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2019年12月 ニュース/コミュニティー

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オーストラリアの日系コミュニティー・ニュースをお届け!

Japanese Community News

オーストラリアにおける日系コミュニティーのニュースや最新情報を紹介していくと共に、シドニーを中心に各地で行われるセミナーやイベントの告知や報告などを掲載。

ダイキン・オーストラリア50周年

記念式典をタウン・ホールで開催

あいさつを行うダイキン本社の井上礼之会長
あいさつを行うダイキン本社の井上礼之会長

ダイキン工業は11月13日、オーストラリア事業創業50周年を記念した記念式典をシドニーのタウンホールで開催した。会場には500人以上の関係者が訪れた。

式典冒頭では、1969年に空調販売の海外最初の拠点としてシドニーに進出して以来、現地生産の開始で飛躍的に規模を拡大した経緯など、同社が世界一の空調機器メーカーとなるまでの50年間の歴史をビデオで紹介した。併せて、近年の動きとして倉庫やトレーニング・センターを併設したダイキン・パークの設立、更には空調サービス・メンテナンスの現地企業・エアマスター社の買収などにも触れた。

キャンサー・カウンシルに5万ドルの寄付金が贈られた
キャンサー・カウンシルに5万ドルの寄付金が贈られた

式典にはメリッサ・マッキントッシュ連邦議員も出席。スコット・モリソン首相からのメッセージとして、ダイキン工業への祝辞と共に今後の日豪交流の更なる高まりへの期待などを代読した。また、登壇したダイキン・オーストラリア社のボブ・ウッドハウス社長は、同社からキャンサー・カウンシルへの5万ドルの寄付を発表、ステージ上で授与が行われた。

式典の最後にスピーチを行ったダイキン本社の井上礼之会長は、アジア・オセアニア地域を今後の事業拡大の重点地域とするとし「オーストラリアで更にエネルギー効率の高い空調機を投入するために、今後は、研究開発センターや、サービス・ソリューション事業を更に強化していく」と話した。現在、ダイキンはオーストラリア市場で約600億円の売り上げを上げているが、来年度は20パーセント増し、約720億円にまで拡大する方針を掲げている。

式典後は、オーストラリアを代表するピアニストとして名高いサイモン・テデスキ氏の演奏、ソプラノ歌手・グレタ・ブラッドマン氏、テノール歌手のジェームズ・エグレストン氏によるオペラ、そして3者によるコラボレーションも行われ盛り上がりを見せた。

会場はサイモン・テデスキ氏の美しいピアノの音色に包まれた
会場はサイモン・テデスキ氏の美しいピアノの音色に包まれた
ソプラノ歌手・グレタ・ブラッドマン氏、テノール歌手のジェームズ・エグレストン氏
ソプラノ歌手・グレタ・ブラッドマン氏、テノール歌手のジェームズ・エグレストン氏

「給湯器製造工場」視察会を開催
シドニー日本商工会議所

視察会に参加した部会メンバー
視察会に参加した部会メンバー

シドニー日本商工会議所の機械・建設・自動車部会(部会長=嘉手納士郎:トヨタファイナンス オーストラリア)と電子機器部会(部会長=高橋志織:シチズン ウオッチ オーストラリア)は10月30日、視察会を開催。15人が参加した。

参加者は、シドニー郊外のモス・ベールにあるノーリツ・オーストラリアの工場を訪問し、豪州での事業内容や給湯器に使用されるタンクの製造工程等について説明を受けた。続いて工場内に移動し、鉄板の切断・成形、溶接、治具の取り付け、梱包を含む一連の製造工程を見学した。


セミナー「ビジネス慣行に関わる規制改革」を開催
シドニー日本商工会議所

解説するケリガン氏(右)とブレイズ氏(中央)
解説するケリガン氏(右)とブレイズ氏(中央)

シドニー日本商工会議所(会頭=宮地宏:オーストラリア三菱商事会社)の企画委員会(委員長=馬島知恵:日立オーストラリア)は11月7日、シドニービジネス塾「ビジネス慣行に関わる規制改革」を開催、37人が参加した。

