リーグ・ワンで戦っている多くの選手の中でも気になるのは、やはりワラビーズでプレーした選手だ。今季からリーグ・ワン入りしたニック・フィップス選手を訪ねて、千葉県我孫子市のNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)のクラブ・ハウスに伺った。
現れたのは、小顔で細身の背の高い男性。「こんにちは! よろしくお願いします」と、優しい笑みを浮かべながら、奇麗な日本語で話し掛けてくれた。「あれ? 今季の加入でしたよね? 」と心の中で呟いてしまったくらいだ。曲がりなりにも日本語教師の資格を持つ身として「この人は、すごく日本と日本語を勉強しているな」と感じた。
「日本に興味があったので、イングランドにいたころから勉強していました。最初に覚えたのは、食べます。飲みます。行きます。といった日常的な日本語でしたが、ある時、ラグビーに必要な日本語を覚えていないことに気が付きました。真っすぐ、右、左とか」と、笑いながら語ってくれたフィップス選手。
日本に来ることに家族は反対しなかったという。「子どもたちも英語と日本語と両方の言葉を使える幼稚園に行っているし、妻も東京観光などを楽しんでいます。家族が皆、日本食を気に入っているので、彼女も簡単な日本食の料理に挑戦しています。ラーメン、丼物、すし、焼き肉が好き。今日も家族ですしを食べに行きます」
「豪州やイングランドとは違う、日本の“速いラグビー”で、新しいことに挑戦したかった。GR東葛は成長途中のチームです。これまでの自分の経験を伝えることでチームの成長に貢献したいですね」
「過去に在籍していたアンドリュー・ケラウェイ選手らに、チームのことから近所のカフェの情報まで全て教えてもらってから来ました」笑顔が素敵なフィップス選手は、現在大活躍中だ。
最後に、今回の取材でお世話になった広報の有馬清香氏、通訳の安達未来氏に心より御礼申し上げます。
このコラムの著者
山田美千子
ラグビーに魅せられおよそ20年。「強い時も弱い時も、ナンバー・ワンはいつでもワラビーズ!」と、自他共に認めるワラビーズ・オタク。歴代の愛犬の名前はワラビーズ選手が由来。得意なことは、ワラビーズの次世代エースを見つけること。苦手なことは、写真を撮られること