医療
Q
前歯が人よりも大きいことが昔からコンプレックスで、自分の子どもには同じ思いをさせたくありません。子どもの歯科矯正はいつから始めることができますか?(32歳女性=主婦)
A
医師によってさまざまな考えがありますが、一般的にはまだ顎(あご)の発育が終わっていない8~9歳の間が良いと言われています。この時期であれば顎が発育中であるため、実際の矯正治療を始める前に、歯並びの改善に必要なスペースを作って、取り外し可能な装具を導入することも可能です。特に前歯が出てしまっているいわゆる“出っ歯”のお子さんの場合には、8~9歳ごろを目安に、早い段階から矯正を始めることをお勧めします。
出っ歯のお子さんは、ボールが当たる、壁にぶつかるなどの事故があった際に、前歯が折れてしまうケースも少なくないからです。こうした事故を未然に防ぐためにも、矯正治療は有効と言えるでしょう。
しかしながら、歯並びが複雑で入り組んでしまっている場合には、大人の歯に生え変わる10~11歳ごろの時期が理想的である場合もあります。
このころであれば、まだ歯の生え変わりも完了しておらず、インビザラインという透明マウスピースによる治療法を採用することで、更に矯正に伴う抜歯の必要性を最小限まで抑えることができます。15歳ごろになると歯の生え変わりも完了し、状況は変わってくるでしょう。
お子さんの将来のためにできること
矯正歯科治療メリットは、「美しさを得ること」だけではありません。そのほかの利点としては、下記などが挙げられます。
- かみ合わせを改善することでどんな食べ物でも噛みやすくなり、健康な食生活が送れるようになります。
- 歯並びが整うと歯磨きがしやすく、虫歯になりづらくなります。
- 顎のバランスが整うと噛む際の各歯への負担がバランス良く分散され、歯の破折や摩耗を防いでくれます。
矯正治療を正しく行うことで、大切なお子さんの歯も、生涯にわたって長持ちするようになります。更には、虫歯や歯周病になりやすい環境からも守ることができます。
*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せ頂いたご相談は、紙面に掲載させて頂く場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。
ノックス・キム院長
シティ・ワールドタワー歯科(Dental Clinic @ World Tower)
オーストラリア・シドニー大学歯科学部を卒業。キャンベラやストラスフィールドで勤務した後、03年にワールドタワー・レーザー歯科を開院(東京・大阪・名古屋・千葉・京都・アメリカに提携クリニックあり、医療法人スワン会グループ)。一般歯科治療の他にも多くの歯科関連資格を保持。インビザライン特別推薦ドクター。東京臨床協会(SJCD)、アメリカ審美歯科学会会員。シドニー大学臨床講師