講演では、アレンズ法律事務所のパートナーであるクリストファー・ケリガン氏とマネージング・アソシエイトのジョージ・ブレイズ氏から、内部告発者保護に関する法改正や現代奴隷法、贈収賄防止法改正等について説明を聞いた。

シドニービジネス塾は、シドニー日本商工会議所が不定期で開催するセミナー。会員企業向けに、ビジネスや企業運営に関わる最新情報を提供している。


ブリスベン関連の顕彰続く、外務大臣表彰と秋の叙勲

田中一成・ブリスベン総領事(右)より表彰状を受け取った小島氏(中央)と妻・文子さん(同左)(Photo:Taka Uematsu)
田中一成・ブリスベン総領事(右)より表彰状を受け取った小島氏(中央)と妻・文子さん(同左)(Photo:Taka Uematsu)

11月1日、在ブリスベン日本国総領事公邸で令和元年度外務大臣表彰を受賞したブリスベン在住の書道家・小島榮松(雅号・小島舟豊)氏への賞状授与式が行われた。同氏は1993年にブリスベン移住後、書道の普及を通じて、長らく日豪間の文化交流の深化に貢献してきた実績が認められた。会場には多くの門人、夫唱婦随で活動を続けてきた妻の文子さん、日本から訪れた2人の娘などが集まり、同氏の功績を称え、賑やかに受賞を祝った。

更に、ブリスベン関連では、令和元年秋の叙勲において、元ブリスベン市立マウント・クーサ植物園園長ロス・ディビッド・マキノン氏の旭日小綬章受章が決まった。同氏は、1988年のブリスベン観光万博で展示された日本庭園の文化的価値を高く評価し、同博覧会終了後に市立植物園への移設実現に尽力。移設後も同園を利用しての日本文化の紹介及び対日理解の促進に多大な貢献を果たした功績が認められての受勲となった。


シドニーで泡盛「琉球美人」ローンチ・イベント
オリジナル・カクテルも開発

ヘリオス酒造の新製品「琉球美人」
ヘリオス酒造の新製品「琉球美人」

沖縄の蒸留酒である泡盛などを製造・販売するヘリオス酒造は12月9日、新製品「琉球美人40度700ml」のローンチ・イベントをシドニー中心部ピアモントにあるジャパニーズ・フュージョンのイタリアン・レストラン「LuMi Bar & Dining」で開催する。

同イベントは2部構成で行われ、午後6時から飲食店関係者とメディア向けに行われる第1部では「LuMi」監修による沖縄ローカル料理と琉球美人を使ったオリジナル・カクテルのペアリング、カクテル・レシピの紹介が予定されている。午後7時から誰でも参加可能な第2部は「サムシング・ジャパニーズ」をドレス・コードとして、日本の国旗をイメージした服、着物、アニメのコスチュームなど日本に関連したスタイルが推奨され、「琉球美人」発売のカウント・ダウンの乾杯や参加者のベスト・ドレッサー賞の発表も行う。満員の場合、入場制限の可能性がある。

琉球美人は伝統的な製法をベースとし新製法を取り入れて開発された、カクテルにも向く酒質の泡盛。ヘリオス酒造は日本国内だけでなく、既に同社製品の輸出先となっているヨーロッパ、北米、アジアなど17の国・地域にも琉球美人の販売を展開していく予定だという。

会場となる「LuMi」は、東京の有名和食店で修行したシェフのフェデリコ氏の他、日本人シェフも厨房に立つレストラン。「世界のベスト・イタリアン・レストラン2019」でアワードを獲得し、「2018年オーストラリアのトップ・レストラン100」では13位に輝いた。

■「琉球美人40度700ml」ローンチ・イベント
日時:12月9日(月)6PM~9PM
場所:LuMi Bar & Dining(56 Pirrama Rd., Pyrmont NSW)
料金:無料
Web: facebook.com/events/1035299750169773


春季ソフトボール大会を開催――シドニー日本人会

優勝した「がんばれベアーズ」のメンバー
優勝した「がんばれベアーズ」のメンバー

シドニー日本人会(会長=中城英喜:三菱UFJ 銀行)のレクリエーション委員会( 委員長=笠原昌哉:JTBオーストラリア)は11月10日、第82回春季ソフトボール大会を開催。12チームから200人以上が参加した。

