フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!
第97回 足の裏・かかとの痛み
最近足の裏に痛みが走りました。仕事柄、立っている時間が長く、また40歳という年齢から足底腱膜炎(そくていけんまくえん)、足底筋膜炎(そくていきんまくえん)であることは明らかでした。
どんな人がなるの?
特に40~50歳代で発症することが多いです。また、若年層でもスポーツに力を入れている人は発症する可能性が高くなります。加齢や運動不足などが原因で足底筋膜やそれを支えるふくらはぎ、つま先の筋力が弱くなった状態で、ランニングや下半身を中心とした筋トレなどで急激に運動量が増えると足底筋膜が支えることができずに退化と変性、弱化が進み、痛みが生じます。
従来、足底筋膜のリハビリは長期化することが多く、自分の足に合った靴や土踏まずを支えてくれるインソールを使用しながら運動量を落とし、痛みを落ち着かせつつ、ストレッチやマッサージなどを行う緩和療法が主でした。しかし、最大の原因である筋膜とその周辺筋肉の強化を行っていないので再発することが多く、再発しないように運動を自制すると運動不足に陥り、更なる筋力の低下を招くという悪循環に陥りかねない状態でした。
足底筋膜はコラーゲンI型で形成されていて高重量の負荷に対応できる特徴があります。2015年に発表されたイギリスの研究によると、足底筋膜とアキレス腱・ふくらはぎに高い負荷をかけるトレーニングを行う方が毎日のストレッチよりも治療効果が高いことが分かりました。また、筋膜・腱膜は負荷を掛け続けることでコラーゲンの状態を良く保ち、再発予防につながります。
足裏トレーニングをやってみよう!
- 床に直径2cmほどに丸めたタオルを置き、その上に親指を置く。ひざは終始真っすぐに保つ
- 3秒掛けてかかとを上げ、上げ切った時点で2秒間保ち、3秒掛けて戻す
- 片足8回ずつ、3セットを行う。2日に1度行い、2週間続ける(その後はプロのアドバイスの下、負荷を上げていく)
奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)
シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au