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今、日本で求められている人材とは?
日本の地方創生の救世主・山田拓氏に聞く
必要なのは共に「クールな田舎」を、プロデュースできるグローバル人材
山あいの小京都と言われる飛騨高山を中心とした飛騨地域をベースに、世界中の旅行者に向け、日本の田舎の魅力をさまざまなサービスやアトラクションを通して伝える株式会社・美ら地球(ちゅらぼし)。日本国内で話題となった『外国人が熱狂するクールな田舎の作り方』(新潮社)の著者であり、シドニーでもプロモーション活動を行う同社代表の山田拓氏は、日本の地方創生のキーワードに「グローバル人材」を挙げる。本記事では同社の事業紹介と共に、今後の日本を引っ張っていくために求められる人材について話を伺った。(文:馬場一哉)
経験から生まれた独自スタイルの留学エージェント
━━御社が提供しているプログラム「SATOYAMA EXPERIENCE」では「暮らしを旅する」をキー・コンセプトに掲げていますが、具体的にはどのような内容なのでしょうか。
「日本人にとって何気ない田園風景が外国人の目には非常に魅力的に映っているという点に着目し、日本の原風景である田舎をガイドと共に巡るサイクリング・ツアーなどを行っています。また、最近は、伝統工法で建てられた古民家の空き家の増加も地域課題となっており、これらを活用した宿泊事業にも着手しています」
━━飛騨地域の玄関口であるJR高山駅に併設したi-Café TAKAYAMAの運営にも携わっていると聞いています。
「駅前にあるこの施設はマーケティング拠点としての機能もあり、カフェ利用者から収集した情報を飛騨地域全体の飲食店宿泊事業者に提供することで、地域全体の満足度向上に貢献しています。飛騨エリアは、『観光立国』という言葉が広く聞かれるようになる以前より、田舎らしさを売りに外国人誘客に力を入れてきました。世界遺産白川郷、日本の三名泉に名を連ねる下呂温泉など、観光資源とその産業が集積した中心エリアとなる高山市だけで年間約55万人の外国人が訪れる国内有数の外国人受け入れの先進地となっています。また、日本を訪れる8割近くが滞在期間の短いアジア系の訪問者という状況の中、飛騨高山は欧米豪を中心とした西洋系の旅行者の比率が高いエリアとなっています」
日本の地方部は魅力の宝庫
━━近年のインバウンド・ブームもあり、山田さんはこの領域の事業に着手したリーディング・プレーヤーとして注目され、近年は観光庁などの中央省庁の有識者にも名を連ねています。
「蓄積してきた知見を用いて、日本各地の地方創生に関わる数々のコンサルティング事業や人材育成事業に従事し、クールな田舎のプロデュースを目指し日々邁進しています。地域住民の多くは、自分たちの地域を『何もない』と表現します。しかし、古くから継承された有形無形の価値を持つ日本の地方部は魅力の宝庫です。それらの価値を試行錯誤しながらツアー商品とすることで、世界中の人びととの架け橋になることができます。これは社会的な要求に答えるという面においても、非常にやりがいのあることです」
━━そうした事業を行う人材として求められる素質はどのようなものだとお考えですか。
「地方創生というキーワードが世を騒がすというのは、裏を返せば、地方部の現状が、決して楽観視できるものではないということ。一方、グローバル視点で見渡すと貴重な資源が多く残る魅力的なフィールドでもあります。残念ながら日帰り旅行や1泊2日程度の旅行が一般的な日本人の観光スタイルには、これらの資源を活用したツーリズムは適しません。しかし、この現状を好機と捉え、新たなチャレンジに向き合える人物こそふさわしいと思います。具体的には以下のような人物だと思います。
- 外国人旅行者と地方部に住む保守的な住民をつなぎ合わせるという、新たな領域へのチャレンジにワクワクし、常に前向きな気持ちで向き合える
- 数カ月以上の海外渡航経験を持ち、英語を主とした言語能力を持ち、日本という国や社会を客観的に見ることができる
- 人財が提供価値の源泉の多くを占める業態のため、多様な人びとと接することに前向きで、顧客の満足度に真摯に向き合える
- 社会貢献を加味した事業モデルということで、サステナブル、レスポンシブルなどのキーワードにピンとくるなど貢献欲求が比較的高い
- 他人と違うことに不安を持たず、自らにマッチしたライフスタイルを実践したい