当日は、午前の予選を勝ち抜いた8チームが午後の決勝トーナメントに進出した。決勝戦は、3大会連続決勝進出となる「がんばれベアーズ」と、優勝経験豊富な強豪「WYNYARD」が対戦。最終回に逆転した「がんばれベアーズ」が見事、初優勝を果たした。

次回秋季大会は2020年5月に開催を予定している。


doq、エスニック・ビジネス・アワード
スモールビジネス部門、ファイナリストに

シドニー拠点の在豪日系マーケティング企業doqは、オーストラリアの権威ある賞の1つであり、多文化企業に与えられるエスニック・ビジネス・アワードのスモール・ビジネス部門のファイナリストに選出された。受賞は逃したものの、ファイナリストに選ばれるのはシドニーの日系企業としては2013年のジュンパシフィック以来2度目の快挙。

同社代表の作野善教氏は「夢は日本と世界を繋ぐマーケティングとイノベーションの橋を架ける事です。doqという社名はdock(桟橋)に由来しており、国境を越えて人や文化が交差する桟橋のような存在を目指しています。その夢を実現するために多岐にわたる文化と人種からなる世界の縮図のような市場である豪州は最も理想的な国の1つと考えます。斬新なマーケティング戦略の施行から得られる学びは、他市場展開の際の貴重な糧となるでしょう。次の10年間で更に2国間における強固な橋を構築していきたいと思います」と話している。

ステージ上でファイナリストのパネルを受け取る作野氏
ステージ上でファイナリストのパネルを受け取る作野氏
スコット・モリソン首相と対話する場面も
スコット・モリソン首相と対話する場面も

フュージョン・ジャパニーズ・ダイニング「エイジュ」
ワイン・テイスティング・イベント開催

岡崎英樹シェフ(左)とアレックス・マッケイ氏(中央)
岡崎英樹シェフ(左)とアレックス・マッケイ氏(中央)

ピアモントのフュージョン・ジャパニーズ・ダイニング「エイジュ」で11月12日、ワイン・テイスティング・イベントが開催された。キャンベラから北に60キロほどのところにあるワイナリー「コレクター」のオーナー、アレックス・マッケイ氏が訪れ同社のワインを自ら来場者に振る舞った。同社は現在日本市場への進出を目指しており、日本のカスタマーの反応を調査したく、今回のテイスティング・イベントへの参画を決めたという。

ワインのマッチングには、「エイジュ」のオーナー・シェフ岡崎英樹氏による特製カナッペが、そしてイベントの最後には岡崎氏得意のパスタ料理も振る舞われ、来場者は舌鼓を打った。

「リースリングにはイカスミのクラッカーに帆立、ロゼにはポークベリーを合わせました。シラーズにはラムを合わせる予定だったのですが、意外に軽めだったこともあり、ビーフに変えるなどワインのテイストに合わせてメニューを入れ替えるなど工夫しました」と岡崎氏。「今後も定期的に開催していきたい」と話している。

当日は11種類のワインが会場に並べられた
当日は11種類のワインが会場に並べられた
岡崎氏の作る独創的なカナッペに来場者は舌鼓を打った
岡崎氏の作る独創的なカナッペに来場者は舌鼓を打った

ゴールドコーストで日本人起業家の世界大会開催

多彩な講師陣によるビジネス・セッションが行われた
多彩な講師陣によるビジネス・セッションが行われた

海外で活躍する日本人起業家のネットワーク「WAOJE(ワールド・アソシエーション・オブ・オーバーシーズ・ジャパニーズ・アントレプレナーズ)」(代表理事=猪塚武氏)による年に一度の世界大会「グローバル・ベンチャー・フォーラム」が、11月6~8日の3日間にわたりゴールドコーストで開催された。豪州国内外から日本人起業家ら約300人が参加した。

