことで、お客様に日本にいるのと同じように安心して業務を任せて頂けるように心掛けています。

――サービスを提供する体制については、これまでに何か変化はありましたか。

介護事業を始め3年ほど経ち、複数の大きな団体との協力体制もできたので、総合的なケア・マネジメントなどを含めた介護に関する全てのことができる体制になりました。他団体との協力により、経済的に厳しい人でも政府から介護制度の認定を受けた人であれば、実際に政府からお金が下りる前でもほぼ無料で弊社の介護サービスを受けて頂くことが可能です。また、一般開業医(GP)とも連携し、介護が必要な皆様にとって、より介護にアクセスしやすい体制にもなっています。介護についてのワンストップとして気軽に相談して頂ければと思います。

――今後のビジョンを伺えますか。

2017年10月から新事業として、高齢者だけではなく、障がいをもつ人たちを対象としたサービスも開始しました。障がいをもつお子さんのいる日本人の家庭がいることを日本人のソーシャル・ワーカーを通じて知る機会があり、こちらも日本人コミュニティーにとって必要なサービスであると思い、サービスを開始した次第です。

今後もオーストラリア在住の日本人の皆様が安心して暮らしていけるサービスを提供していくのはもちろんですが、日本人ならではの気配りやサービスのすばらしさをオーストラリアのローカルの人たちにも知って頂けるよう、幅広く事業を展開していきたいと思っています。

ジャパン・トータル・ケア・サービス
■Tel: (02)8607-8333 ■Web: www.jtcare.com.au ■Email: info@jtcare.com.au ■備考:カード支払い可


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