グローバル人材とは
━━昨今、日本ではグローバル人材を求める声が多く上がっています。海外在住経験者が持つ日本帰国後の就職における強みと、その生かし方についてご意見をお聞かせください。
「イチロー選手の引退会見でも話題になりましたが、海外に住んだ経験者の強みは自らがマイノリティーになったことがあるという経験だと思います。それをベースに、日本社会のさまざまな側面を客観視できますし、特にオーストラリアのように、多様な人種や文化が混在する社会での生活経験は大きな強みになると思います。オリンピック開催を控えていることもあり、日本を訪れる外国人旅行者の数はうなぎ上りですが、これらを受け入れる観光産業は人手不足に喘いでいます。多文化理解の経験を地方部の保守的な人びととのコミュニケーションに生かすことができれば、活躍の場はかなり広がると思います」
━━帰国後に活躍するために海外滞在中にしておくべきことは何でしょう。
「1つ目はどっぷりと海外の環境に身を置き、違いを体感することです。以前、アメリカの会社に勤務していた時に、日系企業の関係者が日本人のみでコミュニティーを形成しているシーンを目にしました。海外で生活していても、閉じたコミュニティーで生活をしてしまうと、多くの学びを得られないと思います。2つ目は、その国で行われているさまざまなビジネスや取り組みをしっかりと学ぶこと。特に我々が従事する観光業界に関して、オーストラリアはかなり進んでいると感じます。オーストラリア国内を広く旅する、インターン生として企業で働く、業界関係者と意見交換するなど、貪欲に情報収集をすることで大きな武器を身に付けられるようになるでしょう」
日本の未来を担っているという実感
━━グローバル人材が重宝される流れの中、御社でも人材確保は課題だと思いますが、美ら地球で働くからこそ得られるものとして、どのようなことが挙げられますか。
「保守的な考えが大きい地方部で地域住民にはなじみのない日本人以外の人びとを招き入れのはかなり難しい取り組みです。そのためそれを実践し、成功を収めている弊社の取り組みは1つの『イノベーション』として評価を頂いております。新たなことを成し遂げるには、まだ多くの課題がありますが、それらに取り組む経験からは『自分が生まれた日本という国の将来を担っている』という確かな実感を得られると思います。また、後続する海外帰りの人に向けた新たな働き方のモデルを提示するという点でも意義があるのではないでしょうか」
━━御社では4つのHappyを基本的な考え方として掲げられているそうですね。
「ゲストのHappy、地域事業者のHappy、地域住民のHappy、自分たちのHappyを掲げています。自分たちのHappyには、日本にいながらにして国際感覚を保てると共に、新たに自分らしいライフスタイルを構築できる可能性も含まれます。キャリア形成以外にも、他で得られない未来の選択肢を見つけられるのではないかと思います」
地方部において日本一の地位を築き、今なお顧客満足度99%を誇るという業界のリーディング・プロバイダーである美ら地球。帰国後、日本のインバウンド事業など旅行業に携わりたいと考えている人も少なくないだろうが、同社のような取り組みを行う企業も視野に入れてみてはいかがだろう。興味のある人はぜひ同社へと直接問い合わせてみることをお勧めしたい。
■株式会社 美ら地球
URL: https://www.chura-boshi.com/
URL: https://satoyama-experience.com/
Email: info@chura-boshi.com
山田拓
外資系コンサルティング会社を退職し、足かけ2年にわたる世界のツーリズムを学ぶ旅を経て、飛騨古川に移住。「里山からSATOYAMAへ」を掲げ、田舎を巡る外国人向けプラットフォームSATOYAMA EXPERIENCEを始め、民家などの地域資源を活用したグローバル・マーケットを視野に入れた数々の地域再生ソリューションをプロデュース。2013年、地域づくり総務大臣表彰で個人表彰を受ける他、グッド・デザイン賞、環境大臣賞など、多方面から評価を受ける。近年は、全国各地の田舎をクールにする多種多様なプロジェクトに関わる。創業後も年に一度の海外への旅は欠かさない。奈良県生まれ、株式会社美ら地球(ちゅらぼし)CEO。総務省地域力創造アドバイザー、内閣官房クールジャパン・地域プロデューサー著書:『外国人が熱狂するクールな田舎の作り方』(新潮社)