同フォーラムは日本人起業家にネットワークや出会いの場を提供する目的で毎年開催され、今年は地元ゴールドコースト支部長の豪州弁護士ハーディング裕子氏が大会実行委員長を務めた。初日のウェルカム・パーティーではカナダ人落語家の桂サンシャイン氏の舞台を皮切りに、基調講演は新1万円札の顔となる「日本資本主義の父」こと渋沢栄一の子孫でシブサワ・アンド・カンパニー株式会社の渋澤健氏が、「渋沢栄一の『論語と算盤』で未来を拓く」と題して、世界で日本人に期待される役割について語った。

フォーラムは、元日産自動車取締役の志賀俊之氏を含む全79講師陣による26のビジネス・セッションにより構成され、参加者は日本の他、ヨーロッパ、北米、ブラジル、アジア諸国、インドからゴールドコーストへ集結した。


やのしおり氏、日本語の心理学ワークショップを開催

講師を務めたやのしおり氏(中央)と参加者
講師を務めたやのしおり氏(中央)と参加者

ワールドシティー日本語医療センターで11月15日、サイコロジストのやのしおり氏による日本語心理学ワークショップが開催され、6人が参加した。同ワークショップは、「オーストラリア心理臨床学会」が心理学的アプローチの認知度向上を目的に毎年11月に行っている「心理学ウィーク」に合わせて行われた。

ワークショップは「社会的正義に関して若い人から学ぶ」と題され、現在若者たちの間で広がる気候変動対策を求める抗議行動が与える心理的影響がテーマ。参加者は「気候変動への不安が若者の精神状態に悪い影響を与えている」といったオーストラリア心理臨床学会による調査報告や、気候変動に対する若者たちの意見をまとめた動画を視聴した後に意見を交わした。参加者からは「SNSの広がりでデモが自分を格好良く演出するためのツールになっているのではないか」「現実性がなく理想ばかりの意見が多いが真っすぐな意見には学ぶところがある」などさまざまな意見が飛び出し、予定時間を20分ほど超えて盛り上がった。


書道教室RENCLUB、チャッツウッドで展覧会開催

会場に並ぶRENCLUB会員の書作品
会場に並ぶRENCLUB会員の書作品

シドニー北郊チャッツウッドの公共施設「コンコース」で12月17~23日、シドニーを中心に活躍する書家れん氏が主宰する書道教室RENCLUBの会員書作展「RENCLUB Members’ Exhibition 2019」が開催される。同展の開催は今年で6回目。

同教室には5歳の子どもから大人まで、日本人の他、日本語を母語としない会員も参加しており、同展で日頃の稽古の成果を存分に発揮した作品を展示する。毛筆では漢字や、漢字かな混じりの文言を、楷書、行書、隷書などのスタイルで表現し、ペン字の作品も、古典かなの臨書から、有名小説の冒頭文までさまざまな題材を扱った。オーストラリア国内の中華系競書展での入賞者を含む、子どもの作品も出展される。

れん氏は同展の開催に向け、「文字を書くという単純な行為の幅の広さ、奥の深さをご覧頂けると思います」とコメントしている。

会場:Art Space – The Concourse(409 Victoria Ave., Chatswood NSW)
日時:2019年12月17日(火)~23日(月)、火12PM~5PM、水~金11AM~5PM、土・日11AM~4PM、月11AM~12PM
料金:無料
問い合わせ先:renclub@gmail.com、(02)8970-3575(RENCLUB)
Web: theconcourse.com.au/renclub-exhibition-2019


和太鼓りんどうコンサート、メルボルンで開催

メルボルン南東郊外のサウス・オークリー大学で12月7日と8日、太鼓演奏者集団「和太鼓りんどう」が毎年恒例のスチューデント・コンサートを開催する。初級から上級までの演奏者が出演する他、ゲストとして7日には沖縄民謡バンド「いちまでぃん」、8日には津軽三味線奏者の只野徳子氏と箏奏(そう)者ブランドン・リー氏も演奏を披露する。ファミリー向けの演目で、幅広い層の人が楽しめるコンサートが予定されている。

オーストラリアで日本の太鼓の魅力を伝え続ける和太鼓りんどうは、メルボルンを拠点に活動。2013年には日豪の友好親善への貢献が評価され、同グループ主宰の坂本敏範氏が外務大臣表彰を授与された。

