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豪州女子サッカー代表「マチルダズ」に黄色い歓声 第131回

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日豪フットボール新時代、第131回「憧憬」

サム・カーは少女たちの憧れの的(Photo: Nino Lo Giudice)

 筆者は、ブリスベンを拠点にしている。当稿では、余程でないと、直接会って聞いた話しか書かない主義なので、取り上げる人物やクラブがQLD州に偏ってしまうのは、ご指摘を受けるまでもなく自認している。それも含めて、ブリスベンを拠点にこの国のフットボールを発信することに地理的ハンデがないというと嘘になる。

 特に、代表戦に関しては不利益しかない。と言うのも、ブリスベンは明らかに代表戦から見放され続けてきたからだ。なぜそうなったかの大人の事情はここでは触れないが、コロナ禍を挟んで、ブリスベンでは男女の代表戦のいずれも、実に3年以上の長きにわたって行われなかったのは紛れもない事実だ。だからこそ、9月にブリスベンでサッカルーズとマチルダスが共に親善試合を行うと知った時は我が耳を疑った。

 9月3日、マチルダスのカナダ戦を取材観戦した。試合会場のサンコープ・スタジアムの観衆は、久々の試合にしては寂しい2万5000人を少し超える数にとどまったが、雰囲気は良かった。いつものフットボールの試合と違い、とにかく少女たちの姿が目立った。

 マチルダスの好プレーには、普段のフットボールの試合のそれに比べてオクターブ高い、いわゆる“黄色い歓声”がこだまする。スタジアムのあちこちでマチルダスのジャージに身を包み、お手製のボードを掲げる少女たちが憧れの選手に目を輝かせる。そんな光景に、この国の女子フットボールの未来の明るさを感じた。

 来年7月にNZとの共催となる女子W杯が迫っている。正直、まだ盛り上がりは見られないが、今回のマチルダスの露出を受けて、多くの少女たちが感化され、より真剣にフットボールに励むことだろう。少女たちのマチルダスへの憧憬(しょうけい)こそが、フューチャー・マチルダを育てるのだ。元々、QLD 州は有望な女子選手を多く輩出してきた土壌がある。試合後に見掛けた、サム・カーに会えてうれし涙にむせぶ少女が次代のマチルダスのエースになるかもしれない。

植松久隆(タカ植松)

植松久隆(タカ植松)

ライター、コラムニスト。タカのつぶやき「かつては全国版とQLD版で毎月1本ずつ書いていた当稿。現在は隔月で1本のみと実に4分の1のネタの消化スピードになり必然的に書くネタは厳選している。それでも随時、自薦他薦は問わず新鮮なネタを募集中。フットボール関連で面白い話があればご一報を」

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