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新たなチャレンジ/ 花のある生活 – flower in life –

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「豆柿」は花材の1つで、豆のような小さい柿が付いたものです。日本にはこのような美しい枝が豊富なことで、いけばなが発展したとも言われています。

第47回 新たなチャレンジ

 花をいける時、皆さんは花に合わせて器を選ばれることが多いかと思います。たくさんの花があれば大きな器にいけて、少量の花材であれば小さなもので十分です。花の分量に合わない器を使うと、アンバランスの原因になることもあります。

 器を主役にして花いけをする場合には、どのようにいければ作品が美しく感じられると思われますか。使用する花器によって、花材を調整してみてはいかがでしょうか。例えば造形美のある鉄花器や、デザイン性に富んだ硝子などの器には、野の花を可愛らしくいけることより、花材の構成力がしっかりしたものを合わせた方が、統一感が出るのではないかと考えられます。

 また、土の風合いがあり自然美が豊かな花器に、無機質で植物とは異質な花材を合わせると、まとめるのは難しいように思います。茶道で用いられる茶花でも「真しん・行ぎょう・草そう」と花はないれ入と花のことを伝えられているように、互いに響き合うものは、見ている者に心の静寂や、研ぎ澄まされた美しさを与えてくれると思います。

 器をメインに考えた時でも、できることなら互いを響かせ合うことが大切です。無難な花材で合わせることは失敗がなくて良いのですが、チャレンジをして、まさか合いそうにない器と花が、それぞれの個性を生かしながら、相乗効果で良いものとなった時の喜びは大きいと思いますし、それぞれの新たな魅力を発見できるかもしれません。

 可能性にチャレンジしてみることは、新しい魅力を見つけ出すことだと思います。今月のいけばなは、柿色の硝子花器に豆柿をいけています。器に纏まとうように豆柿の枝を床面にも這わし、実り豊かな秋の風情をいけています。たわわに付いた柿と、熟した実のような美しい花器の色合いとのコントラストに重点を置きました。

 花と器が一体になる美しさの表現には、互いが寄り添うように、また互いが引き立て合えるようにすることが大切かもしれません。どこかで聞いたようなお話ですが、いけばな芸術にも不可欠なテクニックの1つです。

Yoshimi

いけばな作家
Web: https://www.7elements.me/

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