■2019 Wadaiko Rindo Annual Student Concerts
日時:12月7日(土)6: 30PM、8日(日)2PM
会場:Christine Strachan Theatre, South Oakleigh College (Bakers Rd., Oakleigh South VIC)
料金:<前売り>大人$22、16歳未満$16.5 <当日>大人$25、16歳未満$20
Email: toshi@wadaikorindo.com(坂本)
Web: trybooking.com/BGKEZ(チケット予約)


政治家・山本太郎に迫るドキュメンタリー映画
クロウズ・ネストで上映会

映画『ビヨンド・ザ・ウェイブス』の一場面
映画『ビヨンド・ザ・ウェイブス』の一場面

日本の元俳優で政治家の山本太郎氏に迫ったドキュメンタリー映画『ビヨンド・ザ・ウェイブス(Beyond the Waves)』の上映会が12月8日、シドニー北郊クロウズ・ネストで開催される。

同作は、ベルギーの映画監督アラン・ド・アルー氏が2018年に発表した65分のドキュメンタリー。3.11の東日本大震災に伴う福島県の原発事故をきっかけに政治の道を歩み始めた山本太郎氏の参議院議員(当時)としての型破りな活動に焦点を当て、日本社会の歪みを映し出しながら警鐘を鳴らす内容となっている。上映は英語字幕付きの日本語音声で行われる。

同監督はこれまでも原発問題をテーマにした作品で知られ、『福島へようこそ』(2013年)の撮影で来日した際に山本太郎氏と出会ったことが『ビヨンド・ザ・ウェイブス』製作のきっかけとなった。

予約はEメールで以下まで。

■『Beyond the Waves』上映会
日時:12月8日(日)1PM
場所:Fuller Hall, Crows Nest Centre(2 Ernest Pl., Crows Nest NSW)
料金:$20
Email: ydevent111@gmail.com(Yuriya)
Web: www.facebook.com/events/2724846394244041


第10回NSW大学日本語研究発表会開催

優勝したモグモグ組の学生たち
優勝したモグモグ組の学生たち

ニュー・サウス・ウェールズ大学(UNSW)の日本研究専攻の学生による研究卒業発表会が11月22日、同大学内で開催された。同発表会は、ニュー・サウス・ウェールズ大学日本研究専攻の学生らによって2011年度より行われており、今年で10回目の開催となった。今年の学生の研究発表テーマは「日本語と英語のユーチューバー」「日本の学校給食」「日本の食文化」「日豪の健康意識」で、4チームがそれらをテーマに日本語で発表を行った。今年の優勝者は「日本の学校給食」について発表したモグモグ組。「NSW州政府に給食制度を提案したい」という具体的なアクションを提示した点が評価につながった。

同校で日本語を教え、発表会の指導を担当したトムソン千尋教授は、「NSW大学が3学期制を導入したため、これまでは14週かけて準備できていたところが10週に減ってしまいました。そんな短い期間の中、各チーム団結して頑張りました。よくやったと褒めたいです」と学生たちをねぎらった。


「継承日本語」テーマにシドニーで講演開催

講演を行う三宅和子教授(中央)
講演を行う三宅和子教授(中央)

シドニーのジャパンファウンデーションで10月20日、東洋大学の三宅和子教授を講師に招き、継承語をテーマとした講演「日本語が意味を持つとき:国際結婚家庭の日本語の保持・継承とアイデンティティ」が行われた。主催はNSW大学。

三宅教授は社会言語学や日本語教育が専門。講演では、変化する社会の中で海外移住や通信手段の進歩を背景として日本語の保持・継承がどのように行われてきたか、特に移住者の第2世代における継承語としての日本語の現状などが、豊富な事例を通じて語られた。三宅教授は、「流動的で多様な世界を自分らしく生きる人間」になる過程に継承語があり、継承語を学ぶことは「複層的な文化と社会を自分の一部として持ち、深く理解する」ことだと強調。また、「『継承語』の議論は一生を通じての人間的な成長の中で見ていく必要がある」とし、単に読み書きなどのスキルだけではない継承語の意義を提示した。

講演後には、参加者が数人ずつのグループに分かれて継承語について自らの取り組みや悩みをシェアする時間が設けられ、活気に満ちたセミナーとなった。


多文化共生へ向け海外日系人大会開催

第60回海外日系人大会が10月1~3日の3日間、東京・永田町の憲政記念会館で開かれ、21カ国・地域から約180人が参加した。テーマは「令和(英語ではbeautiful harmony)の日本と国際化の架け橋・日系社会」。開会式には天皇皇后両陛下もご臨席され、「米国、ブラジル訪問時には、日系の皆様の活躍に深い感銘を受けた。架け橋として心強く感じている。2大震災での支援に感謝している」とお言葉を述べた。現在、日本には約30万人が滞在する。

ブラジル・サンパウロ生まれ、現在は日本永住のアンジェロ・イシ武蔵大学教授
ブラジル・サンパウロ生まれ、現在は日本永住のアンジェロ・イシ武蔵大学教授

基調講演は、日本在住29年の武蔵大学教授のアンジェロ・イシさん(=写真)。「在日ブラジル人1世で、東京人的です」とユニークな自己紹介をした。サンパウロに生まれ、1990年に東京大学に留学。日系ブラジル人3世から在日ブラジル人1世へとなり、東京生まれの娘を持つ。「多文化共生」が研究テーマで、在日ブラジル人向けの週刊ポルトガル語新聞の編集長を3年務め、今も同紙にコラムを書いている。

イシ教授は「日本での『デカセギ』が始まった30年前、そのまま定住。現在はブラジルやペルーからの日系人で日本在住の人が30万人もいる。ブラジル、アメリカに次いで3番目に大きい日系人社会だ」と報告。日本に自分の家を持ち、チーム日本の一員で、東北被災地にボランティア支援もしているなど、KYODO、共生している。しかし、日本社会が認知していないのは残念だ。

日本は高齢と少子化で人材不足だ。外国人は人材の宝庫なのに、安部首相は移民対策はとらない、とイシ教授は言う。日本社会の反発を買うのを恐れているのだろうが、カモフラージュではないかとイシ教授の分析と指摘は厳しいものだった。また、「日本は多文化共生の時代に入っている。トランス・ナショナルなグローバル人材を活用すべきだ」と主張した。

国際シンポジウムでは、島根県出雲市長の長岡秀人氏や静岡県浜松市長だった北脇保之氏は、ブラジル、中国、ベトナム、フィリピンなどからの外国人労働者を多数受け入れていると述べ、地方都市では多文化共生が進んでいる実情が明らかにされ、日本政府の態度とのギャップが目立った。

日本と比べ、オーストラリアの多文化主義は先行している、と筆者は実感した1時間のシンポジウムだった。

オーストラリアから4人が参加

海外日系人大会に、オーストラリアからは4人が参加。オセアニアからは、他にニューカレドニアから2人が出席した。

パース在住のニコルソン邦子さん
パース在住のニコルソン邦子さん
シドニー生まれでカナダ・オンタリオ日系文化会館統括マネージャーのサンディー・チャンさん
シドニー生まれでカナダ・オンタリオ日系文化会館統括マネージャーのサンディー・チャンさん

パース在住のニコルソン邦子さん(=写真)は永住51年で、大会には数回出席。日豪プレス社主の池口アイクさんは、大会場の別室で天皇皇后両陛下と接し、コアラ、カンガルーと、奇麗な国ですね」とお言葉をかけられたという。

カナダからの参加者サンディ・チャンさん(=写真)は、シドニー生まれ。中国系の父と日本人の母を持ち、日本語と英語で話し、シドニーで大卒後、カナダ人と結婚しオンタリオ州へ。カナダ日系文化会館で、日本紹介行事の統括マネージャーを務めているという。(投稿=青木公)


海外日系新聞放送大会、東京で開催

東京・日比谷の日本プレスセンターで10月4日、第46回海外日系新聞放送大会が開かれ、世界の日系メディア企業6社の代表らが出席した。

参加したのは、バンクーバー新報、J+PLUS(シンガポール)、北米報知(シアトル)、サンパウロ新聞、デイリー・サン・ニューヨーク、ライトハウス(ロサンゼルスなど)。

サンパウロ新聞の鈴木雅夫前社長(日系1世)は、昨年10月に廃刊した経緯を報告。同紙は70年の歴史があるブラジルの日系新聞だが、日本語が読める人の多くは80歳以上となっただけでなく、日本企業の駐在費が減り、部数減で広告収入が減ったことが背景にあるという。同社長は「競合紙の日系ジャーナルもがんばっているが、不動産業からの収入があるのでなんとか継続しているのが実情」と話す。

アメリカでは、日本語を読める日系人世代が少なくなっている。電子版の若い読者は増えているが、広告が入りにくいという実情がある。記者ビザも取得が難しくなっている。サンフランシスコでは日系紙は2紙あったが、共に廃刊し、日系社会や市行政の動向が伝わりにくくなってしまっているという。(投稿=青木公)


村上隆氏来豪──ジャパン・スーパーナチュラル

25メートル×3メートルという非常に巨大な村上隆氏の作品
25メートル×3メートルという非常に巨大な村上隆氏の作品

NSW美術館で現在開催中の日本の妖怪などにフォーカスを当てた特設展「ジャパン・スーパーナチュラル」のメディア向けプレビュー・イベントに、世界的なアーティストとして知られる村上隆氏を始め、松井冬子氏、青島千穂氏など作品を出展した日本人アーティストが訪れた。

同展の作品を見て回った村上氏は「キュレーターのメラニーさんが非常に深く日本の妖怪を掘り下げて学習されていることを感じました。日本でもなかなかない、非常にインテレクチュアルな展示になっていると思うので、ぜひ見に来て欲しい。僕も2回観に来ましたが、非常に勉強になりました。カタログも非常に良くできているのでそちらも注目して欲しい」と話している。

メディアへの質問に答える村上隆氏
メディアへの質問に答える村上隆氏
当日、会場に着物で訪れた松井冬子氏
当日、会場に着物で訪れた松井冬子氏

井上靖賞授与式で「里見八犬伝」研究者の講演開催

スライドを用いて講演するルーシー・フレーザー博士
スライドを用いて講演するルーシー・フレーザー博士

11月8日にシドニー大学で開催された第13回井上靖賞の授与式で、今回の受賞者であるクイーンズランド大学のルーシー・フレーザー博士による特別講演と文化プログラムが行われた。井上靖賞はシドニー大学、井上靖記念文化財団、NSW豪日協会が主催し、日豪交流を記念して豪州とニュージーランドにおける日本文学研究及び研究者の奨励を目的に2006年に創設された。

受賞の対象となったのは、フレーザー博士の研究論文「犬と神と妖怪:馬琴の『八犬伝』・昔話・伝説・現代の再話における人間と動物」。授与式の後に行われた講演では江戸時代後期に曲亭馬琴(滝沢馬琴)が執筆した大作『南総里見八犬伝』にまつわる研究について同博士が語った。その後、桜庭一樹の小説『伏

贋作・里見八犬伝』を原作とする日本のアニメーション映画『伏 鉄砲娘の捕物帳』(2012年)の上映も行われた。


カウラ桜祭りで生け花デモンストレーション
小原流シドニー支部

カウラ日本庭園の開園40周年を祝い中野邦子氏が園内の花材を生け込んだ迎え花
カウラ日本庭園の開園40周年を祝い中野邦子氏が園内の花材を生け込んだ迎え花

小原流シドニー支部は9月28日、NSW州西部で開かれた「カウラ桜祭り」で毎年恒例となる生け花のデモンストレーションを行った。今年はカウラ日本庭園の開園40周年を祝い園内の花材を生け込んだ迎え花の他、写景、琳派などの生け花型10鉢を披露し、訪れた観客に日本の美と文化を紹介した。地元テレビ局プライム7による取材もなされ、ニュース番組で桜祭りの情報と小原流シドニー支部の中野邦子氏のインタビューやデモンストレーションの様子が放送された。

■小原流シドニー支部
Email: hanatsubaki1@hotmail.com(中野)


■NSW州立美術館・日本語ボランティア・ガイド便り

特別展「Japan supernatural」第3弾

NSW州立美術館前に勢ぞろいした日本語ガイド
NSW州立美術館前に勢ぞろいした日本語ガイド

「ジャパン・スーパーナチュラル」展、日本の妖怪をテーマにした企画展が始まりました! 江戸時代に流行した「百物語」を思い起こさせる、天井から100個の提灯が下がった薄暗い入口の様子が、あなたを妖怪、物の怪の世界にいざないます。

最初の部屋には1700年代後半に活躍した狩野派の画家・鳥山石燕の「百鬼夜行」の肉筆絵巻が展示されています。当時、肉筆の絵巻物は庶民には手の届かない芸術品。ところが石燕が安価な版本の『画図百鬼夜行』を刊行したお陰で一般庶民も面白い妖怪の様子を楽しめるようになりました。『画図百鬼夜行』は後世の絵師のお手本にもなり、『ゲゲゲの鬼太郎』の作者・水木しげるも多大な影響を受けました。

300年も前からのアートと超現代的なアートがすんなりと融合して独特な雰囲気を醸し出している今回の展覧会は、過去数年の企画展の中で一番すばらしいと美術館内でも評判です。始まってまだ2週間ですが、来場者数は既に数々の過去特別展の最初4週間の入場者数を上回っています。触ると妖怪が現れる「百鬼夜行」のタッチ・スクリーンは、大人も子どもも大喜び。スーパーナチュラル、不可思議な世界、妖怪や幽霊とは怖いのでは? と思っている方もその充実した内容とユーモアを楽しんで頂けます。

そして、圧巻は何と言っても村上隆のパワフルなアートワーク。25メートル×3メートルの巨大な作品「In the Land of Dead. Stepping on the Tail of a Rainbow」は、高さ5メートルの赤鬼と青鬼のスカルプチャー。10月に完成したばかりで美術館が7桁の費用で購入した「Vertiginous After Staring at the Empty World Too Intensely, I Found Myself Trapped in the Realm of Lurking Ghosts and Monsters」は10メートル×3メートルの作品。村上が好きな人も嫌いな人も、とにかくすっぽりと村上ワールドに浸って作品のエネルギーを感じてください。

180点もの作品はどれもこれもすばらし、1回ではとても観切れません。数点の作品は開催半ばに入れ替えがありますし、数次入場券を購入して何回か観たらご満足頂けるのではないでしょうか。(NSW州立美術館コミュニティ・アンバサダー:チョーカー和子)

■Japan supernatural展
日程:開催中~2020年3月8日(日)※12月25日を除く
時間:10AM~5PM(水曜のみ10PM閉館)
場所:Major exhibition gallery, Art Gallery of NSW(Art Gallery Rd., Sydney NSW)
料金:大人$25、コンセッション$22、美術館会員$18、家族(大人2人+子ども3人まで)$62、12~17歳$12、12歳以下無料(Qti xで購入可、手数料$2)
Web: artgallery.nsw.gov.au/exhibitions/supernatural

■無料日本語ツアー(予約不要)
<Japan supernatural展ツアー>
日時:上記期間中の毎週土曜11AM
備考:ツアー開始前に展覧会入場券を購入の上、地下1階の会場前に集合


SBSラジオ日本語放送12月のハイライト

SBSラジオ日本語放送は毎週、火曜、木曜、土曜の午後10~11時に番組を放送している。番組は、AMラジオ1107khzにチューンを合わせる方法と、デジタル・テレビのデジタル・ラジオ「SBS Radio1」を選択する方法で聞くことができる。

12月のシドニーサイドでは、NSW州立美術館で開催中の「Japan supernatural」展、ジャパンファウンデーションで開催中の「レトロホラー」展のキュレーターへのインタビューなどを放送予定。また、日本映画祭特別ゲストの箱田優子監督や片山慎三監督へのインタビュー、10月に行われた第50回日本語弁論大会の優勝者のスピーチなど、聞き逃してしまった先月の放送もSBSのウェブサイトで聞くことができる。

なお、毎月最終週の木曜には、日豪プレス翌月号の見どころや取材の裏話などを編集部スタッフが紹介している。次回は12月26日(木)放送予定。

■SBSラジオ日本語放送
Email: Japanese.program@sbs.com.au
Web: www.sbs.com.au/Japanese
Facebook: www.facebook.com./SBSJapanese

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